スイス検察当局は、国民投票の提起に必要な署名が偽造されたとの疑惑を捜査している。収集代行業者が過去の署名を使い回したり、金銭を見返りに署名を集めた可能性がある。
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疑惑は2日、スイスのメディア大手Tamedia外部リンクが報道。民兵制度改革案を国民投票にかけるため有権者の署名を集めていた市民団体「サービス・シトワイエン(Service Citoyen)」のスタッフが、収集代行業者インコップ(Incop)から受け取った署名に無効なものが多すぎることに気づき、刑事告発したと伝えた。
スイス連邦検察庁(BA/MPC)はドイツ語圏のスイス通信社Keystone-SDAに対し「現在、複数の個人や不詳の人物に対する捜査が進行中だ」と語り、Tamediaの報道内容を認めた。
捜査の一環として、検察庁と連邦警察は容疑者への家宅捜索と事情聴取を行ったという。
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インコープは国民投票の提起に必要な署名の収集を代行する企業。金銭を見返りに署名を「購入」していた疑惑が出ている。
署名用紙1ページが丸々、過去の署名用紙をコピーしたものだったケースもある。Keystone-SDAはインコップに取材を申し込んだが、電話に出なかった。
検察庁はどのイニシアチブ(国民発議)で署名が偽造されたのか、どの政党が捜査対象になっているのかは明かさなかった。他のイニシアチブや、署名代行業者も偽造に関与している可能性がある。
2019年に疑惑浮上
スイス西部ヴォー州政府のヴァンサン・デュボアザン氏はTamediaに対し、2019年初めには複数の自治体から不正行為の可能性について通報があったと語った。これを受けて、州は各自治体に不正行為を体系的に報告するよう要請した。
ヴォー州が不正を見つけたイニシアチブには原子力発電所の新設解禁を求める「ブラックアウト(全域停電)を止めよ」、右派国民党(SVP/UDC)が立ち上げた「中立イニシアチブ」、集約畜産イニシアチブ、毛皮輸入禁止イニシアチブ外部リンクなどがある。
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うち1件は、イニシアチブの成立を審査する連邦内閣事務局が刑事告発した。告発状は2022年に提出され、それ以来複数回修正された。ウルス・ブルーダラー広報官はKeystone-SDAの取材に「大なり小なり疑わしい案件が、十数件報告されている」と話した。
多くはフランス語圏の自治体から提出された署名だが、昨冬以降はドイツ語圏からも疑わしい案件が増えているという。
「民主主義を売り物に」
ブルーダラー氏は、偽造署名の疑いがある案件が報告されることは連邦内閣事務局にとって極めて重要であり、「問題の署名は全て検察当局に提出している」と話した。
報道を受け、政界からは商業的な署名収集の禁止を求める声が出ている。緑の党(GPS/Les Verts)のバルタサール・グレッティ下院議員はX(旧ツイッター)に「緑の党はできるだけ早く禁止に持ち込みたいと考える。『民主主義を売り物に』するにも限度がなければならない」と投稿した。
内閣事務局は3日夜に公式声明を発表した。「公的な秘密、無罪推定、進行中の刑事手続き、投票の自由の保護のため、連邦内閣事務局は、現在発生している疑わしい事件を慎重に扱う必要がある」。最大の関心事は、犯人を確実に逮捕することだと述べた。
英語からのGoogle翻訳・追記:ムートゥ朋子
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