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フェット・デ・ヴィニュロン 20年ぶりスイスの「ワイン生産者の祭り」 複雑化する運営

L'arène de la 'Fete des Vignerons' à vevey

フェット・デ・ヴィニュロン(ワイン生産者の祭り)の会場の1つ、アリーナとヴヴェイの街並み

(© Keystone/ Valentin Flauraud)

スイス西部ヴォー州のヴヴェイで約20年毎に開催される伝統行事「ワイン生産者の祭り(フェット・デ・ヴィニュロン)」。その準備は並大抵のことではない。100万人の来場者が見込まれるヴヴェイの華やかな祭典は、ブラジル・リオのカーニバルに匹敵する規模で、その運営は多くの困難を伴う。 

レマン湖のほとりにある町ヴヴェイのマルシェ広場に、座席数2万席の野外アリーナが陣取る。まるで天から舞い降りてきた巨大な宇宙船だ。赤色、黄色、緑色、茶色で彩られたアリーナは、今夏開催される「フェット・デ・ヴィニュロン他のサイトへ(ワイン生産者の祭り)」の中でも一際目を引く施設だ。100年に4回しか開かれない大祭によって、この小さい町は大きく様変わりする。 

7月18日~8月11日までの開催期間中、ラヴォー地区やシャブレ地区のブドウ栽培とワイン造りの伝統を称える祭典に、100万人の来場者が押し寄せる見込みだ。ヴヴェイのワイン生産者組合他のサイトへが17世紀に始めた年に1度のパレードは、ささやかな地元の祭りから、伝統音楽、ダンス、演劇を織り交ぜた3週間の一大イベントとストリート・フェスティバルに変身した。

ソチやトリノの冬季オリンピックの閉会式を手掛けたダニエル・フィンジ・パスカ他のサイトへ氏が演出する2時間ショーは毎日行われ、7千人を超える地元の俳優、歌手、ミュージシャンが出演する。そのほとんどはボランティアだ。ショーの後には、200年以上前に初めて祭りが開催されたときと多くは同じテーマで、伝統的な催しがヴヴェイの通りやバーで行われる。

複雑さを増す祭典の運営 

これほどの歴史的イベントを開催するのは高くつく。時代と共に祭りの規模が拡大するにしたがって、予算も膨らんでいった。今年の祭りの開催経費は1億フラン(約108億円)。1999年に開催された前回の約2倍だ。 

「いつの時代も祭りは大掛かりだ。18・19世紀、会場の設営には6カ月掛かった。今年も半年掛かるが、複雑さを増した」と説明するのは、祭典のエグゼクティブ・ディレクター、フレデリック・オールさんだ。 

経費急増の一因はより洗練された演出装置にある。「99年、ステージは1つだった。しかし、今年は1つのアリーナに5つのステージがある。つまり、照明・音響装置も技師も5倍必要ということだ」とオールさんは説明する。アリーナの建設費1300万フランのうち、照明・音響装置だけで1200万フラン掛かる。 

400個のスピーカーが取り付けられた高さ32メートルの塔は8つあり、アリーナの至る所に設置されている。また、アリーナには世界最大の「LEDフロア」―床がディスプレイになった千メートル四方のインタラクティブ・フロア・システム―がある。アメリカンフットボールの祭典「スーパーボウル」やヨーロッパの音楽コンテスト「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト」で使われたLEDフロアの5倍の大きさだ。

写真で見るスイスの伝統行事 「フェット・デ・ヴィニュロン(ワイン生産者の祭り)」の歴史

レマン湖畔の小さな町ヴヴェイで数十年に1度開催される「フェット・デ・ヴィニュロン(ワイン生産者の祭り)」。その歴史を写真ともに振り返る。 

環境にも配慮 

祭典の運営者は今年、追加的な環境要求事項にも対処しなくてはならない。開催期間に使われる資材の約95%は再資源化、再販売、あるいは再利用が可能だ。その他に、レマン湖の生態系を保全するための特別措置も取っている。 

「99年のときは、レマン湖上にテラスを建設する許可を得るためには、州の水道局に申請書を送ればそれでよかった」と、祭典の建設責任者ダニエル・ヴィリさんはヴォー州の日刊紙24時間新聞 に話した。また、「今回は、公的な調査と環境影響調査を実施しなければならなかった。そのためのダイバーが現場に派遣され、水生動植物の事前調査が行われた」と説明した。 

アリーナに隣接するレストランとバーの広大な湖畔のテラスを支えるため、約260本の木製の柱が湖底に埋め込まれた。湖水をかき乱したり、魚に害を与えたりすることのないよう工事には振動対策が施された。 

移動しなければならない湖底の石は注意深くその位置を記録し、祭典終了後、元の場所に戻さなくてはならない。これらの環境配慮措置は合わせて約200万~300万フラン掛かる。

Des pilotis dans le lac à Vevey

レストランやバーの巨大なテラスの支柱として、湖底におよそ260の木の柱が埋め込まれた

(© Keystone / Jean-christophe Bott)

公道の使用も簡単ではない 

祭典運営の複雑さは、ワイン生産者組合とヴヴェイ市当局との間で昨年行われた長期のやっかいな交渉にも表れた。双方は結局、組合が、マルシェ広場やその他の公共物や公共サービスを300万フランで借り、地元企業に対し補償することで合意した。安全対策にも多額の投資をしなくてはならない。 

「テロなど世界中で起きている事件を反映して、市当局や警備専門家の要求は20年前よりもかなり大きい。完全なパラダイム・シフトだ。そのせいで何もかも高くつく」とヴヴェイのワイン生産者組合の会長フランソワ・マルゴさんは強調する。 

技師の雇用に千個のレンタル簡易トイレ、イタリア製のコスチューム6千着…ちりも積もれば山となるで、膨大な額に膨らんだ。「20年前と比べて何でも25%は高くつくと見積もった」とエグゼクティブ・ディレクターのオールさんは話す。

Une femme portant une robe blanche pour la Fete des Vignerons

フェット・デ・ヴィニュロンに出演する5500人の女優のうちの1人

(Fred Merz | Lundi13 | Fête Des Vignerons.)

ボランティア頼みの人件費 

コントロール可能な予算は人件費だ。人件費はこれまで最低限に抑えられてきた。1万人のスタッフとショーの出演者のほとんどが、祭典にとってなくてはならない無給のボランティアだ。しかし、適材を見つけるのはまた別の問題だ。 

地元ボランティアの間で、祭典はまだ強力に支持されている。しかし、祭典の運営者によれば、人々は以前ほど時間を割けないようだ。また、地元企業も、手伝いのために部長クラスに休みを取らせることに以前ほど積極的ではないようだ。 

「99年には、ネスレやいくつかの地元銀行は、祭典のために働けるよう部長クラスに午後半休を与えた。それが、地元企業の祭典への貢献だったが、20年間で方針は変わった」とワイン生産者組合の事務局長サビーネ・カルッツォさんは話す。 

「祭典はかなりプロフェッショナルになった。ボランティアによって賄われていた多くの仕事がプロの手に委ねられている。人々は以前よりも忙しくなったからだ」

祭典運営者は自らの成功の犠牲者 ? 

拡大した祭典の財源確保と同時に、組合が次の20年間存続するための600万フランに上る収益を運営者は目指している。そこで、追加費用を賄うために、ショーを1週間延長し、11万枚の追加チケットを売らなくてはならなくなった。ネスレや航空会社のスイスエアなどのスポンサー企業は総経費の約2割を引き受ける。 

今年の祭典では「州の日」が設けられ、スイスの各州が割り当てられた日に独自の民族衣装に身を包んだ代表団を送り、イベントを開催する。祭典はドイツ語圏スイスと外国の中でも特に米国、フランス、ドイツに重点的に売り込まれている。 

「我々の事業計画を投資家に見せれば、投資家は『ダメ、ダメ、やめなさい、まともじゃない』と言うだろう」とエグゼクティブ・ディレクターのオールさんは笑う。

フェット・デ・ヴィニュロン(ワイン生産者の祭り) 

第12回祭典の開催期間は7月18日から8月11日まで。座席数2万席の野外アリーナで行われる18のショーのチケット価格は79~359フランだ。5500人を超える俳優、900人の歌手、240人のミュージシャンが各日2時間のショーに出演する。

同祭典の予算は1億フラン。1日当たり約4万人が来場する見込み。その内訳は、アリーナの観客1万9500人、ボランティアとその他従業員1万人、来場者1万人だ。フェット・デ・ヴィニュロンは2016年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された。 

インフォボックス終わり


(英語からの翻訳・江藤真理)

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