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LHC建設中のCERN地下

CERNの地下トンネル Keystone Archive

瑞仏国境の地下100メートルで、宇宙の起源の謎解明と粒子物理学の将来を担う世界的プロジェクトが進行中だ。ジュネーブのCERN(欧州原子核研究機構)では、ビッグバン解明の鍵となるヒッグス粒子研究に11年間使用され昨年11月に止められたLEP(大型電子陽電子衝突型加速器)にかわるLHC(大型ハドロン加速器)の5年後の稼動を目指して建設が進められている。

LHC(大型ハドロン加速器)は、高密度の陽子ビームを今までに無いエネルギーで正面衝突させるもの。地下活動の中心地は、今までLEPのあったCERNの地下100mにある円周27kmのトンネルだ。「まず、トンネルから古い加速器を取り外す。また、LHCのためにトンネル自体を改造する必要がある。この間にLHCを完成させヒッグス粒子探索プロジェクトに参加する米、日、加、欧の各研究所と大学に建設する。」とジェームス・ギリースCERNスポークスマンは言う。CERNでのLHC稼動開始は2006年4月の予定だ。ギリースさんによると、数週間の試験的稼動の後、2006年秋に7週間の実験を行う計画だ。

建設中のLHCのため、CERNは2ケルビン(=ー271℃)で稼動する15mの超伝導マグネット数百個を注文した。「メーカーにとっても、一度にこれほど多量の超伝導マグネットの受注がきたのは初めてでしょう。円形加速器の中で陽子ビームを何度も回転させ加速させるために必要なのです。」とギリース氏は説明する。現在テスト用のマグネットがCERNに到着したばかりで、採用が決まれば1、236のマグネットを購入することになる。

LHCプロジェクトは、世界中の粒子物理学者の半分にあたる80の研究機関から約2、000人が参加する素粒子物理学の分野における史上初の世界的プロジェクトだ。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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