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チューリヒ映画祭がオープン

パートナーのグレト・レーヴェンスベルグさんとともに「ゼンネントゥンチ」の封切りに訪れたロイエンベルガー大臣 EQ Images

9月23日夜、モーリッツ・ロイエンベルガー大臣が第6回チューリヒ映画祭の開幕宣言を行った。

スイスの文化界、経済界、政界の名士が集まる中、注目を集めていたスイスのミヒャエル・シュタイナー監督の映画「ゼンネントゥンチ ( Sennentuntschi ) 」が初公開された。

グリーンカーペット

 ロイエンベルガー大臣は演説の中で、チューリヒ映画祭への招待を受けようかどうしようか、少々迷ったと打ち明けた。
「ここでは、主賓が時折『間違った映画』に迷い込んでしまうこともありますから。しかし、わたしはどちらにしてもまもなく閣僚を退任して自宅に拘禁されることになるので、出席することにしました」
 と、昨年、この映画祭に出席するためチューリヒを訪れ、空港で逮捕されたロマン・ポランスキー監督の事件をほのめかす冗談を放った。

 環境大臣でもあるロイエンベルガー大臣は、今回のチューリヒ映画祭で初めて赤ではなく緑のカーペットが敷かれたことにも惹かれたと言う。映画祭主催者側は
「このことで、われわれが気候にやさしい行動を取る義務を負っていることを明白な形にしたかった」
 と述べた。

スイスの伝説を映画に

 スキャンダル映画として注目されていた「ゼンネントゥンチ」は、今回の初公開で精妙に紡がれた社会犯罪映画であることを証明した。「ゼンネントゥンチ」とはスイスの山岳地方に伝わる伝説で、ゼン ( Senn ) と呼ばれる牧人男性たちが寂しさから女性の人形を作り、それが本当に生きているように扱っていた。

 映画はこの伝説から始まるが、最後には現実の中で驚くほど説得力のある展開となっていく。中心になっているのは山岳地域に住む性的欲求のたまった3人の男性で、自分たちで人形を作り、それを欲求解消に利用する。ある日、この人形が人間となり、まさに彼らの生皮を剥ぐ。古い伝説ではセックスと暴力が主なテーマだが、映画ではそのようなシーンは比較的控えめな表現となっている。

「ゴールデン・アイコン」賞

 チューリヒ映画祭は11日間開催され、10月3日まで続く。その間、合計約70本の映画と多数のショートフィルムが初公開される。重点は三つのコンペで、ドイツ語圏を中心とした世界各国の若手監督が新作映画で腕を競う。

 今年は、アメリカ在住のチェコ人映画監督ミロス・フォアマン氏にこれまでの活動をたたえた賞「賞賛賞 ( A Tribute to… ) 」が贈られる。映画界に大きな影響を与えた人物に贈られる「ゴールデン・アイコン ( Golden Icon ) 」賞は、アメリカの俳優マイケル・ダグラス氏の手に渡ることになった。現在、病気で治療中のダグラス氏に代わって、友人のダニー・デヴィト氏が授与式に出席する予定だ。

世界各国の前途有望な若手映画監督の作品を多くの人に観てもらうこと、またすでに成功を収めている映画監督と若手監督および観客との交流を図ることを目的としている。

国際コンペ は3種類あり、最優秀者に「ゴールデン・アイ ( Golden Eye ) 」賞が贈られる。コンペ以外にも著名監督による新作映画も上映される。

「新世界の眺望 ( Neue Welt Sicht ) 」セクションでは映画が興隆している地域で現在活躍している監督に焦点を当てており、今回はオーストラリアが対象となっている。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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