スイスの視点を10言語で

日本のAT1債保有者、仲裁申し立てへ

credit suisse logo
© Keystone / Michael Buholzer

UBSによるクレディ・スイス(CS)の救済買収に伴いスイス連邦政府がAT1債を無価値化した決定を巡り、近く日本の投資家が国際機関に対しスイス政府との仲裁申し立てを行うことが分かった。

ドイツ語圏日刊紙NZZ日曜版が報じた外部リンク

NZZによると、増田パートナーズ法律事務所は日本のAT1債券保有者に対し、国際仲裁手続への参加を呼びかけている外部リンク。同事務所はシンガポールのデゥリュー・アンド・ネピア法律事務所と連携し、投資家保護を盛り込んだスイスと日本の経済連携協定(EPA)違反に基づき仲裁申し立てを行う予定。

日本とスイスは2009年にEPAを発効した。こうした国際協定は、相手国の個人や企業が行った投資を保護することをお互いに約束している。NZZによると、投資先の国が協定の義務に違反した場合、投資家は国際仲裁に直接訴えることができる。

おすすめの記事

AT1債を無価値とした問題を巡っては、すでに多数の投資家が訴訟を起こしている。NZZによると、スイスと投資関連協定を締結している国のAT1債保有者の多くは、スイス政府に対し仲裁を申し立てている。また、スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)を相手に手続きを進めているケースもあるという。

スイス政府は3月、32億5千万ドル(約4200億円)でUBSがCSを買収する取引をまとめ、緊急事態条項を発動して約160億フラン相当のAT1債券を無価値化。投資家から不満が噴出していた。

英語からの翻訳:大野瑠衣子

おすすめの記事
Credit Suisse

おすすめの記事

クレディ・スイス買収交渉の舞台裏

このコンテンツが公開されたのは、 UBSによるクレディ・スイスの買収は、わずか3日間の交渉で決まった。長年の宿敵同士の契約を電光石火で推し進めたのは、スイスの「三位一体」だった。

もっと読む クレディ・スイス買収交渉の舞台裏

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

スイス連邦警察官の後ろ姿

おすすめの記事

スイス検察、国民投票の不正疑惑を捜査

このコンテンツが公開されたのは、 スイス検察当局は、国民投票の提起に必要な署名が偽造されたとの疑惑を捜査している。収集代行業者が過去の署名を使い回したり、金銭を見返りに署名を集めた可能性がある。

もっと読む スイス検察、国民投票の不正疑惑を捜査
1000人以上のアルプホルン奏者

おすすめの記事

1000人超でアルプホルン演奏 スイスで世界記録を更新

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのニトヴァルデン準州クレヴェンアルプで31日、1000人以上のアルプホルン奏者が集まり、「アルプホルンを合奏する人数」の世界記録を更新した。

もっと読む 1000人超でアルプホルン演奏 スイスで世界記録を更新
アールガウの原発

おすすめの記事

スイス政府、原発の新設解禁に前向き

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は28日、「すべての人にいつでも電気を:ブラックアウト(全域停電)を止めよ」と題するイニシアチブ(国民発議)に反対を表明した。ただ、新たな原子力発電所建設の解禁には原則として支持する考えを示した。

もっと読む スイス政府、原発の新設解禁に前向き
スーダンの状況

おすすめの記事

スーダン停戦交渉、和平合意なく終了

このコンテンツが公開されたのは、 スイス・ジュネーブ地方で10日にわたって行われたスーダン内戦の停戦協議が23日、停戦合意に達することなく終了した。

もっと読む スーダン停戦交渉、和平合意なく終了
スイスのマッターホルン

おすすめの記事

マッターホルンで登山者の滑落死相次ぐ

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの名峰マッターホルンで16 日、登山者が下山中に800m下の氷河に滑落し死亡した。同じ山では14日にも、別の登山者2人が滑落死した。

もっと読む マッターホルンで登山者の滑落死相次ぐ

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部