スイス・バーゼル大、乳がんを正常脂肪に変える治療法にマウスで成功

X線写真に写された正常な乳房 Keystone

スイスは乳がんの発症率が比較的高い。だが国内のある研究が希望の光をもたらした。マウスを使った実験で、がん細胞が無害な脂肪に変異する現象を発見したのだ。

取材協力:郭倢&アレクサンドラ・コーラー

バーゼル大学は、ある治療法の組み合わせで悪性の乳がん細胞が脂肪に変わることをマウス実験で発見した。

バーゼル大生物医学科は「マウスを使った実験で、二つの活性物質の組み合わせによって、急速に分裂・転移する乳がん細胞の分裂を止め、正常な脂肪細胞とほとんど違いがない脂肪細胞に変えることに成功した。腫瘍が周辺組織や血管に侵入するのを防ぎ、転移が起こらなくなる」と説明。抗がん剤トラメチニブと糖尿病の治療薬ロシグリタゾンの組み合わせが効果を発揮した。

研究を率いたゲルハルト・クリストフォリ教授は「この新種の治療法は将来、従来の化学治療と組み合わせて原発性腫瘍の増殖や致命的な転移を抑制するのに応用できる可能性がある」と述べる。研究の結果は、悪性がん細胞は幹細胞と同様、高い可塑性を有し、これも治療に応用できる可能性を秘める。

マウスのがん細胞が変化する模式図 Cancer Cell journal

ただ、がんを治療するためにはがんを発見する必要がある。連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は良性と悪性の乳腺腫瘍を見分けるのに効果的な超音波技術を開発した。

ETHZの研究チームはエコー検査で反射した音波の強度だけでなく、持続時間も測定した。その結果、悪性腫瘍からは音波が早く跳ね返ってきたことが分かった。これを応用すれば、診断しやすい画像の作成が可能になる。

論文全文は専門誌「医療・生物物理学」に掲載された。

ETHZが開発した超音波検査法は、乳房の腫瘍が黄色で表示される(右)。従来の画像(左)では診断しにくい © Orçun Göksel / ETHZ

スイスでは2015年に乳がんと診断されたのは約6千人。世界保健機関(WHO)の最新データによると、スイスの乳がんの発生率は世界15番目に高い。他の国に比べ人口の高齢化が進んでいることが一因だ。

​​​​​​​一方でスイスの乳がんによる死亡率は、2000年以来減少傾向にある。15年には約1400人が乳がんで死亡した。


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