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魔女展の魔法

Wickiana/ZB Zürich

1423年から1666年までの間に、スイス中央にある小さな町スルゼーでは59件の魔女裁判がおこなわれた。ほとんどの被告人に有罪判決が下され、打ち首や火あぶりにされた。

このコンテンツは 2008/10/01 15:30

当時の公開処刑場からほんの数歩行った所で、15世紀と16世紀に吹き荒れた魔女狩りを振り返る展覧会が、10月19日まで開催されている。

いけにえ

スルゼー ( Sursee ) が特別だったのではない。魔女に対する恐怖は、現在のフランス、スイス、ドイツに当たる地域に特に広まっていた。
「牛が突然ミルクを出さなくなった。ひょうを伴った嵐で作物が駄目になった。または、夫が性的不能なども理由にあったかもしれません」
と、ザンクトウルバーンホフ博物館の学芸員シビル・グート氏は説明する。
「人びとは罪をかぶせる身代わりを探していました」
グート氏と彼女のチームは、かつての暗黒と迷信の日々へと来館者を引き戻すような展示を作り上げた。

動揺の時代

展示の第1部では、視覚、聴覚、さらには嗅覚を通して来館者は当時に連れ戻される。低い天井、暗い照明、古い家庭用品や農具が当時の雰囲気をかもしだす。ギシギシという荷馬車の音や赤ん坊の泣き声がなんとなく落ち着かなくさせ、お香がほのかにミステリアスな香りを漂わせている。このような演出装置の中で、来館者は魔女の呪術を避けるために、聖なる水、塩、パンで身を守ることができる。

しかし、さらに展示が示すように、当時の人びとはこのような単純な防御手段では満足しなかった。ある者は精巧な装飾が施されたポーチに聖人の絵を入れて持ち歩き、また、ある者は好都合にもページを切り取れる小さなノートに描かれた聖母マリアの絵を飲み込むことすらした。また、節くれだった鳥の足や、げっ歯類の鋭い歯で作ったネックレスを身に付ける者もいた。

さらには「魔女眼鏡」まであった。
「魔女は暗闇の中で光を放つと人びとは信じていました。魔女眼鏡の助けがあればこの光を見ることできるというのです」
とグート氏は言う。本当の眼鏡である必要はなく、大きなリングのついた鍵や穴の開いた石でも代用可能だった。

超自然的

1400年代に生まれた文学や木版画には、魔女の超自然的な特徴が浮き彫りにされている。展示品の1点である1494年に刷られた本は、魔女、魔女と分かる振る舞い、適切な魔女の撃退方法に関する手引書だ。

魔術を使ったと疑われた者はキリスト教に対する脅威と見なされ、容赦なく迫害された。隣人に魔法をかけた罪に正式に問われた者には、おそろしい結果が待っていたようだ。当局は、被告人が魔術の使用を認めたり、悪魔と性的な関係を持ったというようなさまざまな行為を白状するまで拷問したと思われる。罪に問われた魔女のほぼ9割が女性だったが、魔女の中には男性もいたことは特筆に値する。

両足などを固定するさらし台、拷問台、熱したペンチは、使用された拷問用具のほんの一部だ。地味な方法には、脇の下に熱い卵を入れるというのもあった。木版画には多くの被告人がたどった運命のぞっとするような光景が描かれている。今回の展示の中でもギラリと光るハイライトは、かつてチューリヒで魔女の首をはねるために使用された剣だ。もしかしたらこの剣の犠牲者ですら、剣を見て喜んだかもしれない。生きたまま焼かれるという苦しみからは救われたのだから。

現代の魔女

短いビデオの上映を通して、本物の魔女や想像上の魔女に対する現代の眼差しが映し出されている。隣人から魔女であると告発され、その後の人生を台無しにした中央スイス出身の女性をインタビューした1960年代の映像もある。また、ここではスイス人の本物の魔女のインタビューも特集している。

そのうちの1人はアールガウ州に住む魔女が信仰する宗教ウィッカ ( Wicca )
の最高女祭司だ。魔女とは何かと問われると、彼女はこう答えた。
「魔女とは自然と強く結びついた人です。わたしたちはお茶や薬をたくさん作ります」
そして、一部の人は特別な力を受け継いでいるようだと言い、魔女の遺伝的な側面についても語った。

また、魔女であり、ルツェルンにあるエゾテリック ( 神秘的なものを扱う ) 専門店「ツヴィッシェンヴェルト ( Zwischenwelt ) 」のオーナーであるウィリー・ドリームダンサー・ハースさんは
「黒魔術と白魔術を簡単に語ることはできません。魔術には何十万という色があるのですから!」
と主張する。弱い者いじめをする人は黒魔術の罪に問われるだろうと、彼は顔をしかめて言う。ハリー・ポッターの言葉を借りれば「マグル ( 魔法を使えない人間 ) 」には、いじめをする悪い人が本当に悪い魔女なのかそうでないかの見分けが付かないだろうが、ハースさんには自分の立場がはっきりしている
「魔女であることは素晴らしい!」

swissinfo、スーザン・フォーゲル・ミシカ、スルゼーにて 中村友紀 ( なかむら ゆき ) 訳

キーワード

ザンクトウルバンホーフはもともと大修道院の一部で、迎賓館や個人の邸宅でもあった。
1997年、博物館に改装された。常設展では絵画、コイン、魔女狩りに使われた武器、そのほか、数十年以上前にスルゼー ( Sursee ) で発見されたローマ時代の遺物が展示されている。
魔女展は2008年10月19日まで開催中。

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ウィッカと魔女博物館

宗教の一種であるウィッカ ( Wicca ) は、最もよく知られる魔女の宗教の1つ。精神性と自然との強い結びつきを重視する。ウィッカの黄金律は「誰も害さない」。
世界には魔女と魔術を扱った博物館がいくつかある:
イギリス、コーンウォール州のボスキャッスル ( Boscastle ) にある「魔術博物館 ( Museum of Witchcraft ) 」。
アメリカ、マサチューセッツ州のセーレム ( Salem ) には「セーレム魔女博物館 ( Salem Witch Museum ) 」のほか「魔女地下牢博物館 ( Witch Dungeon Museum ) 」と「魔女歴史博物館 ( Witch Hitory Museum ) 」がある。

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