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チューリヒ・バーンホフ通りの様変わり

市民の意見はいかに?左の写真はフルパワーだが、刻々と模様が浮き出るデザイン(右側)。イメージ写真. Gramazio & Kohler

チューリヒのバーンホフ通り(Bahnhofstrasse)にある商店、銀行が構成する「チューリヒ・バーンホフ通り協会」(以下バーンホフ通り協会)が、今年で50周年を迎えた。当時はスイス人が経営するブティックとスイスの銀行が両側に並んでいたが、現在は国際ブランドメーカーが幅を利かせている。

クリスマスシーズンになると豆電球が数珠のように垂れ下がり、降る雪をイメージしたイルミネーションが見ものだったが、今年のクリスマスからはモダンなデザインのものに入れ替わる。

 東京の銀座と比較されるチューリヒのバーンホフ通り。高級ブティックと銀行が両側に並び、市民や外国からの買い物客でにぎわっている。50年前から営業している商店は、国際ブランドに入れ替わられ、数は近年一段と少なくなってきた。今年からクリスマスのイルミネーションもハイテク風になり、一層国際化が進む。

変わり続ける魅惑の通り

 50年前から現在もバーンホフ通りで営業しているのは、時計宝飾のマイスター時計やトゥルレ時計、アウトフィットのPKZ、ファイン・カラー、革製品のバリー・キャピトルなどがある。当時から、UBS銀行、クレディスイス、ロイ銀行が世界から資金を集め、お金持ちの外国人はパラーデ広場のホテルのサボイに泊まった。コンピュータ時代が訪れた今でも人気の高級文房具を売るランドルト・アルベンツやチョコレートのシュプルングリといったチューリヒの老舗が肩を並べていた。

 19世紀後半には商店がバーンホフ通りに集中し始め、通りには蒸気で動く「シュパニシュ・ブロトリ路面列車」が運行し、さらに集客力は高まり、バーンホフ通りの地価は上昇していった。唯一、現在のペスタロッチ広場は、以前に処刑台があったことから買い手がなかったという(バーンホフ通り協会)。
 
 現在はルィ・ヴィトン、エルメス、ディーゼルなど国際的なブランド店が幅を利かせているが、いまもがんばっているスイス勢もある。おもちゃのフランツ・カール・ヴェーバーは10月に大改装して再開店を図った。高級ブティックのモール、グリーダーもこの秋、ルイ・ヴィトンと一緒に生まれ変わり、女性を美しく装わせることに勤しんでいる。

最新のクリスマスのイルミネーション

 1971年からは、数珠つなぎになった豆電球がクリスマスシーズンの1カ月間、バーンホフ通りを飾るようになり、クリスマス・シーズンのカードのモチーフとして世界中に送られた。しかし今年からは豆電球に代わり長さ7�b、直径13�aの275本の棒が通り全体に吊るされる。このイルミネーションには「ザ・ワールズ・ラージェスト・タイムピース」という名前が付けられている。10月末からすでに設置が始まった。

 11月23日夕方には、市民に初公開される。光の色は白一色。それぞれの棒が光と影の組み合わせによるデザインで、雪が降ったようになったり、満天の星がきらめくように見えたり、山の形になったりもするという。「モチーフはセンサー制御により、通りの混み具合によって変化の頻度が変わる。同じものが何度も出ることのないように、バリエーションも豊か」とバーンホフ通り協会のハイディ・ミューレマン広報担当は期待たっぷりに説明する。230万フラン(約2億円)をかけて作られた新しいイルミネーションだがメンテナンスは安く、電気代は以前のものの3分の1という。

 33年間親しまれた豆電球によるイルミネーションは、チューリヒ市内の別の通りに再利用することも考えられていたが、設置の問題などから結局、2万個ほどの豆電球はすべて処分されることとなった。

 豆電球のイルミネーションが市民に親しまれたように、ハイテクの新しいイルミネーションに飾られるクリスマスが人々の心を暖めることになるのか。11月末からの市民の反応が待たれる。

swissinfo、佐藤夕美(さとうゆうみ)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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