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第62回ロカルノ国際映画祭 日本アニメの嵐


里信邦子 ( さとのぶ くにこ ), ベルンにて


「日本のまんがやアニメのファンは、ロカルノ映画祭に何をおいても駆けつけて来るだろう」と、映画の選択・企画を担当するアーティスティックディレクターのフレデリック・メール氏は語った。

ヨーロッパの代表的映画祭の一つ「第62回ロカルノ国際映画祭」では、国際コンペティション部門 に細田守監督のアニメ「サマーウォーズ」、新鋭監督コンペティション部門 に西久保瑞穂監督のアニメ「宮本武蔵-双剣に馳せる夢」がノミネートされており、さらに「鉄腕アトム」から「つみきのいえ」まで、日本のアニメを歴史的かつ総括的に見る「マンガインパクト ( Manga Impact ) 」も特別企画され、日本のアニメ色が濃い映画祭になっている。

マンガインパクト

 「1970年代にヨーロッパに入ってきた日本のまんがは、暴力的側面が目立ちかなり批判を受けた。しかし、今や観客は宮崎駿監督のアニメの登場などで違う側面と質の高さを理解し、日本アニメの全体像を知りたがっている」
 とメール氏は、特別企画「マンガインパクト 」開催の背景をこう語る。

 また、日本のアニメの歴史は転換期を迎えているともいう。一つには宮崎駿監督のアニメ作品がベルリン映画祭やベネチア映画祭で受賞し、また一つには、日本アニメを高く評価し、影響を受け続けてきたアメリカがさらに力を入れており、たとえば来年には「鉄腕アトム」が3Dで再現される。こうした転換期に、3年前から温めてきた日本のアニメを深く知る企画を、今年を最後に芸術ディレクターを退く前に自分の手で実現したかったとメール氏は述べ、「普通の映画フェスティバルがこのような企画をするのは初めてだ」と胸を張った。

 「マンガインパクト」では、約80本の日本のアニメ作品が上映され、展覧会では、展示と同時にテレビのアニメも紹介される。また、「平成狸合戦 ぽんぽこ」の高畑勲監督や「機動戦士ガンダム」の富野由悠季 ( とみの よしゆき ) 監督らが招待され、公演や対談を行う。

コンペティションにも日本のアニメ

 「マンガインパクトが、ロカルノ映画祭本来のコンクール審査に影響を与え過ぎては困るが」と前置きしながらも、メール氏はメインの金豹賞部門 に細田守監督の新作アニメ「サマーウォーズ」、新鋭監督部門 ( Cinéastes du présent ) に西久保瑞穂監督の「宮本武蔵-双剣に馳せる夢」がノミネートされていることを、「マンガインパクト企画と重なる幸いなる偶然だが、日本アニメの質の高さの証明だ」と高く評価した。

 ロカルの名物で8000人近い観客を集める野外大広場「ピアツァ・グランデ」での上映でも、小池健監督の長編アニメ「レッドライン( REDLINE )」が初公開される。「カーレースの話で、スピード感を出すために多様なテクニックを駆使した幻の映画。その初公開がロカルノで行われるは嬉しい。これは日本のヨーロッパ文化に対する関心を表現しており、いわば日本と西欧との懸け橋のような作品」
 と話す。そのほか、高畑勲監督の「平成狸合戦 ぽんぽこ」もピアツァ・グランデの大画面を飾ることになる。

 またメール氏は、1昨年金豹賞を受賞した小林政広監督の新作「ワカラナイ」がまた今年金豹賞部門にノミネートされているが、それを「アニメではないが、失踪した父と病気の母を抱える子どもの話で現代の日本の一側面を悲劇的にかつ美しく描いた作品」と評価した。

 最後に、小林政広監督が繰り広げる世界が代表するように、ロカルノは「強いインパクトを与え、かつ美しい映画」を支持していること。若い監督を応援すること。実験映画からメジャーの映画、ドキュメンタリーからアニメまでとあらゆるジャンルを上映することなどで、ほかの映画祭と一線を画してきたと過去を振り返り、今年を最後にアートディレクターを退くが、今後もこの方向性は変わらないとロカルノ映画祭を位置付けた。

第62回ロカルノ国際映画祭

8月5日から15日までイタリア語圏ティチーノ州のロカルノ ( Locarno ) 市で開催される。

カンヌ映画祭と並ぶ長い歴史を持ち、ジャンルの多様性や若い監督を応援することなどで定評のある、ヨーロッパの代表的な映画祭。

第62回映画祭の全体的傾向は、2つに大きく総括されるという。一つは外国に移民として住む人々の問題、またもう一つは大自然をそのまま高く評価するものと、環境汚染問題に焦点を当てたものに分けられる。

コンペティションでは、国際婚pてぃしょん部門 に18の作品が、新鋭監督コンペティション部門 ( Cinéastes du présent ) に17の作品がノミネートされている。

また今年は日本のアニメ約80本を歴史的かつ総合的に眺める「マンガインパクト ( Manga Impact ) 」が企画され、上映、展覧会、対談などが開催される。これはイタリアの「トリノ国立映画博物館」との共同企画で9月16日からは、トリノで開催される予定。

戦前の短編アニメ、戦後の手塚治作品から、「ポケモン」、「ハイジ」、「つみきのいえ」などまで幅広く上映。高畑勲監督特集、富野由悠季監督特集、「スタジオ・GGAINAX」の特集なども組まれている。

一方、コンペティションでも日本のアニメ「サマーウォーズ」と「宮本武蔵-双剣に馳せる夢」がノミネートされている。

swissinfo.ch



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