アサド大統領の親戚の入国をスイスが拒否
連邦行政裁判所は6月21日、シリアの政権を握るバシャール・アル・アサド大統領の甥と叔父に対する、スイスへの入国拒否と銀行口座の凍結を認める判決を言い渡した。
これによって、アサド政権の武力弾圧に対しスイス政府が講じた措置が認められた形となった。
2011年、スイス政府はアサド大統領の親族や側近などとともに、同大統領の甥ハーフェズ・マクルーフ氏と叔父モハメド・マクルーフ氏をシリアに対する制裁措置の対象者リストに載せることを決定した。2人はこの措置に対し不服を訴えたが、今回の判決によりスイスへの入国や通過を禁止され、預金口座も凍結されることになった。
連邦行政裁判所は、講じられた対策は法律にも状況にも適しており、公益性が高いものだと判断。しかし、30日以内であれば連邦最高裁判所に上訴できる。
予防の意味
判決文によると、アサド大統領の甥である41歳のハーフェズ氏が、反政権派に対する武力弾圧に積極的だった、あるいは少なくともシリアの情勢に影響を及ぼせる立場にあったことは十分明白に証明されたという。
一方、80歳になる叔父のモハメド氏については、政権に影響を及ぼしていた可能性を拭い切れないという結論だ。しかし、アサド政権の財源に対する予防対策的な意味合いもあると強調した。
スイス政府作成のリストによると、ハーフェズ氏は総合情報局の一部署を率いる幹部で、デモ参加者に対する武力弾圧に関与していたとみられている。また、モハメド氏もアサド大統領にごく近しい人物と目されている。
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