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スイスの視点で振り返る日本関連の記事

スイスのメディアが報じた日本のニュース

ミス日本の各受賞者5人
22日の「第56回ミス日本コンテスト2024」では、ウクライナ出身で日本国籍を持つ椎野カロリーナさん(中央)がグランプリに選ばれました Keystone/AP Miss Nippon Association

スイスの主要報道機関が先週(1月22日〜28日)伝えた日本関連のニュースから、3件をピックアップ。要約して紹介します。

【スイスで報道されたトピック】

  • 日銀、金利据え置き(1/23)
  • 隠れた強気市場、日本株(1/24)
  • 京アニ放火の青葉被告に死刑判決(1/25)
  • JAXA月面探査機「ピンポイント着陸」に成功と発表 撮影写真を公開(1/25)
  • 是枝監督「怪物」評(1/25)
  • 新ミス日本の選出で物議(1/25)
  • 能登半島地震の被害額は最大2.6兆円 政府試算(1/26)
  • 東京都インフレ率、日銀目標下回る(1/26)

この中から今回は①隠れた強気市場、日本株②能登半島地震の被害額は最大2.6兆円 政府試算③新ミス日本の選出で物議をご紹介します。

幅広い銘柄が上昇基調

米国の金融サービス企業MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が産出するMSCI指数には、先進国・新興国別、大型・中型株別などさまざまな種類があり、多くの機関投資家が運用指標としています。スイスの経済紙フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフトは24日、日本の大型・中型株で構成する「MSCIジャパン」(日本株指数)の隠れた強さを解説するコラムを掲載しました。

MSCI米国株指数は過去12カ月間で21%上昇した一方、日本株指数の上昇率は17%弱。ですが、香港の調査会社ギャブカル・リサーチ外部リンクのアジア担当アナリスト、ウディス・シカンド氏は、日本株指数の上昇は米国株指数のように少数の超優良企業に集中しているわけではないと指摘します。MSCI指数は時価総額を加味していますが、構成銘柄の平均株価だけで見ると日本は過去1年で35%上昇と、米国の上昇率8%を大きく上回っているからです。

シカンド氏は日本企業の健全性にも注目しています。デフレが終焉し企業が価格決定力を取り戻した今、売上高や利益率が改善し、手元資金がふんだんにあります。企業経営もかつてより株主利益に重点が置かれるようになり、また今月スタートした新NISA(少額投資非課税制度)で持続的な株高が期待できると言います。

そのリスクとしては、大幅な円高や、自民党の政治資金問題で9月の党総裁選が波乱に至る可能性を上げました。(出典:フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフト外部リンク/ドイツ語)

さらなる不確実性

内閣府は25日に発表した1月の月例経済報告で、1日に発生した能登半島地震の経済的影響が石川、富山、新潟の3件で1兆1000億~2兆6000億円にのぼるとの試算を明らかにしました。スイス通信(Keystone-SDA/ATS)はイタリア語版で、「金融引き締めによる経済への影響や中国の景気減速という既存の懸念に加えて、世界第3位の経済大国にさらなる不確実性を与えた」と報じました。

同フランス語版では政府の試算が民間試算を上回る一方、2011年の東日本大震災よりもはるかに低いと指摘しました。(出典:Keystone-SDA/ATS/イタリア語)

日本の自己イメージ

「第56回ミス日本コンテスト2024」で、ウクライナ出身の椎野カロリーナさん(26)がグランプリに選ばれました。椎名さんは両親の再婚に伴い5歳で日本に移住し、昨年日本国籍を取得していますが、ソーシャルメディアでは「日本人らしくない」といった疑問の声も。スイスでは無料紙20min.がこれを取り上げたほか、ドイツ語圏の日刊紙NZZが日本人のアイデンティティーに関する論考を掲載しました。

「多くの人にとって、民族的同質性は日本の自己イメージの一部だ」。NZZニュース部を率いるジャクリーン・リップ記者は、人口減が進み外国人労働者に頼らざるを得ない日本でも移民が強く制限されている背景をこう指摘しました。日本人は外国人との社会的交流にも慎重で、「外国人労働者を地元住民としてではなく、客人とみなしている」と説明しています。

米国人を父親に持つ宮本エリアナさん(29)がミス・ユニバース日本代表に選ばれた2015年からほぼ10年経った今でも「この国は日本人であることが何を意味するのかという問いに、明確な答えを持っていない」と指摘。しかしながら、批判一辺倒だった宮本さんに比べ、椎名さんの受賞には擁護の声もあるといいます。またスポーツ界ではテニスの大坂なおみ選手やバスケットボールの八村塁選手など、外国にルーツのある日本人選手が活躍すると手放しで祝福されることとの矛盾も指摘しました。(出典:NZZ外部リンク/ドイツ語)

話題になったスイスのニュース

先週、最も注目されたスイスのニュースは「スイスEPFL、入学者数を3000人に制限 留学生は高校の成績順に」(記事/日本語)でした。他に「スイスの高機能スポーツブランドOn、労働者を搾取している?」(記事/日本語)や「Switzerland mulls return of double-barrelled surnames」(記事/英語)も良く読まれました。

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今日のテーマ:カーボン・オフセットの仕組みは必要?

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次回の「スイスで報じられた日本のニュース」は2月5日(月)に掲載予定です。

校正:大野瑠衣子

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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