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1000人の先生を求めて



先生不足で休校という事態にならないために

先生不足で休校という事態にならないために

(Keystone)

スイスでは、特にドイツ語圏の州を中心に教師が向こう10年間で約1000人不足する深刻な問題に直面している。チューリヒ州では秋からの新学期に学校に先生がいないという状況にならないよう、引退した先生や先生の卵にも声をかけているという。

チューリヒ、ベルン、ソロトゥルンなど六つの州が協力した共同の教師不足対策が7月2日に発表された。

先生も高齢化

 教師不足は10年後のことではない。すでに、教師の数は不足している。チューリヒ、ベルン、ソロトゥルンの各州の教育局長が開催した記者会見では、教師の不足について、主に教師の高齢化による退職者数の増加が問題として挙げられた。

 スイスでの定年は男性が65歳、女性が64歳だが、それ以前に退職する人も多い。連邦統計局 ( BFS /OFS ) が6月中旬に発表したところによると、55歳以上で退職する教師数が義務教育の小学校では2016年から2017年に最高に達し、今年と比較して26%増加する。1998年に50歳以上の教師の割合は20%だったのが、今年は35%と最高になった。中学校も同じような状況にあり、定年退職者は向こう5年間で10%増加すると見込まれている。

全国で約4万人いる小学校の教師のうち、2005年に離職した教師の数は約3700人だったが、2019年には約4700人と14年間で24%増加するという予想だ。一方、新しく教職に就いた人は2005年で約3800人だったが、2019年になっても18%の増加しか見込まれていない。ベビーブームや外国からの流入もあり、2010年より小中学生の数は約6%上昇するという。

 こうしたことは以前から分かっていたことだという非難はスイス教師協会 ( LCH ) などから出されている。これに対しチューリヒ州のレギネ・エプリ氏は、10年前は生徒の数がむしろ減少するという統計局の発表があったことや、退職者数の増加については最近出された統計であることを挙げるとともに、既にさまざまな対策を立てていると反論した。

他の職業人を先生に

 高齢化のほか、例えばソロトゥルンの場合、6月に新たに教職免許を取得した人の50人中49人が女性と、実際に小学校の教師は女性が多いこともあり、パートタイムの職員の割合が高いことも問題だという。さらに、学校改革により一人一人の教師の負担を軽減させるために少人数のクラスにしたり、先生同士でのコーチングプログラムを行ったりしたことが教師不足につながったとチューリヒのエプリ氏は指摘する。

 ドイツ語圏6州の教育局は教師不足の具体策として、ほかの職業に就いている人が教師になれる道を開くことを挙げている。条件は30歳以上の大卒ですでに仕事をしたことのある人とした。
「その人の職業経験を重要視する。以前はこうした人が多く先生にもいた」というソロトゥルンのクラウス・フィッシャー教育局長の意見や「教育界に外から新しい風が入ることは良いことでもある」というベルンのベルンハルト・プルファー局長の意見が出た。

 このほか、若い人に教育者育成専門高等学校へ進む道をこれまで以上に広げることや、外国語を母国語とする人でも教員になれるような制度を作ることも挙げられた。また、希望があれば小学校の先生がより短期間で中学校の先生になれるように教育者の育成制度を改めるという。

教師の会は労働条件の向上を要求

 スイス教師協会はすでに6月12日の総会で、労働条件の向上を求める表明文を出した。ベアット・ゼンプ会長は7月2日のスイス第1放送 ( DRS1 ) の朝6時のニュースで「まず第一に初任給を上げることで、若い人に魅力のある職業とすることが先決だ」と語った。また、すでに別の職業に就いている人には教職に魅力がなければならないという。

 スイス教師の会が民間の会計事務所に依頼した調査によると、例えばベルン州の高校教師の初任給は年報で10万1000フラン ( 約840万円 ) 。一方、同等の教育レベルのほかの職種の場合は11万2700フラン ( 約935万円 ) と10%低いという。また、小学校の先生の場合、6年間の経験のある人の年収は7万8000フラン ( 約650万円 ) だが、同等の教育を受けた人で金融機関での勤務歴が6年間あれば、年収はほぼ2倍の14万4500フラン ( 約1200万円 ) と大きく差が出るという。

 また、ゼンプ氏は現在の教師の負担が大きいことを挙げ「当局は、いろいろな仕事を教育の場に依頼してくる。しかしこれをはっきり拒否する必要もある。教師の仕事をはっきりと定義するべきである」と要求した。

佐藤夕美 ( さとうゆうみ ) 、swissinfo.ch

スイスの小学校教育を数字で見ると 

2005年
生徒数 45万4092人
先生の数 4万717人
離職者 3773人
( このうち55歳以上761人 )
2010年 
生徒数 43万1071人
先生の数 4万186人
離職者 3843人
( このうち55歳以上1173人 )
2019年予測
生徒数 45万6491人
先生の数 4万2909人
離職者 4689人
(このうち55歳以上1453人 )

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