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新型インフルエンザのワクチン接種

Keystone

専門家が今春に警告していたよりは軽症とされているものの、世界的に大流行となった新型インフルエンザ ( H1N1型 ) のワクチン接種がいよいよスイスにおいて、10月中旬から11月の間に行われるもようだ。

このコンテンツは 2009/09/15 15:26

ワクチン接種の実施は9月末から10月中旬にかけて行われる予定だったが、専門家による諮問機関である「予防接種に関する連邦特別委員会 ( Commission fédérale pour les vaccinations, CFV ) 」委員長のクレール・アンヌ・ジグリスト氏によると、公的検査機関「スイスメディクス ( swissmedics ) 」の承認後の10月後半から11月になるだろうという。

予防接種の開始

春に騒がれたより死亡率は低いものの、新型インフルエンザワクチンも季節性インフルエンザワクチン同様、接種に当たってはリスクの高いグループ ( 90%の死亡率が予測されるようなグループ ) をまず優先し、次に数週間を経て予防接種希望者とその周囲 ( 家族など ) に対し行う。ボルディエ銀行 ( Bordier ) の金融アナリスト、パスカル・ボワイエ・バレジ氏は、希望者への接種が12月から1月の間にも行われるだろうと見ている。

スイスは1300万本のワクチンを大手製薬会社ノバルティス ( Novartis ) とグラクソ・スミス・クライン ( Glaxo Smith Kline ) に発注している。スイスインフォが確認したところ、ノバルティスでは10月から2010年の初めにかけて全地球規模での発注が見込まれている。スイスに拠点を置くノバルティス・グループは、主にドイツ、イタリア、イギリスの研究所において、さらに11月からはアメリカの研究所も加わり、年間1億5000万本のワクチン製造を可能とする。

2つの技術

ノバルティスは2つの技術を使う。1つは伝統的で一般的なやり方である、鶏卵にウイルスを注入する方法で、もう1つは細胞の発達をベースとする、新しい方法だ。

「この2番目の技術は生産性と迅速性の観点からより採算が取れるやり方ですが、高額な最先端の機器を必要とし、原価が2倍に跳ね上がってしまいます。赤字覚悟でワクチンを製造するとは思いませんが、利益に関してはおそらくぎりぎりといったところではないでしょうか」
と、バレジ氏は語る。

感染リスクの拡大は、世界保健機構 ( OMS ) や各国政府を通しての供給へとつながる。ノバルティス、サノフィ・パスツール ( Sanofi Pasteur )、バクスター ( Baxter )、グラクソ・スミス・クラインの各社はワクチン製造に際し、ほぼ同時期にウイルスの遺伝形質にアクセスし、ほぼ同様の技術を持っているだろうと金融アナリストは予測する。

この4社で北半球の市場は占められているが、中国とインドも世界規模の需要に応えるべく、それぞれにワクチンを開発している。品質こそがスイスがワクチンを選ぶ際の基準の1つであり、特に、薬効の期間と範囲を高める補助薬の有無が重要な決め手となる。ノバルティス自身、自社製ワクチンは前途有望である ( 接種後の持続率が高い ) と胸を張る。

ウイルスが1度だけ流行するというのは非常に稀 ( まれ ) なことだと、ジグリスト氏は語る。専門家はいつとは言えないものの、第2の流行を予測し、こうも語った。
「スイスが選んだワクチンは、補助薬がワクチン内に含まれるウイルスの幹細胞に作用するばかりでなく、将来変異するであろう幹細胞にも効力があるのです」

よく知られた土俵で

中国は10月1日から自国市場にてワクチン接種を開始すると発表した。しかし、ヨーロッパ市場においてはしばらく期間を置かれると、前出の連邦特別委員会委員長は判断する。
「『ヨーロッパ医薬品審査庁 ( Agence européenne des medicaments )』、スイスメディクスなどの制御機関に前もって申請手続きをしていない場合、ワクチン承認は数週間から数カ月後になります」

ヨーロッパでワクチンが迅速に承認されるためには、良い前歴が必要となります ( ノバルティスが鳥インフルエンザワクチン「フラウド ( Fluad ) 」などの経験を持っていること ) 。緊急だからといって、ワクチンの品質を下げているのではないと、ジグリスト氏は保証する。これらのワクチンは、季節性インフルエンザワクチンを少し変えたもので、信頼できる製造者によってのみ作られている。そして、長期にわたる副作用を引き起こす可能性のある遺伝子的な原料は含んでいない。さらに、ワクチンへの耐性や副作用は、補助薬によるものだ。だからこそ、よく知られた製薬会社に委 ( ゆだ ) ねられたのだという。

補助薬を添加されたワクチンは、限定的なウイルスの変異に対して長期的な効果があるが、ほかのウイルスとの完全な遺伝子の交換がなされた場合、現在のワクチンの効用は今後出現するウイルスによると、ジグリスト氏は説明を続ける。

似ている幹細胞

新型インフルエンザは冬に流行しやすい。冬を終えた南半球から、ある事実を学ぶことができた。流行中のウイルスに出現した変異を分析したところ、ワクチンに注入されたウイルスの幹細胞と非常に似ており、まだ等質のままであるという事実だ。

スイスはまた、医薬学的に同じ見解を持つ各国の動向にも注目している。ニュージーランドやチリでは季節性インフルエンザの3倍から5倍の流行となっているが、ウイルスがまだよく知られていなかった5月に予測された大惨事からは程遠い結果となっている。

死亡率に関しても、数字は予測よりも低下し、専門家は安堵している。季節性インフルエンザでは、死者10人のうち9人が高年層であった。しかし、65歳以上の高年層はこの世界的な大流行のウイルスに対し、子ども時代に似たウイルスに感染しており、免疫がある。予測された大多数の死者はしたがって、死から逃れることができた。スイスは若年層に最大100人あまりの死者を予測している。

ピエール・フランソワ・ベッソン、swissinfo.ch
( 仏語からの翻訳 魵澤利美 )

予防接種

予防接種に関する連邦特別委員会はワクチン接種の優先順位を次のように発表した。
1.医療従事者及び、6カ月未満の乳児の世話に従事する人
2.妊婦 ( 妊娠4カ月以降が望ましい) または出産直後の女性
3.子ども ( 生後6カ月以上 )及び、次の基礎疾患 ( 持病 ) がある人
慢性心疾患、慢性呼吸器疾患、代謝性疾患、腎機能障害、血液の疾患、
免疫不全
4.感染者の家族と、6カ月未満の乳児
5.65歳以上でありかつ3の慢性疾患を抱える人
この年代はH1N1型ウイルスに対する免疫があり、予防接種優先順位の最優先とはならない。
連邦特別委員会は、季節性インフルエンザ同様、H1N1型とその合併症から本人とその家族を守りたい人のために、予防接種を薦めている。優先順に接種の後、十分な在庫があり次第施行される。
<適用>
ワクチンは、従来のインフルエンザ同様、保険の月払い金額や支払い免除限度額に関係なく保険適用となるべきであり、9月中旬の連邦決議が待たれる。

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