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ベルン旧市街、ユネスコ文化遺産指定から20周年

ベルン旧市街の石造りのアーケードが連なるクラム通りと街のシンボルでもある時計塔。 Schweiz Tourismus

ベルン旧市街が1982年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)に文化遺産として登録されて20年が経った。スイス政府は5日、ベルン市内で「ベルン旧市街—ユネスコ文化遺産記念貨幣」の販売式典を行った。

通貨の表面はアーレ川に囲まれられた、小高い丘に作られたベルンの遠景が描かれ、裏面には街のシンボルである12世紀の城壁の上に立てられた時計塔が見える。

貨幣鋳造
 
 今回発行された貨幣はスイス政府のユネスコシリーズの第3弾で、文化遺産に指定された全4地域すべての貨幣を鋳造する計画。すでに「ミュスタイア修道院」貨幣が2001年、「サンクトガレン修道院」貨幣が2002年に鋳造され、来年は4つ目の「ベリンツォーナの3つの古城」を販売する予定だ。貨幣は一枚20フラン(約1800円)で、インターネットでも注文できる。

スイスの首都ベルン

 ベルン州の旗に熊が描かれているのは「ベルン」という名前が熊(ベアー)にちなんでいるからだ。かつて、街の周辺に生息していたからだとか、最初に捕まえた獲物だからだとかいわれている。

 ベルンの町並みの調和された美しさは歴史的な建造物が守られ、アーレ川に囲まれた特異な地形を生かしているからだ。街は、スイスのツエーリンゲン家によって1191年に作られたと言われるが、12世紀に築かれた都市基盤をしっかり残しながらも18世紀にバロック建築のスタイルで修復されている。このため、中世の町並みのがっしりした雰囲気を残す一方、聖人など色彩豊かで見事な彫刻が中央に立つ噴水があらゆるところに点在するなどバロック特有の豪華な装飾形式も見られる。噴水は全部で11個も残っているが、中世には馬に水を与えたり、洗濯をしたりといった、集いの場だったという。

 ベルンはスイスの首都であるだけでなく、交通の要衝でもある。言語はドイツ語だがフランス語も良く通じ、位置的にもスイスの中央にある。ベルン子は他の都市に行きたがらないというが、この街の美しさを満喫したらその理由に納得させられる。

‐この他、スイスでユネスコにより世界文化遺産として登録されている場所はザンクト・ガレン修道院、ベリンツォーナ旧市街にある城、要塞と城壁、ミュスタイルの聖ヨハネのべネディクト会修道院。

‐日本では京都や奈良の文化財の他、原爆ドーム、厳島神社、屋久島など合わせて11箇所が登録されている。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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