スイスのメディアが報じた日本のニュース
スイスの主要報道機関が先週(3月4日〜10日)伝えた日本関連のニュースから、3件をピックアップ。要約して紹介します。
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【スイスで報道されたトピック】
- 山本理顕氏にプリツカー賞外部リンク(3/5)
- 「SHOGUN 将軍」は今年のベストシリーズ?外部リンク(3/6)
- 日銀、脱緩和のシグナル外部リンク(3/7)
- 祇園の私道が一部立ち入り禁止に(3/7)
- 女子プロレスで活躍するテクラ・カイシャウリ外部リンク(3/7)
- 漫画家の鳥山明氏が68歳で死去(3/8)
- 沖縄のスイス人武闘家ブルーノ・フンベル氏外部リンク(3/8)
- 共同親権導入へ一歩(3/9)
- ウーバーイーツでロボットを試験運用外部リンク(3/9)
- ルノー「カングー」に熱狂する日本人外部リンク(3/9)
- バーゼルの日本祭りKonomi Festival外部リンク(3/9)
この中から今回は①共同親権導入へ一歩②祇園の私道が一部立ち入り禁止に③漫画家の鳥山明氏が68歳で死去、をご紹介します。
共同親権導入へ 「緊急事態」には片親の判断も可
離婚後の子どもの養育について、父と母双方が親権を持つ「共同親権」の導入を柱とした民法などの改正案が閣議決定されました。フランス語圏の日刊紙24heuresは9日、「共同親権の承認に向けた一歩」と題した仏AFP通信の記事を転載しました。
内容は、共同親権の賛成・反対意見をバランスよく紹介したものになりました。単独親権は「家庭内暴力(DV)や児童虐待に対する安全策」であり、ほとんどのひとり親が改正に反対していると伝えています。
一方、国連が2019年に「外国人の親も含め、子どもにとって最善の利益となる場合には」共同親権を導入するよう勧告していたことを指摘。単独親権はもう片方の親と子どもの間の有意義な接触を崩壊させる可能性があるとの批判も紹介しました。
AFP通信は法務省の話として、教育や健康などに「緊急事態」が生じた場合は、片親がもう一方の親に相談することなく決定を下すことができると説明しました。(出典:24heures/フランス語)
失礼な観光客
パンデミック後のオーバーツーリズム(観光公害)と闘うため、京都の著名花街では観光客の私有路地への立ち入りが禁止される――舞妓が行きかう祇園の町のこんなニュースが、仏AFP通信を介してスイスのフランス語・ドイツ語圏で報じられました。
AFPは祇園南側地区協議会の太田磯一理事の話として、4月から観光客に私道を歩かないよう要請する予定だと報じました。幅1~2メートルの狭い通りから舞妓が出てくると、観光客の集団が「パパラッチのように」行動することがあるといいます。舞妓の着物が観光客に引き裂かれたり、襟元にたばこの吸い殻が投げ入れられたりといった被害も報じられています。
記事は「一般的な誤信に反して、舞妓は売春婦ではなく、日本舞踊や音楽、ゲームや物語などで客を楽しませる、非常に熟練したエンターテイナーだ」と強調し、暗に舞妓への敬意を促す形で結んでいます。(出典:20min.外部リンク/フランス語)
甘くてかわいいキャラクター
「Dr.スランプ」や「ドラゴンボール(DB)」など世界的な人気作品を生み出した漫画家の鳥山明氏が今月1日、68歳で死去していたことが報じられました。スイスではまず1990年代にフランス語圏でアニメが放映され、人気作品に。ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)は、「代表作DBは世界で最も成功した漫画シリーズの1つ」と功績を称え、ルツェルン応用科学大学のデザイン&アート講師を務めるクリスティアン・ガッサー氏に話を聞きました。
ガッサー氏は「DBに何らかの影響を受けていない少年漫画は恐らく存在しない」と指摘。同作が欧州でブレイクした最初の漫画になった理由に、「ちょっとヒステリックで大げさで、甘くてかわいい」というキャラクターデザインを挙げた。西洋の漫画では軽視されていた10~15歳の少年を狙ったことも成功の要因だそうです。
もう1つの秘訣は、日本の右から左への読み方を維持し、西洋の読み方に変換しなかったことだといいます。「そのおかげでDBはまるで秘密クラブのような特別なものになりました」
フランス語圏のスイス公共放送(RTS)は少し別の鳥山評も紹介しました。「海外での漫画や日本アニメの人気を押し上げた」と前置きしつつ、「1980年代~90年代には論争がなかったわけではなく、他の日本の作品と同様に、暴力やヌード、女性の『パンティー』を好むキャラクターの性癖などを非難する人もいた」と指摘しました。RTSの過去記事外部リンクによると、アニメ放映に当たり、視聴者層に合わせて暴力シーンがカットされる場合もありました。
RTSはこうした批判について、鳥山氏が朝日新聞との2013年のインタビューで語った「このシリーズを描いたとき、私が望んでいたのは日本の少年たちを喜ばせることだけだった」というコメントも紹介しました。
南部ヴァレー州の地域紙Le Nouvellisteは、訃報に際し「ファンからは賛辞が殺到した」とし、X(旧ツイッター)に投稿された追悼コメントやファンアートの一部を転載しました。(出典:SRF外部リンク/ドイツ語、RTS外部リンク/フランス語、Le Nouvelliste外部リンク/フランス語)
話題になったスイスのニュース
先週、最も注目されたスイスのニュースは「チューリヒ空港滑走路を延長へ 3日住民投票で可決」(記事/日本語)でした。他に「ロシア、スイスから迂回調達か 周辺国への輸出急増で」(記事/日本語)、「スイスのインフレ率、2021年10月以来の低水準に」(記事/英語)も良く読まれました。
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次回の「スイスで報じられた日本のニュース」は3月18日(月)に掲載予定です。
校正:大野瑠衣子
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