連邦内閣が24日発表した、新型コロナウイルスに伴うセミロックダウンの段階的緩和計画。国内メディアの評価は分かれた。
このコンテンツが公開されたのは、
独語圏の日刊紙NZZは、レストラン・カフェのテラス席再開を第一弾緩和(3月1日)に含めなかった政府の判断について「危険なミスを犯した」と批判した外部リンク。
政府はレストラン・カフェのテラス席再開を4月1日の第2弾緩和で行う案を策定し、州に意見を求めた。外食産業や一部の州はより早期の再開を求めたが、意見聴取の段階でそうした州は過半数を割った。ただし第二弾緩和の実施を3月22日に前倒しした。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイス、1日からロックダウンを段階的緩和
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦内閣は24日、新型コロナウイルスに伴うセミロックダウンの段階的緩和計画を正式に決定し、発表した。3月1日に小売店、美術館、屋外スポーツ施設を再開する。
もっと読む スイス、1日からロックダウンを段階的緩和
NZZは「外食産業の屋外エリア再開を認めていれば、内閣は大きなリスクを負うことなく、心理的に重要なシグナルを国民に示すことができただろう。その頑固さはあきれるほどだ」と批判。テラス席開放よりも優先すべき事項はあるとした一方で、セミロックダウンによる国民の不満といら立ちが募る現状では、そうしたマイナーな側面も大きな役割を果たすと述べた。
NZZはまた「屋外の感染率はほかの場所に比べ明らかに低い」と指摘。「天気が良ければ人はどちらにせよ外で集う。その時に対人距離を確保できるテーブルがあった方が賢明ではないのか」と論じた。
一方、別の独語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガーは政府が「気骨(きこつ)を示した」と前向きに評価した外部リンク。
同紙は「制限の対象となっている人たちにとっては非常に厳しいものだが、政府の決定は残念ながら正しい」とコメント。新型コロナウイルス変異株が今後どう広がるか見通しが不透明なことや、国内のワクチン接種がまだ初期段階であることを理由に挙げた。
さらに、連邦内閣7人のうち4人が早期緩和を求める政党出身者であるにもかかわらず、内閣の判断はそれとは異なるものだったことも驚きだったとした。同紙はこの4人が「ある意味極めてポピュリスト的な緩和要求に左右されなかった」と評価した。
おすすめの記事
おすすめの記事
「与党」のないスイス連邦 内閣はどう意思決定するのか
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会は11日に新しい連邦閣僚7人を選出する。今回の注目は、10月の総選挙で大勝した緑の党が閣僚ポストを得るかどうかだ。
もっと読む 「与党」のないスイス連邦 内閣はどう意思決定するのか
スイス公共放送(SRF、独語)外部リンクは、政府は単に「あらゆる選択肢を生かしておく方針」とした。日刊紙ブントは政府の判断に好意的な見方外部リンクで、外食産業の事業者全員が「一部再開を急ぐことが商業的に実のあるものだと考えているわけではない」と説明。昨年夏、第二波の到来で国内が混乱した経験を踏まえ「多くの人は大きなリスクを冒して第三波を招きたくないと考えている」とした。
国のワクチン計画とシーケンシング
イタリア語圏の日刊紙コリエレ・デル・ティチーノは社説で「政府は細い綱の上を前進した。その姿は落下防止ネットのない綱の上を、また転びはしないかとおびえながら渡る空中ブランコのアーティストのよう。もし実際にそうなって新しい制限措置が出たとしたら、そこから立ち直るのは私たちにとっても非常に骨の折れることだ」と述べた。また、ワクチン接種を受けた市民が少数にとどまり、再開が現実のものになるのは免疫がより広範囲に広がった時だとした。
仏語圏の日刊紙ル・タンは社説外部リンクで、より感染力の高い変異株の遺伝子情報を解析・解読するシーケンシングが、現時点での感染防止策に不可欠だと指摘。スイスにはそれに適した検査室や十分な処理能力が整っているとし、「実現に必要なのは政治の意志だ」と訴えた。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは4月1日、新型コロナウイルス感染症に対する全国的な感染対策を全て撤廃した。秋冬の感染再拡大が懸念される中、スイス公衆衛生当局はマスク義務の再開は必要ないとしている。
もっと読む スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし
おすすめの記事
スイス、国立大留学生の学費を3倍に引き上げへ 下院委員会が可決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス下院委員会は連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)の留学生の学費をスイス人学生の3倍に引き上げる案を可決した。27日に始まる夏期本会議で審議する。
もっと読む スイス、国立大留学生の学費を3倍に引き上げへ 下院委員会が可決
おすすめの記事
FIFA、脱スイスに向け定款改正
このコンテンツが公開されたのは、
国際サッカー連盟(FIFA)は17日、本部をスイス・チューリヒ以外に移せるよう定款を改正した。
もっと読む FIFA、脱スイスに向け定款改正
おすすめの記事
ウクライナ平和サミットの舞台スイス・ビュルゲンシュトック 地元住民は離心
このコンテンツが公開されたのは、
6月15~16日に開催されるウクライナ平和サミットの舞台として、ルツェルン湖を望むホテル「ビュルゲンシュトック・リゾート」が注目を浴びている。かつては庶民も受け入れられる高級リゾートして地元に愛されていたが、近年は事情が違うようだ。
もっと読む ウクライナ平和サミットの舞台スイス・ビュルゲンシュトック 地元住民は離心
おすすめの記事
スイスで花粉症増加 気候変動・大気汚染が背景に
このコンテンツが公開されたのは、
気候変動の影響で、スイスで花粉症患者が増加している。有症率は2割で、経済損失は最大で年間6900億円に上る。
もっと読む スイスで花粉症増加 気候変動・大気汚染が背景に
おすすめの記事
ユーロビジョン、「ノンバイナリー」自認のスイス代表優勝 イスラエル参加に抗議も
このコンテンツが公開されたのは、
欧州国別対抗の音楽祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」の決勝が11日、スウェーデン南部マルメで行われ、「ノンバイナリー」を自認するスイス代表のNemo(24)が優勝した。会場周辺ではイスラエル参加に対する大規模な抗議活動も行われた。
もっと読む ユーロビジョン、「ノンバイナリー」自認のスイス代表優勝 イスラエル参加に抗議も
おすすめの記事
スイス北東部でオーロラ観測
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北東部のゼンティス山頂で6日未明、オーロラが観測された。
もっと読む スイス北東部でオーロラ観測
おすすめの記事
ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアーミーナイフの製造で知られるビクトリノックス社は、世界で広まるナイフ規制強化の波に対応するため、刃のないモデルの開発に取り組んでいる。カール・エルズナー最高経営責任者(CEO)がスイス紙のインタビューで明かした。
もっと読む ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
おすすめの記事
スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。
もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
おすすめの記事
「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。
もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
続きを読む
おすすめの記事
「最も弱い立場の人や社会を守る受け皿がなかった」
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで最初の新型コロナウイルス感染者が報告されてから25日で1年。スイス政府が犯した失敗とは?正しかったこととは?専門家が分析する。
もっと読む 「最も弱い立場の人や社会を守る受け皿がなかった」
おすすめの記事
スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは4月1日、新型コロナウイルス感染症に対する全国的な感染対策を全て撤廃した。秋冬の感染再拡大が懸念される中、スイス公衆衛生当局はマスク義務の再開は必要ないとしている。
もっと読む スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし
おすすめの記事
スイスのホテル業界、宿泊4割減 昨年統計
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのホテル業界全体の昨年の宿泊件数は、前年に比べ4割減少した。国外からは66%減と、新型コロナウイルスの影響が特に大きかった。
もっと読む スイスのホテル業界、宿泊4割減 昨年統計
おすすめの記事
「感染拡大を抑えれば、ウイルスの変異は防げる」
このコンテンツが公開されたのは、
ウイルスの変異株は本当に怖い存在なのか?ワクチンの効果は?スイス・ベルンの社会・予防医学研究所でゲノム疫学を研究するエマ・ホドクロフト氏に話を聞いた。
もっと読む 「感染拡大を抑えれば、ウイルスの変異は防げる」
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。