スイスの視点を10言語で

核兵器禁止条約、スイスは批准を2020年まで延期

smoke in air
核兵器禁止条約は20カ国が批准した Keystone

スイス連邦内閣は3日、国連の核兵器禁止条約について、批准するか否かの決定を2020年まで延期すると決めた。連邦議会が内閣に対し、早期の署名を求めていたが、これを拒否した。

連邦内閣は声明で、最新の国際的動向と安全保障の状況を鑑み、スイスが署名すべきか否か時間をかけて検討したいとした。米国が先月、旧ソ連との中距離核戦力全廃条約を破棄したことをにらんだ決定だ。

>>核兵器禁止条約に署名も批准もしないスイス

スイスは2017年、核兵器禁止条約を承認したが、昨夏には署名しないことを決めた。連邦内閣は「条約を批准しない理由が潜在的な機会を上回る」と述べた。米国、ロシア、フランス、中国、英国以外に核保有を認めない核不拡散条約などに影響を及ぼしかねないとの国際議論も考慮した。

条約は核兵器を全面的に禁止し、署名した国は、核兵器の開発、実験、製造、取得、所持、備蓄、使用または脅迫のいずれも行ってはならない。

2017年にノーベル平和賞を受賞した国際団体ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)は、赤十字国際委員会(ICRC)と同様、長い間核兵器の禁止を求めてきた。

連邦議会は、スイスの条約批准を強く支持。 12月、内閣に早期の署名を求める動議を可決した。

連邦内閣はこれに対し「議会の意志を真摯に受け止め」、「さまざまな選択肢を慎重に検討した」と述べた。連邦内閣は2020年に再度、検討の機会を設けるという。

2017年7月に同条約を承認したのはスイスを含め122カ国。約70カ国が署名し、22カ国が批准した。条約の発効には50カ国の批准が必要だ。

ニュース

ビクトリノックスのアーミーナイフ製造現場

おすすめの記事

ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発

このコンテンツが公開されたのは、 スイスアーミーナイフの製造で知られるビクトリノックス社は、世界で広まるナイフ規制強化の波に対応するため、刃のないモデルの開発に取り組んでいる。カール・エルズナー最高経営責任者(CEO)がスイス紙のインタビューで明かした。

もっと読む ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
管制室

おすすめの記事

スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。

もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
裁判所のドア

おすすめの記事

「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。

もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
財布からお金を取り出す人

おすすめの記事

スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。

もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
対空防衛システム

おすすめの記事

米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触

このコンテンツが公開されたのは、 米政府高官は14日、イランによるイスラエル攻撃の前後に、米国は利益代表国であるスイスを通じてイランと接触していたと述べた。

もっと読む 米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部