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民間メディアへの国家助成案に4割が賛意

「Hauptstadt.be」はベルン市のジャーナリストたちが最近立ち上げたオンラインメディアだ。2大地域紙「デア・ブント」と「ベルナー・ツァイトゥング」がともに巨大メディアグループ「タメディア」に属し1つの編集局で発行されている現状を補完する狙いがある。クラウドファンディングで資金を集めたが、来年の国民投票で新メディア促進法が可決されれば、国から助成金を受け取れる可能性がある Keystone / Anthony Anex

新型コロナウイルスは、既に病状にあったスイスメディアをさらに弱体化させた。メディアを担当するシモネッタ・ソマルーガ通信相や連邦議会は、メディアを盛り返すため国庫補助の拡充を検討している。これに対する世論の支持は厚く、専門家を驚かせている。

このコンテンツは 2021/10/27 12:00

スイスのメディア業界はかつて多様性とふんだんな資金力を特長としていた。だが縮小の道のりを辿り、国際デジタルメディア企業に追い越され、今は新型コロナウイルスが追い打ちをかけている。言論の多様性を生み出す源泉から、スイスの民主主義を脅かす問題児となり下がった。

買収・合併を繰り返し収縮し続けるスイスメディア業界に危機感を抱いたソマルーガ通信相は、さらなるリスクを回避すべく、連邦政府・議会でメディア助成金の拡充を提案した。

関連法案が今夏、連邦上下院を通過。2022年2月13日の国民投票で有権者の是非が問われる見込みだ。

可決されれば、メディアは今よりずっと多額の助成金を受け取ることになる。毎年3千万フランの助成枠が、今後7年間は1億2千万フラン(約150億円)に拡大される。

助成対象も変わる。今は国が新聞の配達料のみを賄う間接的な支援にとどまっているが、提案ではコンテンツも助成の対象となる。民間・商業オンラインメディアも受給対象だ。それだけでも年間3千万フランになると見積もられる。

反対勢力によるレファレンダム

これに反対する勢力もある。1つは政財界の左派・リベラル派。助成金が主に一部の独占的なメディア企業を利することになり、メディアの寡占・集中が進むと警告する。

もう1つは市民団体「憲法の友」だ。新型コロナ対策・関連法に反対する同団体は、「国営メディア」が生まれスイスでの表現の自由が危機にさらされると訴える。

そのため両者はレファレンダム(国民投票)を提起した。必要な署名はすでに集まった。現在は認証待ちだが、時間の問題だ。

欧州一の支持

国民投票が実現するかどうかにかかわらず、興味深い事実がある。国家がメディアを直接助成することについて、スイスの国民は欧州諸国の中で最も好意的だ。チューリッヒ大学世論社会研究センター(fög)が25日に発表した「メディア年鑑2021他のサイトへ」のアンケート調査によると、資金力の乏しくなった民間商業メディアへの国庫助成について、37%が賛意を示している。

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地域メディアへの厚い信頼

fögのリナーズ・ウドリス所長代理は「ここまでの差が出たことには、正直驚いた」と話す。スイスで世論の支持が高い背景には、地元メディアへの信頼の厚さがあるという。またウドリス氏は、公共放送の受信料金撤廃を問うた2018年の国民投票「ノー・ビラグ」が人々の問題意識を高めた可能性があるとみる。「とはいえ、37%の賛意のうち大部分はまだ確信を持っていなかったり、決め切れていなかったりする」

スイスで支持が最も厚い理由として、ウドリス氏は直接民主制におけるメディアの役割が重視されていることがあるとみる。スイス有権者は国民投票で自分の賛否を示すために、案件に関する事実や論点を収集しなければならない。

こうした意識の高さは、投票日が近付くとテレビやラジオ、新聞、オンラインプラットフォームなどあらゆるチャネルの使用頻度が上がるという事実に反映されている。投票前に各世帯に送付される政府作成の投票パンフレットも同様だ。「スイス人は、これらが情報を見つけることができる信頼できる情報源であることを知っている」(ウドリス氏)

フェイクニュースを問題視

従来型メディアへの信頼は、新型コロナ危機にまつわる不確実性でも顕在化した。「特に流行状況が深刻になると、人々は従来型メディアから情報を得ようとする」(ウドリス氏)。fögの調査によると、危機の間はフェイクニュースなどの偽情報は問題だと考える人が50%に上るが、選挙や国民投票に関してはそれほど問題視されていない。

fögは偽情報を摘発・修正するため、ファクトチェックを担う独立組織やウェブサイトの立ち上げを提案する。年鑑では既にファクトチェックを実行している数少ないメディアとしてswissinfo.chの名も挙げた。

最高品質

年鑑では、fögの研究者がswissinfo.chの品質を初めて調査した。その結果、swissinfo.chは「関連性」への評価が高く、スイス公共放送協会(SRG SSR)傘下の全メディアの中で「最高品質」のランクを得た。

(独語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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