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ワイン収穫祭に250人の日本人

(swissinfo.ch)

収穫後のワインが醸造過程に入った10月中旬、「シャスラ種は白ワインの王様」と熱っぽく語るワイン生産者ジャン・ダニエル・ヴォチエさんを訪ねた。

夫人の慧芝 ( ふいち ) さんは日本人。さしみや寿司などに合うさっぱりとした辛口のシャスラ種ワインを、日本人の間にマーケットを広げたのは慧芝 さんだ。

レマン湖は第2の太陽

 「シャスラ種はスイスワインの名刺とよく言われるが、わたしは白ワインの王様だと思う」とヴォチエさん。このさっぱりとしたワイン種を育てるには、レマン湖畔からなだらかに起伏を作るスイスロマンド地方 ( フランス語圏 ) の25度前後の安定した気温がピッタリだ。

 フランスの熱い太陽の光では酸味を殺し甘くなり過ぎる。だから、「国境近くのフランス、ドイツで少しは生産しているものの、シャスラ種のワインはスイスだけでできる白ワインだ」ということになる。この地方の気温が安定しているのは、「レマン湖が第2の太陽」として昼間に吸収した熱を夜に放射してくれるからだという。

 今年は「ワイン生産者が一生に一度だけ経験できる」ほどの素晴らしい年になった。量ではなく質において異例の年で、酸味と甘みがちょうど良いバランスを取り、カビで腐ったブドウもゼロだった。

 雨の降らない月が1カ月も続いた上、ビーズという冷たい風が吹いた。ブドウは「人間がオーバーを着るように皮を厚くして中身を守り」、引き締まった味を作り出した。10カ月後どんなワインが出来上がるか、今から楽しみだとヴォチエさんは言う。
 

お客さんは友達

 「今年9月末の収穫祭には250人の日本人が来てくれて、ブドウを摘んだりブドウジュースを飲んだり、ワインを試飲したりしてくれた。地元の新聞が珍しいと言って取材に来た」と慧芝 さんは嬉しそうに話す。

 「日本から来た駐在員の方たちはスイス滞在期間が長くて3年。その間にブドウ狩りができるなんて一生に一度の経験」というのでスイス中からみんな駆けつけてくれる。十数年前始めた時は50人だった。

 こうして訪ねてくれて、味を気に入った人が日本に帰ってからも注文を続けてくれる。今では生産の2割は日本向け。暮には12本入りケースを300個配送する。
 「日本の約200人いるお客さんはみんな友達。わたしを長年知っていてくれて、わたしが作るワインを好んでくれる。この、知り合ってワインも愛してくれるという人間的触れ合いがとても大切だ」
 とヴォチエさん。

 実際多くの固定客がいるというスイスドイツ語圏でも長年の付き合いが続く家で試飲会を開き、一度は顔を合わせて話をしながら販売網を広げていくという。小売りなどには一切卸していない。

毎年生まれる子ども

 「ワインは、新しく生まれてくるわたしの子ども。毎年どんな子が誕生するか楽しみで仕方がない」
 とヴォチエさんは言う。同じシャスラ種でも数メートル離れた土地では地質によって違う味のブドウになり、またその年の天候よっても違ってくる。

 人間と同じで、水源が地下深いと6、7メートルも根を伸ばしてやっと水を手にする「苦労した」ブドウの木は、「土の香りのする、個性の強い」味のブドウを実らせる。ところが、苦労しない木は、性格のない味のブドウを作る。だから、ブドウ作り、ワイン造りは「色々な要素の組み合わせ」がからみ、創造性に富みおもしろい。

 「もう一度生まれてきたら、またワイン生産者になる。わたしからこれを取りあげたらわたしではなくなる」というくらい、ワイン造りに情熱を傾けるヴォチエさん。「一生に一度の経験だ」という最高の収穫の年からできるワインは、来年の5月頃に産声を上げる。

里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 、オーボンヌにて、swissinfo.ch

ジャン・ダニエル・ヴォチエさんのワイン生産

場所はヴォー州オーボンヌ( Aubonne ) 。ブドウ園の名は「ドメーヌ・デュ・ムラン ( Domaine du Moulin ) 」。

2代続くブドウ生産農家。ヴォチエさんの代からワイン生産を始めた。

6.2ヘクタールのワイン畑。年間9万本のワインを生産。2割を日本へ出荷する。

7割がシャスラ種の白ワイン、残りはピノノワール種などの赤ワイン、スパークルワインなど計13種類を生産する。

ヴォチエさん本人、従業員1人と見習い1人の、計3人でワインを生産している。

また、1割はカビ対策に化学薬品をつかうが、9割は自然の農薬、肥料を使用し、それを保障する「ヴィティスイス ( Vitisuisse ) 」の証明書を持っている。

例えばブドウの花などを食べる毛虫を生むチョウ類の対策には、オスのチョウがメスと勘違いするメスのホルモンの入ったカプセルをブドウの木につけたり、また害虫のクモを食べる小型の昆虫を使ったりしている。

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