「総統閣下」演じたスイス俳優ブルーノ・ガンツ死去
スイスで最も有名な俳優ブルーノ・ガンツさんが16日、チューリヒの自宅で大腸がんにより死去した。77歳だった。同氏のマネージャーが発表した。
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ガンツさんの代理人パトリツィア・バウムバウアー氏はスイスインフォの取材に「息を引き取ったとき、彼は愛する家族と共にいた。私たちは彼が世界の映画・舞台に残した思い出と貢献を永遠に忘れない」と書面で答えた。
ガンツさんはスイス・チューリヒ出身の俳優で、映画「ハイジ アルプスの物語」(2015 年)ではアルムおんじ役を務めた。また、「ベルリン・天使の詩」(1987年)では天使ダミエル役、「ヒトラー 最期の12日間」(2004年)ではアドルフ・ヒトラー役を主演するなど多彩なキャラクターを演じ、世界的な評判を得た俳優だった。
1941年3月22日にチューリヒに生まれ、父親はスイス人で整備士、母親はイタリア北部の出身。10代で演劇に目覚め、舞台に立つようになった。
映画ではドイツ人監督ヴェルナー・ヘルツォークやヴィム・ヴェンダース、米国人監督のフランシス・フォード・コッポラの作品に出演した。
ヒトラー役
アドルフ・ヒトラー役を演じた「ヒトラー 最期の12日間」はガンツさんの代表作となり、映画評論家から絶賛された。狂気的な演技はインターネットなどでも大きな話題を呼んだ。
「ハイジ アルプスの物語」で演じたアルムおんじ役も好評を博した。スイス公共テレビは映画の撮影現場を取材し、ガンツさんにも話を聞いた。
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ガンツさんは映画と舞台の両方で活躍した。だが「プリティ・ウーマン」(1990年)でジュリア・ロバーツの恋人役を辛くもリチャード・ギアに奪われた。またスティーブン・スピルバーグ監督にオスカー賞作品「シンドラーのリスト」の主役への採用を拒絶されるといった憂き目にも遭っている。
惜別の声相次ぐ
スイスの文化政策を司るアラン・ベルセ内務相は自身のツイッター外部リンクで、「ブルーノ・ガンツは役を演じるのではなく、生きた」と称賛。「スイスで最も偉大な俳優の一人を失った。私が彼に会うときはいつでも、充実した人生を送り、社会と共に生きる偉大な人物であると感じた」
スイスの映画制作の広告代理店スイスフィルムズもツイッターで死を惜しんだ。
Swiss actor Bruno Ganz passed away last night at the age of 77. He was one of Europe's most charismatic and versatile actors who worked with countless renowned Swiss and international directors. #BrunoGanz外部リンク received the Honorary Swiss Film Award in 2017. He will be missed! #RIP外部リンク pic.twitter.com/3AmSwhOLKW外部リンク
— SWISS FILMS (@SWISS_FILMS) February 16, 2019外部リンク
チューリヒ演劇場など複数の劇場もお悔やみの言葉を発表している。
私的な人
ガンツ氏は多くの受賞歴を持つ。ドイツ語を話す俳優に贈られる最も権威ある賞「イフラントの指輪」はその一つで、受賞者が死ぬまで保有する。
プライベートな時間を好み、なるべくハリウッドを避けた。一人息子を設けた妻とは離別。チューリヒやベルリン、ベネチアで暮らした。
ドイツ語圏の日刊紙NZZの2017年のインタビューで、ガンツ氏は演劇という仕事に出会えたことは「贈り物」だったと振り返り、「有意義に時間を使った」と語った。
ブルーノ・ガンツ
1941年、チューリヒ生まれ。
父親は工場従業員、母親はイタリア人。
60年、映画『黒いメロンの紳士』の主役として出演。才能を認められる。
72年、舞台俳優としてもデビューした。
主な出演作品
劇: 『ファウスト』ゲーテ完全版(上演時間13時間)(2000年)
映画:『ノスフェラトゥ』(1979年)、『発明者』(1980年)、『ベルリン・天使の詩』(1987年)、『ベニスで恋して』(2000年)、『ヒトラー 最後の12日間』(2004年)、『ハイジ アルプスの物語』(2015年)など
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