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スイスのメディアが報じた日本のニュース

北大西洋条約機構(NATO)
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は日本の岸田文雄首相との共同記者会見で北朝鮮によるミサイル発射を非難し「日本ほどNATOに近いパートナーは他にいない」と述べました Keystone

今週(7月7日〜13日)スイスの主要報道機関が伝えた日本関連のニュースから3件をピックアップ。要約して紹介します。

北朝鮮の大陸弾道ミサイル発射、日本のNATO連絡事務所新設案、80代のためのサッカーリーグ開幕、世界最高齢プロサッカー選手の三浦知良選手、死刑判決を受けた元プロボクサー袴田巌さんの再審、西日本を襲った記録的大雨―といったトピックスが取り上げられました。

この中から今回は「北朝鮮の大陸弾道ミサイル発射」「日本のNATO連絡事務所新設案」「80代のためのサッカーリーグ開幕」をご紹介します。

北朝鮮の大陸弾道ミサイル発射

北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が開かれた12日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、日本と韓国、および米国から非難の声が上がりました。多くのスイスの報道機関はロイター、スイス通信社などの記事を転載する形でこれを報じました。

SWI Swissinfo.ch英語版12日付の記事によると、NATO首脳会議参加のためリトアニアを訪問中の岸田文雄首相は記者団の取材に対し、国内外の平和と安全を脅かすこうした行為は容認できず、2つの隣国および米国との緊密な連携が必要だと語りました。

記事はこのほか、会合に出席していた韓国の尹錫悦大統領が緊急の国家安全保障会議(SNC)を開いたことや、米国政府が強くミサイル発射を非難したことにも触れました。

牙山(アサン)政策研究院のヤン・ウク研究員は記事の中で、今回のミサイル発射は5月末の軍事偵察衛星の打ち上げに失敗した北朝鮮の面目を保つ、という狙いがあった可能性を指摘。梨花女子大学のレイフ・エリック・イーズリー教授(国際学)は、北朝鮮は日韓の外交イベントに合わせて発射実験を行うことがパターン化しており、今回もそれに沿った行動だと分析しました。

また、独語圏のスイス公共放送(SRF)は、米国が核兵器を搭載できる戦略原潜を韓国に派遣しようとしていることに対する北朝鮮の「警告」だと報じています。

swissinfo.ch英語版は同日、岸田首相がNATOと交わした新文書「国別適合パートナーシップ計画(ITPP)」に関連した別のロイター記事も転載。記事によると、NATOのストルテンベルグ事務総長は岸田首相との共同記者会見で、北朝鮮によるミサイル発射を非難し「日本ほどNATOに近いパートナーは他にいない」と述べました。

(出典:SWI swissinfo.ch (1) (2)/英語、SRF外部リンク/独語、watson外部リンク/独語、トリビューン・ド・ジュネーブ外部リンクラ・リベルテ外部リンク/仏語)

日本のNATO連絡事務所新設案は先送り

決定が秋以降に先送りされた、アジア初のNATO連絡事務所を東京に新設する案については、独語圏の投資家向け新聞フィナンツ・ウント・ヴィルトシャフトが11日、東京在住のスイス人フリージャーナリスト、ウルス・シェットリ氏のオピニオン記事を掲載しました。

同氏は中国が「Quad(クアッド/日米豪印の首脳や外相らが安全保障や経済を協議する枠組み)」と「AUKUS(オーカス/米英豪の安全保障枠組み)」を「アジアのNATO」と批判する中、欧州で唯一、インド太平洋地域に海外領土を持つフランスがこの2つの枠組みに参加していないことや、それに応じて東京連絡事務所の新設案に反対した点に言及。その背景に武器の販売促進という具体的な利益もからんでいることを認識しない人がいるのなら、それは考えが甘いと指摘しました。(出典:フィナンツ・ウント・ヴィルトシャフト外部リンク/独語)

80代のためのサッカーリーグが開幕

独語圏の日刊紙NZZは13日付で、今年東京で開幕した80歳以上の選手による公式サッカーリーグのルポを配信しました。

記事によると、高齢化が進む日本ではシニアスポーツの需要が増えています。東京都シニアサッカー連盟の青山哲司さんは、80代のリーグには3チームが参加し、1チーム当たり15~30人の選手が登録していると説明。しかし、悩みの種は必ずプレーできなくなる選手が出てくることや、年齢を理由に脱落していく選手が尽きないことだと明かしました。「けがをすると2~3カ月は動けなくなる」ため、プレー中に相手をまたいだり、押したりすることは軽くでも禁止されていると言います。

目標は、シニア向けのワールドカップ開催。70歳以上のカテゴリーでは検討が進んでいるそうですが、80歳以上は国外の対戦相手が現れるまであと数年、待つ必要がありそうだとしています。(出典:NZZ外部リンク/独語)

注目のスイスのニュース

今週、最も注目されたスイスのニュースは、スイス牛乳生産者協会スイスミルク会長が「チーズの輸入量が輸出量を上回ろうとしている」と発言した記事(記事/日本語)です。ほかにも、スイスの連邦情報機関がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を「権威主義的な性格」だと分析した報告書(記事/日本語)や、日本のエーザイと米バイオジェンが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」に関する記事も話題になりました(記事/日本語) 。

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次回の「日本のニュース in スイス」は7月21日(金)に掲載する予定です。

編集:宇田薫

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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