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もぐもぐスイス味 第4弾 社会科見学 -1- モモヨ隊員とアッペンツェラーの秘密

アッペンツラーにもいろいろな種類がある。付属レストランで全種類、試してみよう swissinfo.ch

赤いチョッキの老人2人は「アッペンツェル人」のご多分に漏れず小柄。間に座るドイツ人がつぶやく。「素晴らしい風景においしい空気。良い人ばかりで、誰も秘密なんてない…ないよね…」

このコンテンツは 2010/04/09 15:25

2人の「アッペンツェル人」は口をへの字に結んだままそっぽを向くだけだ。こんなテレビコマーシャルにはアッペンツェラー・チーズを知り尽くしたスイス人も、にやっとさせられる。

スイスで作られている何百種類のチーズの中の代表格の一つ、アッペンツェラーは700年前から作り続けられてきた。アッペンツェル・チーズ協会が品質の統一を図るため酪農家の牛の飼育からチーズの製法までを管理し、テレビコマーシャルやポスター制作などのマーケティングも手がける。チーズのAからZまで厳格に守るためには、それなりの秘密もあるという。

複雑な工程に興味津津

アッペンツェル・アウサーローデン州、シュタイン ( Stein ) にある工房は、常時公開されている。今日の案内人のマドレーヌ・フリッシュクネヒトさんは、チーズ職人が働く工場を下に見るギャラリーで、丁寧に、複雑な工程を説明してくれた。

ここは、アッペンツェラーの工房の中でも最大規模。週末も平日も関係なく毎日2万リットルのミルクが68軒の酪農家から運ばれてくる。3.2%まで脱脂された6000リットルのミルクがちょうど巨大な攪拌 ( かくはん ) 機に流れ込んできた。1回に作られるチーズの個数は80個。この工場では作業を3回転から5回転して、1日の生産個数は平均300個に上る。
「計算してみてください。1個7キログラムのチーズには75リットルのミルクが必要です。つまりミルクの13%がチーズになる計算です。75リットルというと、牛が3日間出す乳の量に匹敵します」

牛は、ブラウン種。飼料は、牧場に生える緑の草。冬は干し草。サイロに保管された草は発酵しているため、この飼料を食べた牛の乳はアッペンツェラーのようなナチュラルチーズの原料には認められない。

凝固剤で丸く固まったチーズは、その後、20%の塩水にまるまる2日間漬けられる。たっぷり塩分を含み、表面にはやがて赤みを帯びた皮が形成されていく。その後、湿度93%、摂氏14度から15度の倉庫に寝かされる。寝かすといっても、コンピューター制御の機械で上下をひっくり返したり、皮の表面を塩分を付けたブラシでこすったり、定期的な手入れが必要だ。2カ月半もすると、チーズは卸業者へ渡り、その熟成倉庫でアッペンツェラーを特徴付けるパセリ、セルビアといった約10種類のハーブを溶かした塩水が丁寧に塗りこまれ、3カ月間から6カ月間かけてやっと小売店へ卸されていく。

…でモモヨ隊員は

巨大牛乳風呂のようなタンクの中で牛乳が攪拌されている。えへん。事前にちゃんと勉強してきたモモヨは、さっそくチーズ博士のようなガイドさんに質問。
「ここのプールにヒミツの味塩ミックス加えるんですか??」
そう、アッペンツェラーはこの世で2人しか知る者のない秘伝のハーブやスパイスをミックスした塩水で味付けされているのだ。
「ここではまだ塩味は付いてないんですよ」とガイドさん。

凝固剤で乳がモロモロになったら隣に並んでいる丸いシリンダー状の型に注ぎいれ、重石をかける。「なんだか豆腐工場と似てますね、隊長」

次には縦長のステンレスの水槽のようなところを見学。ここで、できたての柔らかいチーズを塩水に漬けます。チーズの水分を抜いて塩味をつけるためです。とガイドさん。
「ああ、この塩水が例のヒミツの味塩なんですね」
ポンと膝をうつ佐藤隊長。納得してうなずくモモヨ。
「いえいえ、まだなんですよ」
ええっ。大丈夫なんだろうか。秘伝のヒミツ味付け、そんなに待っていていいのだろうか? 2人で心配しながら進んでいくと、今度はガラス越しにチーズの熟成をすすめる倉庫が見える。

湿度90%以上、摂氏14度。2階建てくらいの倉庫に並んだチーズ、チーズ、チーズ。隅から隅まで下から上までぎっしりと並んでいて壮観である。
「ここでチーズの上下を返しながら塩水で外側を磨いてやって、しばらくたったら、今度は熟成倉庫へ運ばれていきます」
なるほど、ここで最終的にヒミツ味付けするのね・・遂にね。とほっとしかけると
「いいえ。ココではヒミツの味付けはしません」
とガイドさん。
「そんなっ、」
メモ帳を取り落としそうになる隊長とモモヨ。これだけ待ったのに秘密の味付けなしで工場を出ていってしまうとは。いいのか。

いいのです。チーズはこの地方にある熟成倉庫に運ばれて熟成を続けます。そこで初めて秘伝のミックスハーブスパイス入りの塩水を使います。裏返したり磨いたり 熟成の間、じっとしているだけじゃないんですよ。そうだったのか。まあ、よかった。みんな秘伝の味がついて…。

その後レストランで頂いた、熟成度の違うアッペンツェラー。舌にやさしいマイルドタイプからガツンとパンチの効いた熟成タイプ。それぞれに美味しい。マカロニにここのチーズをかけて香ばしく焼いたものも大変よろしかったのであった。

佐藤夕美 ( さとうゆうみ ) & モモヨ swissinfo.ch

胸一杯度 ★★★
一生かけたら食べきれるかも度★★

アッペンツェラー

ナチュラル、セミハードチーズ。
アッペンツェル・インナーローデン州、アッペンツェル・アウサーローデン州、ザンクトガレン州、トゥルガウ州の酪農家約1300軒が生産した生ミルクを使う。同地域にある65の工場でチーズに加工され、卸業者の成熟倉庫で仕上げられる。
6種類のアッペンツェラーの特徴は以下の通り。

・クラシック ( Classic ) 3カ月寝かせたもので、マイルドな味が特徴。銀ラベル。
・1/4脂肪 マイルド ( Appenzeller 1/4-fett MILD ) ・カロリー30%減。マイルドな味。
・スルショ ( Surchoix ) 4か月寝かせ、風味のあるしっかりとした味。金ラベル。
・1/4脂肪 濃い味 ( Appenzeller 1/4-fett RAESS ) カロリー30%減、風味のあるしっかりとした味。アッペンツェル地方でしか販売されていない。
・エクストラ ( Extra ) 熟成5カ月半の検査により高品質と認められたものの中から、6カ月寝かせた最高級品。非常に香ばしく濃いアロマを放つ。黒ラベル。
・有機 ( Appenzeller BIO ) 1996年から製造し始めた。有機ミルクで作られた、クラシックと同質のチーズ。

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アッペンツェラー・チーズ公開工房 ( Appenzeller Schaukäserei )

Dorf 711
9063 Stein (AR )
行き方 ザンクトガレン駅からバスで約15分。シュタイン・ポスト ( Stein Post ) 下車
4月から10月まで8時半から18時半まで。11月から3月までは17時半までだが、金曜日は夕方も営業。チーズ製造は17時まで。
自由に見学でき、製造過程を説明する映画も観られる。ドイツ語、フランス語、イタリア語、英語のガイドを希望する場合は前もって予約が必要。ガイド付きの場合は、1回約1時間で65フラン ( 約6000円 ) 。レストランでは、各種アッペンツェラー・チーズが試食できる。工場の隣はアッペンツェル民族博物館もあり、1日の行楽に最適。

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