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「指輪物語」で中世がブーム 

中世はいつも魅力的 指輪物語のイラストレーターが団長の聖ジョージ団も参加                                                                                                                          

近年は中世ブーム。中世を再現するイベントが目白押し。ベルンは24日まですっぽりと中世に包まれる。

現在スイスの首都であるベルンがスイス加盟したのは1353年。650周年にあたる今年、中世の風物に触れることができる中世祭りが開催されている。メインはなんといってもスイス在住のカナダ人で、「指輪物語」のイラストレーターが団長の「聖ジョージ団」のショーである。

ウーリ、シュヴィーツ、オプヴァルデン、ニトヴァルデンを核としたスイスが出来上がったのは1291年。以来、次々と集落が同盟を結んでゆくが、現在スイスの首都であるベルンがスイスに加盟したのは1353年。650周年にあたる今年、ベルンでは中世祭りなどの当時の風物を紹介する催し物が企画されている。

ベルン歴史博物館は、館内で単に「中世」を展示するのではなく、中世の世界を代表する、例えば、騎士の一騎打ち、戦場の様子、野外劇、曲芸師、中世の市場などを博物館の広場を舞台に俳優が実際に再現することで、市民に中世を理解してもらうことにした。

実は、スイスのみならず、ヨーロッパでは中世がブーム。ベストセラーの「ハリーポッター」や「指輪物語」に始まり、中世の神秘が注目を浴びている。すでにスイスでは1994年、フリブール州のエスタバイェー・レ・ラックの中世の趣の残る旧市街地で初めて中世を体験できるイベントが企画された。以後、フランス語圏のスイスからドイツ語圏へと「中世への情熱」は感染し、いくつもの自治体でこれを真似した催し物が企画された。                                                                                                                           

「指輪物語」も中世を参考にした

 「聖ジョージ団」はスイスで最も有名な劇団で、ベルンの中世祭りのメインでもある。カナダ人のジョン・ホーブ団長はスイスに数年前から居を構え、デザイナーとしても活躍している。ホーブ氏の代表作は「指輪物語」のイラスト。「指輪物語」は中世を舞台としているわけではないが、「中世を意識して描いた」とホーブ氏。

 「聖ジョージ団」のショーは中世の人々が着たコスチュームとイミテーションの武器を小道具に、軍隊の駐屯所を再現している。ここには、兵士の日常生活のほか、侍従や職人たちの生活も併せて分かるようになっている。
「中世の伝承は、断片的でしかない。博物館に展示された中世の発掘物を見ても、見学者は感動しないことのほうが多い。これまで紹介されなかった切り口で中世を紹介したい。中世の遺物に何かを語らせ、こうした品々が実は人間と密接に関係していることを観衆に分かってもらい、中世の人々の生活をフォーカスしたい」
とホーブ氏は「生身の展示」の意味を強調した。

職業を中心に中世の集落を再現

 「始めはちょっとしたブームに留まると思われたが、中世祭りを催すと必ず人が来る」と、ジャン・ダニエル・リーツ氏。リーツ氏は、近年、結成された多くの中世劇団の団長を勤める。劇団の名前は一風変わった、メスニ・デ・ブスキン・オン・バルブ(森の髭)団。中世関連のイベントがある場所を巡り歩き、中世の風物を紹介するショーを見せてくれる。 

 歴史書を参考にしたり歴史専門家の助言を得て、いまは忘れられてしまった中世の手工業の技術を観衆に再発見してもらうのが目的。リーツ氏によると、「森の髭団」が中世の世界を再現することは、「画一化され見物には耐えられない現世界へのちょっとした挑戦」という。

 中世祭りはパン屋、馬具屋、鍛冶屋、瀬戸物屋など中世の職業を紹介する格好の場所である。中世の人々の生活を再現するコーナーは、騎士の一騎打ちのショーや曲芸師のエンターテイメントと同様に人気があるという。

 リーツ氏は中世の町であるムルテン市の出身で、
「劇団の活動を通して、出身地の歴史をよりよく知られるようになった」
と自己発見にも役立ったので、同じように観衆も、
「中世祭りは訪れる人は、自分の先祖の歴史を知る機会になる」
と確信している。                                                                                                       

ユートピアの場所

 暗黒の部分がある中世でも、今日までその魅力は失われていない。特に現代社会において中世の魅力は、ほかの時代より大きいのかもしれない。 

 ローザンヌ大学の中世史のアゴスティーノ・パパビキニ教授は、
「1968年以降、中世はユートピアとして見られてきた。騎士の一騎打ちショーやなどは、愛、勇気、忠実といった価値が美化されるようになった」
とユートピアとしての中世は、現代、失われた価値を発見できる場所だと定義付けている。

「中世に対する興味は、大勢で狩猟をするキツネ狩りのようなもの」
と語るのは、前出のジョン・ホーブ氏。
 中世は多様で、実際はほんの断片的にしかその姿は知られていないことをわれわれは知らなければならないようだ。

スイス国営放送 アルマンド・モンベリ 意訳 佐藤夕美 (さとうゆうみ)

キーワード

1353年 ベルンがスイスに同盟

2003年 ベルン同盟650年を記念して中世祭りを開催(8月24日まで)

騎士の一騎打ちショーの入場券は売り切れ。

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補足情報

グランドソンの戦い500周年を期して1976年にスイスで初めて中世祭りが催される

1990年から、中世祭りがブームに

1994年フリブール州のエスタバイェー・レ・ラックでの中世祭りから本格化

フランス語圏地方からドイツ語圏地方へとブームは広がる劇団が次々と作られ、再現された

中世の村の中で団員が、騎士、職人、曲芸師となりショーをしたり、中世の料理を振舞うようになる

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