スイス人は欧州で働き者? 欧州の雇用事情
スイスの就労適齢人口(15〜64歳)の就業率は欧州で2番目に高い——。スイス連邦統計局がこんな雇用情勢と分析をまとめた。欧州でトップはアイスランド。
同統計局は、スイスの就業率が高い理由として、退職時の年齢が欧州連合(EU)に比べて高いことを挙げている。また、パートタイムの形で労働市場に参入する女性の割合が高いことも、国全体の就業率を押し上げた要因だと説明している。
調査は、EUが現在の25カ国に拡大する前の15カ国体制のデータを基に、欧州の労働市場を比較した。EUに加盟していないスイス、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー各国の統計も比較調査に盛り込まれている。
働く社会
今回の調査によると、スイスは就労適齢人口の就業率が81.2%あり、EU平均の70%を上回っている。欧州でトップのアイスランドは87.6%となっている。
調査をまとめたエンリコ・モレシ氏は「スイスでは、働き始める年齢がEU各国に比べて低く、退職時の年齢も高いことが、こうした高い就業率を生む結果となった」と指摘する。
また、今回の調査の結果、労働市場全体でパートタイム社員の占める割合が、スイスで31.5%と、EU平均の18.6%を大きく上回っていることもわかった。欧州で最も高い国はオランダで45%。
中でも、パートタイムを活用する女性社員の割合がスイスで目立っている。パートタイムの女性社員はスイスで働く女性全体の56.5%と、EU平均の34%よりも高い。
一般的に欧州で働くパートタイム社員は、日本のアルバイトやパートと異なり、各種社会保障が保証されている。労働市場におけるパートタイム社員の占める割合の高さは、育児休業後に短時間労働を利用することも含めて、女性にも働きやすい環境が整ってきたと言えそうだ。
スイス国際放送、外電 安達聡子(あだちさとこ)意訳
2002年のデータを基にした政府の調査によると、スイスで働く正社員の平均年収は約5万ユーロ(約683万円)。
スイス人の年収は欧州の中で最も高いとされているが、物価も高いため購買意欲には上限があるという。
ノルウェー、デンマーク、英国、ドイツの4カ国では4万ユーロ(約546万円)程度。
フランス、オーストリアでは3万ユーロ(約410万円)以下。
イタリアはさらに低い2万1,000ユーロ(約287万円)。
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