スイスの製造業者が国内市場の顧客に対し、海外市場よりもはるかに高い価格を設定していることが最新の価格比較調査で分かった。スイスと欧州連合(EU)の価格差は縮小傾向にあるが、スイスの消費者の多くは「ぼったくりだ」と感じている。
このコンテンツが公開されたのは、
地元の日曜紙外部リンクによると、スイスで販売する製品により高い価格を設定するのは、何も外国企業に限った話ではない。チョコレートのリンツ&シュプルングリー、乳製品のエミ、ポテトチップスのツヴァイフェルなど、国内の製造業も同様だ。
調査では、国内の小売店、オンラインショップでの販売価格をドイツとスイスで比べた。スイスで販売されているトミーマヨネーズの価格は1.35フラン(148円)だが、ドイツだとほぼ半額の0.71フラン(78円)。エミのカフェラテ・カプチーノは、スイスでは0.83フラン、ドイツでは約3割安い0.48フランだった。
Curaprox(キュラプロックス)の歯ブラシはスイスが7.45フランでドイツが6.02フラン。リンツ&シュプルングリーのチョコレート詰め合わせはスイスが5.79フラン、ドイツが5.05フラン、ツヴァイフェルのポテトチップス(パプリカ味)はスイスが2.26フラン、ドイツが1.89フランといずれもスイスの方が価格が高かった。
EUの統計局「ユーロスタット外部リンク」の調査はこうした価格差が縮小傾向にあると指摘する。 2016年に複数の商品価格を比べた結果、スイスはEUの価格を62%上回ったが、昨年はその差が56%に縮小した。
しかし、スイスの消費者団体は、価格の高さは依然不当だとして是正を求める。国境近くに住むスイスの消費者の多くは、隣国のドイツやフランスで買い物をしているのが実情だ。
ほとんどの国内製造業は同紙の取材に対し、製造コストの高さや賃金、賃料、物流などといった要因が価格を押し上げていると口を揃えた。価格を決定するのは小売業者で、彼らが製品にどれだけお金を払う気があるかで変わると答えた企業もあった。
製造業者によると、一部の製品はその地域で生産されており、それが地域的に異なる価格を設定した「地理的価格」に影響を与えていることもある。国外から入ってくる農産物には関税が上乗せされるため、それも価格を押し上げる要因になっているという。
ヴィクトリノックスのナイフ、カランダッシュのペンなど食品以外の製品になると、スイスとドイツの価格差は同程度か、ドイツよりも安くなる。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイス政府、「公正価格」実現に向け独占禁止法の改正案を発表
このコンテンツが公開されたのは、
連邦政府は22日、国内外の大きな輸出入企業による価格吊り上げをやめさせる「公正価格イニシアチブ」への対案をまとめた。
もっと読む スイス政府、「公正価格」実現に向け独占禁止法の改正案を発表
おすすめの記事
スイス北東部でオーロラ観測
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北東部のゼンティス山頂で6日未明、オーロラが観測された。
もっと読む スイス北東部でオーロラ観測
おすすめの記事
ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアーミーナイフの製造で知られるビクトリノックス社は、世界で広まるナイフ規制強化の波に対応するため、刃のないモデルの開発に取り組んでいる。カール・エルズナー最高経営責任者(CEO)がスイス紙のインタビューで明かした。
もっと読む ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
おすすめの記事
スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。
もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
おすすめの記事
「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。
もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
おすすめの記事
製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手製薬ノバルティスは22日、2025年で任期満了となるヨルク・ラインハルト取締役会長の後任に、ジョバンニ・カフォリオ氏を選出すると発表した。
もっと読む 製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
おすすめの記事
スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
このコンテンツが公開されたのは、
エジプト考古省は21日、約30年前に盗まれ国外に流出したラムセス2世像の頭部破片が同国に到着したと発表した。
もっと読む スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
おすすめの記事
スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)は17日、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)の資産を追及する主要7カ国(G7)の国際作業部会には参加しないことを決めた。
もっと読む スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
おすすめの記事
米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
このコンテンツが公開されたのは、
米政府高官は14日、イランによるイスラエル攻撃の前後に、米国は利益代表国であるスイスを通じてイランと接触していたと述べた。
もっと読む 米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
おすすめの記事
チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒの春祭り「セクセロイテン」が15日開かれた。巨大な「雪男」を燃やして夏の天気を占う恒例行事は強風により中止となった。
もっと読む チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
続きを読む
おすすめの記事
デート代、世界一高い都市はチューリヒ 東京は5位
このコンテンツが公開されたのは、
レストランでの食事代、映画のチケット代、帰りのタクシー代が最も高い都市は―?ドイツ銀行がまとめた価格と生活水準に関する国際ランキングの2019年版で、スイスは複数の項目で首位を占めた。
もっと読む デート代、世界一高い都市はチューリヒ 東京は5位
おすすめの記事
チューリヒ、ジュネーブが「世界で最も生活費が高い都市」4位、5位
このコンテンツが公開されたのは、
お財布に優しいレクリエーションや娯楽がいいなら、チューリヒやジュネーブは避けるべき―。英調査機関の「世界で最も生活費が高い都市ランキング2019」でチューリヒとジュネーブがトップ5入りし、レクリエーション・娯楽部門でうれしくない世界一を獲得した。
もっと読む チューリヒ、ジュネーブが「世界で最も生活費が高い都市」4位、5位
おすすめの記事
物価の引き下げに奮闘する連邦価格監督官
このコンテンツが公開されたのは、
スイスには価格監督官という公職があるのをご存知だろうか。消費者にとって不利益になる不当な価格と闘うことが仕事だ。価格監督官とは何者なのか。価格を下げる余地はどこにあると考えているのだろうか。2008年から価格監督官を務めるシュテファン・マイヤーハンス氏(49)に話を聞いた。
もっと読む 物価の引き下げに奮闘する連邦価格監督官
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。