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ローザンヌ国際バレエコンクール、河野舞衣さん2位入賞

お姉さんがやっていたので、6歳からバレエを始めた。バレエのない生活は考えたこともないくらい、ごく自然に生活の中心になっていったという河野さん ( 写真 : 小川峻毅 )  Shunki Ogawa

第35回ローザンヌ国際バレエコンクールの決勝が2月4日ローザンヌで行われ、埼玉県出身の日本人、河野舞衣 ( こうのまい、17歳 ) さんが2位に入賞した。

静岡県出身の吉山シャルル・ルイ・アンドレ ( よしやま、17歳 ) さんは入賞はしなかったものの、「コンテンポラリー賞」を受賞した。

 河野さんの入賞で、日本人は昨年と今年2回連続入賞を飾ることになる。若い日本人ダンサーのレベルは高く、昨年も今年も決勝に進出した12人中、3人が日本人だった。

信じられません

 河野さんがその優雅でピタリと決まる踊りを披露し終えた直後、観客席から大きなブラボーの歓声と拍手が沸きあがった。

 2位受賞の感想は?「信じられません」と一言。観客が投票して決める「観客賞」も受賞した河野さん。こちらの方は「フランス語で何を言っているのか分からないうちに、受け取っていました」と2つの賞の封筒を手に、まだ興奮冷めやらぬ様子。

 2位入賞の奨学金で、今年9月からミュンヘンバレエ団に入りたいという。このバレエ団にはあこがれの「すごくきれいな」ダンサー、ルシア・ラカッラさんがいるからだ。

 河野さんにとって今まで学んだミュンヘン州立バレエアカデミーは理想の場所だった。ここで基礎を学んだ上、心、感情を豊かに持ちそれを表現できるダンサーのあり方を教わったからだ。「将来は感情表現のできるダイナミックなダンサーになりたいです」と抱負を語った。

 一方、6つの入賞とは別に、コンテンポラリーの解釈、表現力が特に優れているダンサーに贈られる「コンテンポラリー賞」を受賞した吉山さんは、「1つの局面を評価されて自信がつきました。すごくうれしいです」と喜ぶ。

 「でも5歳から始めた、クラシックバレエは大事にしていきたい。両方踊れるダンサーでありたいです」

 しばらくは、今学んでいるイングリシュ・ナショナル・バレエ・アカデミーにいて、将来はできれば、サンフランシスコのカンパニーで踊りたいと考えている。

入賞後は?

 「そもそも決勝に進出した12人はそれだけで、他のダンサーより伸びる潜在力があると評価されたのです。入賞の6人はさらに可能性を伸ばして欲しいというので選ばれ、平等に奨学金16000フラン ( 約150万円 ) を 受け取ります。また観客賞や、コンテンポラリー賞も大切な賞です。もちろん1位、2位という順位は準決勝と決勝の2日間の評価点の合計によるもので、重要ですが、留学先を選ぶ優先権が基本なのです」とコンクール事務局長、パトリシア・ルロワ氏。

 また、入賞者は他のコンクール、上海インターナショナル・バレエ・コンペティション ( IBC ) やユース・アメリカン・グランプリ ( Youth American Grand Prix ) の準決勝や決勝に、予選を通過せずに参加することができる。

swissinfo、ローザンヌにて 里信邦子 ( さとのぶ くにこ )

6位までの入賞者
1位パク・セーウンさん( 韓国 )、2位河野舞衣さん( 日本 )、 3位キム・チャーリーさん( 韓国 )、4位ヘイ・ジェイムスさん( イギリス )、 5位モレイラ・テルモさん( ポルトガル )、6位マチュー・デリアさん(イギリス )

ローザンヌ国際バレエコンクールは35周年記念として、新しいロゴを作った。曲線はダンサーの動きを表し、水色は空の清浄さと水の流れのしなやかさを表現している。

また、決勝直後に、過去70年代、80年代、90年代、2000年代の入賞者のダンサーに各時代を象徴する踊りを踊ってもらうプログラムがあり、35年間の歴史を振り返った。

80年代では1988年に入賞したコンテンポラリーダンサー、振り付け師の中村恩恵 ( めぐみ ) 氏がバッハの曲でコンテンポラリーを披露した。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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