COP25の結果にスイス失望
第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議が15日、閉幕した。過去最長の会期の結果、カーボンマーケット(炭素市場)への対応策は来年会合に先送りされ、スイスの交渉担当者は失望していると語った。
深夜も行われた議論は40時間超にわたったが、炭素排出に価格を付けCO2削減を促すカーボンマーケットが抱える厳しい問題は解決できなかった。パリ協定外部リンク第6条では、他国の温室効果ガス削減技術などの普及・対策を通じて実現した貢献を定量的に評価し、自国の削減目標の達成に活用できると定める(削減目標、NDCと呼ばれる)。しかし、公正で説明責任のある炭素市場をどう設立すべきかについては、来年英国グラスゴーで開催されるCOP26に先送りされた。スイス連邦環境省は、ツイッターで失望を表明した。
CH regrets the absence of a decision for an effective carbon market under the Paris Agreement and announces that it will apply robust market rules and refrain from using Kyoto units in its bilateral agreements until robust rules can be agreed at the international level. #COP25外部リンク
— FOEN (@foenCH) December 15, 2019外部リンク
スイスは28カ国とともに、炭素市場に関するパリ協定実施に向け、排出削減が重複カウントされないなど、炭素市場の「清廉さ」に焦点を置く「サンホゼ原則」外部リンクを採択した。ただほとんどの欧州諸国は、まだ不確かな国際炭素市場の規則を採用するよりも、最終決定をしない選択を取った。
その代わり、約200カ国が、国際炭素市場について規則のない「最小限の合意」を得ることを選んだ。
スイスの取り組み
シモネッタ・ソマルーガ環境相は、ドイツ語圏の日曜紙ゾンタ―クス・ブリックのインタビューで、来年の連邦大統領就任に際し、再生可能エネルギーに注力していくと述べた。クリーンな電力への投資が他国への依存を減らし、雇用創出につながると指摘した。
ソマルーガ氏は、農村部に注目しているとコメント。農家の屋根は大きく、大量の太陽光発電システムを搭載できる余地があるという。
そのほかにも首都ベルンで、実業家・慈善家のハンスヨルク・ヴィース氏が、1億フラン(約110億円)を投じて自身の名を冠した環境研究所を設立する計画も進む。ヴィース自然研究所外部リンクはベルン大学と提携し、10年間で大学と州から計1億フランのマッチングファンド外部リンクを受け取る。研究所は2020年設立、2022年に正式に稼働する。観光、資源利用、自然災害、エネルギー、農業、生物多様性の各分野にわたるプロジェクトが予定されている。
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。