暴落する株価を前に、頭を抱えるニューヨーク証券取引所のトレーダー。チューリヒのトレーダーも心境は同じだ
Keystone
スイス株式市場指数(SMI)は12日、前日比9.64%低い8270で取引を終えた。銀行や保険会社を中心に、全面安となった。
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クレディ・スイスは16%、再保険会社スイス・リーは15.6%、生命保険のスイス・ライフは14.8%、UBSは13.2%それぞれ下落した。
同様の大暴落を記録するのは、スイス国立銀行(SNB)がフランの対ユーロ相場の上限を撤廃した2015年1月以来。
SMIは1988年7月1日から公表されている。戦後は1987年10月19日に米株式相場が大暴落した「ブラック・マンデー」では、公表が一時停止した。
それ以降、SMIが大幅下落した主な出来事は以下の通り。
1990年代~米同時多発テロ
1989年10月16日:米金融機関の経営難で米株式相場が下落した流れを継いで、SMIは11%下落。
1991年8月19日:ソ連のゴルバチョフ大統領に対するクーデター勃発を受け、SMIは8%下落。
スイス株式指数(SMI)
スイスの優良株をまとめた指数。チューリヒ証券取引所に上場される全スイス企業株の値動きをまとめたスイス・パフォーマンス指数(SPI)のうち、最も流動性が高い大・中型株20銘柄で構成される。
1997年10月28日:アジア通貨危機が波及し、SMIは一時10%超急落。4.6%安で取引を終えた。
1998年10月1日:ヘッジファンドの破綻や日本などアジア、ロシア、南米での銀行破綻が相次ぎ、SMIをほぼ6%押し下げた。
2001年9月11日:米同時多発テロ事件の発生を受け、SMIは約7%下落した。
2001年9月21日:テロ事件の10日後、各国で株式相場が数年ぶりの安値をつけた。SMIは約8%急落。投資家は経済的リスクの増大やテロによる金銭的損害のほか、戦争が起きる可能性も恐れていた。
金融危機の爪痕
2008年1月21日:米国の景気後退に対する懸念で、SMIは5%超下落した。
2008年9月15日:米投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻を受け、SMIは一時5.4%下落。終値ベースでは3.8%下落となった。
2008年10月8日:金融危機の懸念でSMIは一時6.6%下落。主要中央銀行による協調利下げを受けて買い戻しが入り、SMIは5.5%下落で取引を終えた。
2008年10月24日:東京証券取引所の大暴落が波及し、SMIは一時8%超下落した。
フランショック
2015年1月15日: SNBはユーロに対するフラン相場の上限を撤廃。SMIは前日比で一時9000ポイント下落し8000を割り込んだ。最大下落幅は13.8%と日次で過去最大。8.7%下落で取引を終えたが、翌日さらに6%下落した。
2015年8月24日:中国の景気後退への不安でSMIは7.3%下落した。中国中央銀行が資金注入するとの観測が広がって下げ渋り、終値は3.7%下落だった。
2016年6月24日:英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱案を可決したのを受け、SMIは一時6.8%下落。3.4%下落で引けた。
2020年2月24日:新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)が欧州にも広がり始め、SMIはそれまでの上昇相場に終止符が打たれた。この日は1万1270の過去最高の更新を目前に、4%下落した。
2020年3月9日:COVID-19の感染拡大に加え、サウジアラビアとロシアの間で石油価格を巡る交渉が決裂し、SMIは一時700ポイント下落、最大下落率は7%に達した。株安の波は世界中に広がった。
2020年3月12日:COVID-19拡大への懸念から、株式相場の下落が加速。欧州中央銀行が量的緩和策の拡大を発表したが、市場を落ちつかせるには至らなかった。SMIは一時10%近く下げ、終値ベースで9.6%下落した。
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