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大手銀行に侵入、テニスの試合 気候活動家の無罪判決、スイスメディアはどう報じたか

デモ

クレディ・スイス前でデモをする活動家ら

(© Keystone / Jean-christophe Bott)

抗議活動と称しスイスの銀行大手クレディ・スイス(CS)の支店に侵入、無断でテニスをしたとして、不法侵入罪に問われた環境活動家たちが無罪となった。「正当化されうる緊急事態から行動した」ことが理由だという。スイスの地方裁判所が出した驚くべき判決を、スイスのメディアはどう報じたのか。

裁判は1人の裁判官で行われた。判決を出した裁判官は、気候の大惨事に対し、12人の気候活動家たちが起こした行動は「必要かつ相応」だったと判断。 CSでの行動は、銀行に何らかの対応を取らせ、世間の注目を集めるには唯一かつ効果的な方法だったとした。

CS Klima

Radiobeitrag

CS批判

活動家たちは、CSがスイスのテニス界のスター、ロジャー・フェデラー選手のスポンサーとして、フェデラー選手のポジティブなイメージを宣伝に利用したうえ、気候変動に有害なプロジェクトや企業に投資していると批判した。フェデラー選手は自分が負う責任の大きさに気づかせてくれた活動家らに感謝していると表明。自身が置かれた特権的な立場を利用し、これらの重要な問題についてスポンサーと対話していくと語った。

#WakeUpRoger フェデラー、豪火災に寄付を発表

環境活動家からスポンサー批判を受けているスイスの男子テニス界のスター、ロジャー・フェデラー選手が13日、オーストラリアを襲った森林火災の犠牲者に寄付すると発表した。

このコンテンツは2020/01/14 10:13に配信されました

スイスのマスコミの反応は?

ドイツ語圏のスイス公共放送ラジオ(SRF)は判決を受けてこう解説した。「これは活動家にとって二重の勝利だ。法廷での無罪判決を獲得しただけでなく、多くの注目を集めた。あのニューヨークタイムズが、一連の出来事を報じたのだから」。ローザンヌ地方裁判所での公判は、今回の気候保護活動が極めてよく練られた広報戦略のもとに実行されたことを示しているという。「たとえ有罪判決を受けたとしても、活動家はこの一連の出来事で多くのことを達成できただろう」。無罪判決により、気候保護活動は、一層の強みを得たと指摘した。

気候変動 クレディ・スイス批判の環境活動家に無罪

スイスの銀行大手クレディ・スイスの化石燃料への投資に対する抗議活動の一環で、同行敷地内に侵入、無断でテニスの試合をした12人の気候変動活動家に対し、ローザンヌの地方裁判所は13日、無罪の判決を出した。

このコンテンツは2020/01/14 14:40に配信されました

ドイツ語圏の日刊紙NZZは、この判決が「市民的不服従」(非暴力的手段で政府などに対抗すること)との付き合い方を永久に変えてしまう可能性があると指摘した。気候保護運動が始まってから初めて、スイスの裁判所が活動家たちを正当化し、さらには気候危機に注意を引くための市民的不服従はもはや違法な手段ではないというお墨付きを与えたからだという。同紙は「判決がシグナル効果を持ち、この日がスイス法学の歴史書に刻まれると法曹界が唱えても誇張ではないだろう」と指摘する。ただ、NZZは他の裁判所でも、この微妙な問題に取り組んでほしいと期待する。そして、活動家たちには、(メディア報道の主導権を握るなど)権威主義的な傾向が生じないよう注意しなければならないとコメントした。 NZZはまた「活動家たちが肝に銘じなければならないのは、直接民主制が影響力を持つ国では、今回の裁判が成功しても市民的不服従には限界があり、民衆の受け止めがいきなり拒絶に転じることもある」とくぎを刺した。しかし、この萌芽したばかりの運動はますます注目され、世界的なスターから裁判所までも巻き込み政界でも影響力を増しているとも付け加えた。

ドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガーは、ローザンヌ地裁の無罪判決は非常に論議を呼ぶものだとみる。「活動家たちの行動と発言により、単独裁判官が裁判中、政治問題を無視し、法的問題に専心することは困難になった」。検察とCSがともに(ほとんどの場合)不在だったという事実が、活動家、弁護士、証人に完璧なプラットフォームを提供したと指摘。 「彼らが(法廷内での)発言を支配し、環境問題に対して独占的な立場を持っていたーそして明らかに裁判官を(自分たちの側に有利になるよう)説得した」

フランス語圏の日刊紙ル・タンは、無罪判決に怒りを感じているという急進民主党(FDP)の連邦議会議員フィリップ・ナンターモード氏の寄稿を掲載した。弁護側が被告らを米国の公民権運動活動家マーティン・ルーサー・キング牧師やローザ・パークス氏にたとえたが、これは活動家らの取った行動の深刻さを軽視するための茶番だと指摘する。また、活動家たちを自身のキャリアや命、家族を失うリスクをいとわない内部告発者のように描写するのは得心できないという。活動家たちは、重大なリスクを冒すことなく、ありふれた事実を発表してきたと同氏は切り捨てる。そして同氏の意見では、有罪判決こそ活動家にとっての真の勝利になったはずだという。

スイス西部​​のル・クーリエは、勇気のある判決だったと評価した。この判決がスイスの金融業界を揺るがす効果はわずかかもしれないが、いずれにせよ、この一連の出来事は、化石燃料投資が引き起こす壊滅的な影響に注意を向けさせた、という。司法が気候の大惨事に対する差し迫った危険に言及したことは、世界中で求められる政治の急速な変化への弾みとなると期待した。さらに、この判決は気候活動家に活動の正当性を与えたとした。


(独語からの翻訳・宇田薫)

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