ランビエールがけがで引退表明
10月16日、フィギュアスケートで2度世界チャンピオンの座に輝いたステファン・ランビエールが競技生活から引退すると発表した。理由は左内転筋の負傷だという。
「この数週間、トレーニングに100%の力を出すことができなかった。でも、上位に入ろうと思ったら、100%でトレーニングできなければ。90%ではどうしても足りない」
とランビエール。新しい採点方式ではスケーターに非常に高水準のコンディションが要求される。
あきらめた金メダル
もともとランビエールは次のオリンピックが終わるまで競技生活を続けるつもりでいたという。2006年のトリノ冬季大会では銀メダルを獲得し、2010年のバンクーバー大会で輝かしいフィギュア歴の最後の仕上げをするつもりだったのだ。
ランビエールは今年3月、スウェーデンのヨーテボリ ( Göteborg ) で開かれた世界選手権で5位に終わったあと、最後の大きな目標を達成するために新しいスタートを切ることにした。そのため、長年トレーナーを務めたペーター・グリュッター氏とたもとを分かち、1992年のオリンピック金メダル獲得者のヴィクトール・ペトレンコ氏とその義母ガリーナ・スミエフスカ氏の指導の下、米ニュージャージー州のウェイン ( Wayne ) で新たな刺激を得ようとした。アメリカでの生活自体は順調だったが、トレーニングの方はヨーテボリ大会で負傷した内転筋が再び悪化したため、苦労の連続だった。
ランビエールは体調を完璧に戻すためにあらゆる手を尽くし、ミュンヘンのハンス・ヴィルヘルム・ミュラー・ヴォールファート医師の下へも何度も通った。痛みは次第に和らいだものの、トレーニングに支障が無くなるまでには至らなかった。
「2つの世界チャンピオン ( 編集部注 2005年のモスクワ大会と2006年のカルガリー大会 ) 、そしてオリンピックでの銀メダルのあとは金メダルを狙いたかった。この気持ちを分かってもらいたい」
とランビエールは語る。彼はこのままの状態ではそれもかなわないと判断し、競技生活に終止符を打つことにしたという。
観客第一
彼のアマチュア歴の終焉はフィギュアスケート界にとって大打撃だ。ランビエールは競技でできるだけ多くの点数を得ようとするのではなく、観客を楽しませることを第一に考える数少ないスケーターの1人だったからだ。過去2年間に披露した、真の芸術作品ともいえるフラメンコ・プログラムはその最も良い例といえよう。このプログラムのためにランビエールは全精力を投入した。
引退するとはいえ、ランビエールはこれからもファンを魅了し続ける。ショーの出演はこの先も続けることになっており、2009年にはチューリヒ ( 1月29日から2月1日まで ) とローザンヌ ( 2月3日と4日 ) で開催される「アート・オン・アイス ( Art on Ice ) 」にも出演する予定だ。
swissinfo、外電
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