18日、大阪北部を震源とする最大震度6弱の地震が発生し、大きな被害が出た。スイス各紙も被害の様子を報じた。
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マルチメディア・ジャーナリスト。2017年にswissinfo.ch入社。以前は日本の地方紙に10年間勤務し、記者として警察、後に政治を担当。趣味はテニスとバレーボール。
「嵐が吹き荒れる湖にいるような感じ」
神戸市に住む義理の両親を訪ねるため、JR山陽線朝霧駅にいたスイス人男性は、18日付のスイスの無料紙20min.外部リンクに対し「何も動かない。誰も仕事に行けない」と周囲の混乱ぶりを語った。兵庫県内の揺れは大阪ほどではなかったものの、地震発生時は「誰かが家を揺すっているような感じ。まるで嵐が吹き荒れる湖にいるかのようだった。何回か地震があったが、揺れがおさまるまでに約3〜5秒かかった」と振り返った。
別の女性読者は地震で目が覚めたといい「地震だと分かってすぐ、パスポートを持って建物を飛び出した。(地震の揺れは)永遠に続くのではないかと思った」と当時の恐怖を語った。
18日付のドイツ語圏の日刊紙NZZ電子版外部リンクは、スイス通信の情報として死者が少なくとも3人、負傷者が約230人に上ったと報じた。また朝方の地震で電車がストップするなど交通機関が大きく乱れ、大阪、兵庫両県では17万世帯超が停電、ガスの供給が止まった世帯は10万世帯以上に上ったとした。
また大阪府高槻市でプールのブロック塀が倒れ、登校途中の女児(9)が下敷きになって死亡したことも伝えた。日本のメディアでは、ブロック塀が建築基準法の定める高さを超えた違法なものだったと報じられているが、NZZでは触れていない。
NZZはまた、この地域で強い地震が起こる可能性について、専門家が以前から指摘していたことも言及。大阪市直下を走る活断層は1万年以上活動していないため特に危険だとし、1995年に発生した阪神・淡路大震災(マグニチュード7.3)では6434人が犠牲になったと伝えた。
「周辺の原発に異常なし」
ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)は、道路が陥没して水が周囲に溢れ出す様子や屋根瓦が崩れた家屋などを映像で伝えた。また、周辺の原発の異常を報じるメディアはなかったとした。
フランス語圏のスイス公共放送(RTS)でも被害の様子が映像で伝えられ、同局のフェイスブックページには読者から「その場を想像すらできない」「信じられない」「かわいそうな人たち」というコメントが寄せられた。
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3.11から7年 原発事故取材続けるおしどりマコ・ケンさん その原動力は
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2011年3月11日の東日本大震災から7年が経った。芸人のおしどりマコ・ケンさんは、福島第一原発事故発生後から東京電力の会見に出席し、福島県にも足を運んで被災者の声を取材し続けている。4月8日には、日本人市民団体がチューリヒで開く震災7周年イベントで、原発事故のその後について講演する。ジャーナリストとして二人を突き動かす原動力は、何なのだろうか。
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日本とスイス 対照的な原子力政策
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東京電力福島第一原発事故から6年。スイスは2017年5月21日、原子力に拠らない未来をかけて国民投票を実施する。逆に当の日本は停止していた原子炉の再稼動に動き出している。この逆転現象の背景にあるのが直接民主制だ。
二国のエネルギー政策を取り巻く環境は共通する面が多い。日本とスイスはともに代表民主制を採る。輸出中心の工業立国であり、数十年間核エネルギーが重要な役割を担ってきた。2010年時点で両国とも原子力発電が電力総需要のほぼ3分の1を占めていた。
だが原子力の平和利用は核だけでなく現代社会を分裂させる。日本でもスイスでも、最初の原子力発電所の設立計画が動き出した1950年代、数百万人が危険な技術に反対してデモ行進をした。
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スイスでマグニチュード4.6の地震発生
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スイス東部シュヴィーツ州で6日夜、マグニチュード(M)4.6の地震が発生した。今回の地震はここ数年で最大規模となった。
連邦工科大学チューリヒ校のスイス地震サービスによると、地震が発生したのは6日21時12分ごろで、シュヴィーツ州クラウゼン峠から北東6キロの地点で観測された。震源地はグラールス州リンタールから西4キロの地点で、ドイツ語圏全域で地震の揺れを感じたという。今回の地震による大きな被害はないと見られている。
今回の地震はここ数年で最大規模。昨年スイスで観測された有感地震は31件で、長年にわたる平均地震観測回数23件と比べると明らかに多発している。昨年10月24日にはヴァレー州ロイカーバートでマグニチュード(M)4.1の地震が発生している。当時、スイス地震学サービスは、このような規模の地震は1~3年ごとに起こるとしていた。
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「今後、スイスも油断はできない」と連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)・スイス地震サービスのシュテファン・ヴィーマー局長は、イタリアで地震が起きた日の翌日、スイス公共放送の番組でこう語った。 「イタリアと同様、スイスも…
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熊本地震 スイスでも刻々と報道
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熊本県で14日から断続的に発生している一連の地震について、スイス公共放送(SRF)は15日の昼のニュース番組で、被害にあった家屋の様子や無事に救出された生後8カ月の赤ちゃんの映像を放送。スイスの新聞各社も写真や動画などふんだんに使いながら、被害の状況を随時報道している。
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