シュテファン・マイヤーハンス連邦価格監督官は、インフレに伴い消費者の経済的負担が増大していることから、消費者保護団体を交えたスイス初の購買力サミットの開催を決定した
Keystone / Marcel Bieri
スイスの価格監視機関は5日、消費者保護団体を招き「購買力サミット」を開いた。全般的に物価が上昇する中、即効性のある措置として銀行の手数料と医療保険料の抑制に取り組むべきだとの認識で一致した。
このコンテンツが公開されたのは、
ドイツ語圏の消費者保護財団のサラ・シュタルダー理事長は会合後の記者会見で「金利が低かったとき(銀行は)新たな銀行手数料を徴収することに工夫を凝らし、口座の閉鎖にさえ手数料を課した。形勢が逆転し金利が上昇した今、銀行は銀行手数料を撤回するべきだ」と述べた。
医療保険料の引き下げもすぐに可能な措置として俎上に乗った。フランス語圏スイス消費者連盟のソフィー・ミショー・ジゴン理事は、現在検討中の医療保険制度改革が完了するまで保険料を据え置くべきだと訴えた。
食品・エネルギー業界に対しても、小売価格と利益率について透明性を向上するよう求めた。消費者団体は「政治家が価格改革の行き詰まりを打開するために迅速かつ果断に行動することを期待している」と強調した。
またスイス郵便やスイス連邦鉄道(SBB/CFF)など国有企業が率先して値上げを自制することにも期待を示した。
消費者団体と価格監察官は、この問題に関して的を絞った形で協力していくことで合意した。
次は2024年に開催
スイスで購買力をテーマにした公式会合が開かれるのは初めて。主催したステファン・マイヤーハンス連邦価格監督官は「消費者の経済的負担の急増と、その理由が不透明な場合も多いことを考慮し、会合の開催が必要だと判断した」と説明した。
スイスの国民が抱える経済的不安は増大している。マイヤーハンス氏によると、消費者保護団体や価格監視機関にも日々不安を訴えるメッセージの数が増えている。
サミット参加者らは来年初めに次回会合を開き、経済界代表も招待する予定だ。
英語からの翻訳・編集:ムートゥ朋子
おすすめの記事
ジュネーブ国連職員約500人が予算削減に反対するデモ
このコンテンツが公開されたのは、
メーデーの1日、ジュネーブで国連欧州本部職員500人近くが国連の緊縮財政に反対する異例のデモ活動を実施した。
もっと読む ジュネーブ国連職員約500人が予算削減に反対するデモ
おすすめの記事
バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
このコンテンツが公開されたのは、
5月11~17日の欧州国別対抗の音楽祭「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト(ESC)」開催中、バーゼルでは「カラオケ・トラム(路面電車)」が運行する。ビンテージ車両で90分間かけて街を走る間、乗客は無料で歌い踊ることができる。
もっと読む バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
おすすめの記事
ジャッキー・チェンさんに名誉豹賞 ロカルノ映画祭
このコンテンツが公開されたのは、
第78回ロカルノ国際映画祭で、香港出身の俳優ジャッキー・チェンさん(71)に生涯功労賞である「名誉豹賞」が贈られることが決まった。
もっと読む ジャッキー・チェンさんに名誉豹賞 ロカルノ映画祭
おすすめの記事
グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
このコンテンツが公開されたのは、
動くクマのグミ、チョコレート味の電池――大阪・関西万博のスイス館では、ロボット工学者とパティシエ、ホテリエが合作した「ロボケーキ」が展示されている。
もっと読む グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
おすすめの記事
スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
このコンテンツが公開されたのは、
日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。
もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
おすすめの記事
フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、21日死去したローマ教皇フランシスコに哀悼の意を表した。
もっと読む フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
おすすめの記事
WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
このコンテンツが公開されたのは、
世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。
もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
おすすめの記事
スイス外相、日本と中国を訪問
このコンテンツが公開されたのは、
イグナツィオ・カシス外相は日本と中国を公式訪問する。
もっと読む スイス外相、日本と中国を訪問
おすすめの記事
TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
このコンテンツが公開されたのは、
米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。
もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
おすすめの記事
ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス小売大手のミグロ(Migros)は14日、アッペンツェル・アウサーローデン準州ヘリザウにある1店舗を年中無休化すると発表した。
もっと読む ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
続きを読む
おすすめの記事
スイスの「グリードフレーション」に警告
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの価格監視機関は、企業の便乗値上げが引き起こすインフレ「グリードフレーション(強欲インフレ)」に警戒感を募らせている。
もっと読む スイスの「グリードフレーション」に警告
おすすめの記事
物価の引き下げに奮闘する連邦価格監督官
このコンテンツが公開されたのは、
スイスには価格監督官という公職があるのをご存知だろうか。消費者にとって不利益になる不当な価格と闘うことが仕事だ。価格監督官とは何者なのか。価格を下げる余地はどこにあると考えているのだろうか。2008年から価格監督官を務めるシュテファン・マイヤーハンス氏(49)に話を聞いた。
もっと読む 物価の引き下げに奮闘する連邦価格監督官
おすすめの記事
消費者を悩ます「高物価の島」スイス
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは、コーラ1本の値段が隣国ドイツよりも4割高く、イタリア産のパルマハムは欧州圏平均の5倍も高い。この物価高を抑えようと、消費者団体が国民発議(イニシアチブ)を立ち上げようとしている。物価高への対策には、国の介入が有効なのだろうか?それとも市場に任せるべきだろうか?
もっと読む 消費者を悩ます「高物価の島」スイス
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。