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方言はだめよ

先生が率先して、方言を話さないようにすることが肝心

(Keystone)

ドイツ語圏の学校の先生は学校では話し言葉であるスイスの方言を話さないよう勧告された。

夏休みが終わると新年度になるスイスの小学校。スイスのティーンエイジャーたちのドイツ語の読解力のレベルの向上が求められている。

世界開発協力機構(OECD)が委託し、ピザに本拠を持つ国際学生鑑定機関が行った調査によると、スイスの15歳の生徒たちの2割が簡単なドイツ語の文章を理解できないことが分かった。調査結果をスイスの教育関係者は深刻に受け止め、各州の教育委員会に生徒の文章理解の能力を向上させるよう、教師に要請を行った。

ドイツ語圏の生徒たちは学校では、読み書きはドイツ語の標準語を使うことになっていても、日常生活ではスイスの方言を使い、携帯メールやメールのやり取りも方言で書く。方言が「市民権」を持ちだし、標準ドイツ語の使用頻度が落ちたのは1980年から。広告やテレビにゆっくりと進出し、学校でも方言が主流となってしまった。こうしたトレンドに各州の教育委員会はストップを掛けようと、教師向けにドイツ語を使うことを奨励するパンフレットを発行した。

まったく違う言語

 標準ドイツ語とスイスドイツ語の違いは、東北弁と九州弁の違い以上と言っても過言ではない。ドイツ人はスイスで話されるドイツ語を解さないので、方言で話されたスイスの映画はドイツ人向けに字幕スーパーが付くほど。学校でも小学生は、外国語を学ぶようなものと捕らえているのが事実。

 さらに、地方によっても方言は違い、たとえば、ベルンの方言とチューリヒの方言は使う単語さえも違う。スイス人はお互い理解しあうが、外国人がすべての方言を知り尽くすことはほとんど不可能に近い。「こんにちは」標準ドイツ語で「グーテン・ターク」。チューリヒであれば「グリューツィー」。ベルンでは「グリュサッハ」となる。

 ドイツ国内でも方言はあるが、各地のドイツ人が一所に集まったら、標準ドイツ語を話すのが普通といわれている。一方、スイスではバーゼル出身者はそのままバーゼルの方言をチューリヒ出身者に向かって話すことを躊躇しないのは、出身地に誇りを持つスイス人だからこそといえよう。

 テレビやラジオのニュースも、新聞も本も、企業間のやり取りの文章も標準ドイツ語が使われるものの、やはりスイス的表現が「間違って」使われたりして、ドイツ人は苦笑いする場面もしばしばある。たとえば、車の駐車は標準ドイツ語ではパルケン(Parken)。スイスドイツ語ではパルキーレン(Parkieren)。科学者の標準ドイツ語はヴィッセンシャフトラー(Wissenschaftler)で、スイスドイツ語ならヴィッセンシャフター(Wissenschafter)と“l“が抜ける。このように堂々と文章の中にスイスの方言が使われている例が多くある。

 方言は話し言葉であり、決して書き言葉ではないのだが、最近は若者を中心に、スイスドイツ語を書くようになり、標準ドイツ語はおざなりに。しかも、生徒たちはもうひとつの国語であるフランス語や最近必要性が高まった英語も取得しなければならず、こうした負担が、ドイツ語の能力低下につながっていると見られる。

お堅いドイツ語に対してライトな方言の人気

 昨年末行われた調査で、チューリヒ州の小中学校では3割から5割が方言で行われているという事実が判明した。夏休み前にチューリヒの教師たちは、低学年からなるべく早いうちに標準ドイツ語を使うように勧告された。今日仕向けのパンフレットを作成したペーター・ジーバー氏は、

「問題は生徒たちより先生。われわれの作成したプログラムでは、教師自身も標準ドイツ語で表現することが上手になるよう、標準ドイツ語により力を入れている」
という。学校では、体育、音楽、美術の時間やグループ活動や討論では標準ドイツ語は使わず、方言で話されているのが普通となっている。

 パンフレットは、授業の中でも方言を使うことが問題の根源だと指摘している。生徒たちは、標準ドイツ語を「お堅い学術的言語」として標準ドイツ語を捕らえているため、生徒たちは標準ドイツ語に興味もなければ、話そうとか、書いたり読んだりしようという気持ちも起こらないという。

 以前にも多くの州の教育委員会は、方言の使用拡大が標準ドイツ語の能力を低下することを指摘したパンフレットを発行してきたが、無視され続けた。
「改善には忍耐が必要。先生自身が自分たちのドイツ語に対する考えを変えることが前提だ」
とウーリ州の教育委員レオン・ミューラー氏。
 教師教育と学校の定期的なチェックにより、この問題を解決できるのではと期待している。

スイス国際放送 佐藤夕美 (さとうゆうみ)

キーワード

先生は教室で方言よりドイツ語を話すよう勧告された。

2001年の調査では、15歳の子供の2割がドイツ語で書かれた基本的な内容を理解できなかったという結果を踏まえた措置。

先生も生徒も、ドイツ語を学ぶメリットを認識する必要があると州の教育委員会。                  

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