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スイスの直接民主制を参考に


若手政治家 おときた駿氏、ネットを駆使して「民意が届く政治」を目指す







有権者が一堂に集まり、議案の是非を直接投票で決めるグラールス州の青空議会「ランツゲマインデ」(2015年5月3日撮影) (Keystone)

有権者が一堂に集まり、議案の是非を直接投票で決めるグラールス州の青空議会「ランツゲマインデ」(2015年5月3日撮影)

(Keystone)

TPPや安保法制など、国論を二分するようなテーマでも、日本では国民が是非を問われることはない。そんな中、スイスの直接民主制に感銘を受けた東京都議会議員 おときた駿氏(31)は、インターネットを通し国民の声を政治に反映させるという、新たな試みを行っている。

 国民主権は日本の憲法では基本原理の一つだ。国民が政策を決めるという点では、大阪都構想の是非を問う住民投票が記憶に新しいが、間接民主主義を取る日本では、民意が政策を決定することは、ほとんどないとえる。

 翻って直接民主制の「元祖」スイスでは、憲法改正や議会が承認した法案を巡って国民投票が頻繁に行われる。自治体レベルでは、図書館の建て替えや自転車専用道路の設置など、日本では考えられないような案件が住民投票にかけられる。

 そんなスイスから本当の意味での国民主権を学ぼうと、「日本を元気にする会」の東京都議員 おときた駿氏は今年5月に現地を訪問した。日頃からブログやフェイスブックなどで積極的に情報発信している同氏は、インターネットを積極的に活用して国民と政治を近づけることで、日本でも民意が反映された政治が実現できると主張する。

swissinfo.ch: 所属政党「日本を元気にする会」は直接民主制を標榜しています。その党員として、今の日本の民主制度をどう見ますか?

おときた: 一つの政党しか選べない中で、政策ごとに国民が意見を届けるという仕組みが日本にはない。そうした中で、スイスのように国民が直接、国民投票を請求できる仕組みは魅力的に見える。

4年に1度しか国民が意思表明できないというのはやはりおかしい。選挙がない間は政府におまかせという風になってしまう。例えば、原発事故が起きる前は原発が争点になることはなかったが、それが事故後は変わった。こういう日本の現状から見ると、国民投票が盛んなスイスを我々は参考にすべきだ。

swissinfo.ch: 州民が一堂に広場に集まり、議題に賛成か反対かを挙手で決めるというスイス・グラールス州の青空議会(ランツゲマインデ)を実際に見学されましたが、どういう印象を持ちましたか?

おときた: イベント自体が非常に気高い。崇高なものとして、全州民が捉えている。日本では、多くの人が政治にあまり関心を向けようとしない一方、スイスにおいては(選挙や国民投票が)非常に重要なイベントとして社会に溶け込んでいる。

ランツゲマインデの開催当日は雨が強く、(議会は)長時間に及んだが、ほとんど私語がなかった。写真をパシャパシャ撮っている我々がにらまれるほどに、皆、真剣に議論を聞いていた。こうした文化もすばらしいと思った。

swissinfo.ch: 日本ではスイスのような直接民主制をどのような形で導入できるのでしょうか?

おときた: 小さな地方自治体に関しては、もしかしたらランツゲマインデのようなことができるのではないか。例えば熱海市。(財政的に)非常に厳しい自治体だが、あまり人口は多くないので、浜辺で市民を集めて集会をやることは物理的には可能だ。

全国レベルに関しては、例えばフィンランドでは2012年からインターネットで国民投票ができるようになっている。そういったツールと組み合わせれば、人口が多い日本でも国民投票を根付かせることができるのではないかと思う。

swissinfo.ch: 直接民主制に欠点はないと思いますか?

おときた: 国民発議もレファレンダムももちろん利点だけではない。意思決定に時間がかかったり、(有権者の感情に訴えかけるような)エモーショナルな法案が通ってしまったりすることもある。そうしたことに関して議論をするとともに、政治教育も行っていく必要性はある。

スイスでは移民排斥法案が通ったことがある。知識人には「まさか通るとは思わなかった」と話す方が多い。スイスでさえ感情論レベルでこうした案を通してしまう人たちがいるのであれば、日本では、政治意識がそこまで高くない人たちは、感情に流された投票を行わないように、常日頃から政治の議論に慣れておく必要がある。我々は投票において慎重な意思決定ができるような風潮を作っていかなければならない。

swissinfo.ch: 政治で感情的にならないというのは難しいのでは?

おときた: そのためには政治教育が必要だ。日本では教育現場に政治は持ち込めないことになっている。18歳選挙権が解禁されるにあたり、もう少し学校現場がオープンに生徒に政治の議論をさせる必要があると思う。

swissinfo.ch: ご自身はインターネット議員として有名ですが、インターネットを使って民意を汲もうとしているのですか?

おときた: それも一つだが、政治と人々を近づけるための手法といった方が正確だ。政治のことを知らない、ましてや新聞もテレビも見ないといった若い人たちを主な対象に、こちらからインターネットを通し情報を伝える。それに対しリアクションが来る。

コメント、(フェイスブックの)「いいね!」の数、リツイートの数とか、そういったものでみんながどんなことに興味があって、どんなことに賛成・反対しているのかを知ることができる。これらを踏まえて、政治の意思決定をしていきたい。

swissinfo.ch: インターネットといっても、サイトによっては右派や左派など特定の支持者が集まることもあります。偏った意見に流されてしまうことはありませんか?

おときた: 私のブログはハフィントンポストブロゴスなど読者層がそれぞれ違うサイトに配信されていく。そうした場合はまったく違う読者層からコメントがついたりする。ブロゴスでは支持ばかりなのにハフィントンポストではアンチばかりとか。そうしたものすべてに目を通すことで、いわゆるインターネット上の偏った意見には流されない装置が働いているのではないかと考える。

swissinfo.ch: 日本を元気にする会では、インターネットで市民にさまざまな案件の是非を問い、その賛成と反対の割合に応じて議員が国会で行動するという制度を取り入れています。ご自身もネット上の意見を参考に行動しているのでしょうか?

おときた: 都議会など地方議会のレベルでは、現時点ではそういうシステムはない。だが将来的に、「東京都議会でこういう議案がでましたが、どうしましょうか?」といったことを、党が持っているプラットホームを使ってやっていく可能性はありえる。

私自身はインターネットで寄せられたご意見を実際に拾い、行動に移すことがある。昔、イスラム国について書いた記事がツイッターで批判されたことがあり、すぐにモスクに行ってイスラム教徒の意見を聞きにいった。(人々の意見に対し)即座に反応できるというのは、インターネットならではのスピード感とコミュニケーションの手軽さだと思う。

swissinfo.ch: 政治家として、国民から反対意見が来るのは怖くないですか?

おときた: まあ、それで政治家は鍛えられると思う。日本の政治家は選挙さえ乗り越えればフリーハンドだ。しかし、常日頃、自分の意見が国民にさらされる恐れがあるということになれば、政治家は成長していくのだと思う。

swissinfo.ch: 「政治家は働けば働くほど所得は減ってもうからない」と以前、ネット上で書かれたことがありますが、なぜそれでも政治家になろうと思ったのですか?

おときた: 私はそもそも女性の支援がしたくてこの世界に飛び込んだ。女性の社会進出は、男性が作ったルールの中では難しい。しかしルールを作るのは政治家の仕事。それを変えるためには政治家にならなければならない。誰かほかの人がやってくれればそれでいいのだが、当分そういったことはなさそうだった。そのため、自分でやろうと思って飛び込んだ。

我々政治家がもっと情報発信をして、政策論争で真っ向から選挙で戦っていかなければならない。落選したらやむなしという政治家が、今後もっと生まれなければならない。

おときた(音喜多)駿略歴

1983年9月21日、東京都北区に生まれる。

早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループに就職し、化粧品ブランド「ゲラン」で営業・マーケティング担当。

みんなの政治塾2期生。

東京都議会議員1期目。日本を元気にする会所属。

2014年度は厚生委員会に所属(副委員長)。

都議会会派「かがやけTokyo」では政調会長を務める。

現在、自身の公式ホームページでブログをほぼ毎日更新し、フェイスブックやツイッターでも頻繁に情報発信している。

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