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青少年に国連を知ってもらうサイト

「UN4YOU」で国際機関への門戸を広げるスイス政府の試みが始まった Keystone

連邦外務省 (EDA/DFAE ) はこのほど、青少年に国際連合 ( UN ) のことをより深く知ってもらおうと、オンラインのハンドブック「UN4YOU」を製作した。内容は国連の活動に対する提言、シュミレーションゲーム、ワークショップ、国連職員としての職業教育、資料など盛りだくさんだ。

「スイスが国連に加盟して以来、外務省としては国民にスイスの国連政策を身近に知ってもらうことが大きな課題である」と外務省の国連関係課のジャン・フランソワ・パロ担当責任者は語る。

 スイスは2002年9月から国連に加盟したが、加盟を決定した国民投票前に政府は、国民に国連活動をよりよく知ってもらうため、特別の予算を組んでキャンペーンを張ったことは言うまでもない。引き続き国連を国民に浸透させるための予算は取っていなかったため、職業訓練中の1人の女性にこの仕事を与え、オンラインハンドブックの製作に当たらせた。この企画には、スイス青年団体、スイス−国連協会、スイス教育担当機関educa.ch、国連協会世界連盟 ( WFUNA ) の協力を得ることができた。

専門家とのコンタクトが可能

 UN4YOUは、青少年のグループや学校のクラス向けに作られたもので、国連で取り扱うテーマについて、国連の担当者を相手に話し合いができるようになっている。青少年の疑問などに答えてくれるのは、スイス人の国連派遣職員など現在実際に国連で働いている人たち。人権問題や子どもの権利問題などに関係する非政府組織 ( NGO ) のワークショップの概要も紹介され、スイスの国際活動の将来を担う青少年に、国際機関の魅力に接してもらおうというもの。

 国連で働くためには、討論できる能力が重視される。UN4YOUではディベートのシミュレーションを通して国連の実際を肌で感じてもらえるような工夫もされている。国連を学ぶための学習教材は常にアップデートされ、青少年のニーズに応えていく予定だ。学習教材には、国連が青少年や子供たちに用意した「サイバー・スクールバス」というサイトの紹介や、国連の活動が遊んでいるうちに分かるようになるゲームなどもある。こうして青少年や生徒たちが国連の概要を把握したら、さらなる詳細をアーカイブで検索できるようになっている。

職場としての国連

 一連の国連アピールの必要性は、国民に国連を浸透させることばかりが目的ではない。スイス人の国連職員が現在、大幅に減っているため、どうしても若い人たちをリクルートする必要があるためでもある。

 スイス政府が製作したUN4YOUはドイツ語、フランス語、イタリア語の3カ国語でできているので、ドイツ、フランス、イタリアの青少年にも利用してもらえるが、すでにイタリアのトレント市は、市のサイトにリンクが貼られているという。アメリカでもインターネット上の国連紹介サイトはある。「国連の新入りのスイスではあるが、国連の活動に熱心で、活動をしていく上で有益な手段と能力を持っていることを示したい」と担当者のパロ氏は語る。

swissinfo、エティエン・シュトレーベル 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 意訳

2002年9月10日 スイスが国際連合に加盟。
2005年3月10日 国連を国民に浸透させるための第1回の会議が開催される。
同年12月 青少年を対象とした国連アピール計画を立ち上げ、オンラインによるハンドブックを製作することが決定される。
2006年10月 オンラインによるハンドブック「UN4YOU 」が完成。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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