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古タイヤはどこへ行く

古タイヤがベルトコンベアに乗って今から切断され、資源として生まれ変わる(写真提供 Neumatico Recycling AG)

(swissinfo.ch)

スイス国内では年間5万�dの古タイヤが排出される。これまでセメント会社が燃料として利用する他は、スイス国外に輸出して処分してきた。国内では勝手に処分できない制度となっている上、来年からは輸出も禁止されることになり、その対応が問われていた。

古タイヤをスイス国内でリサイクルし、運動場に敷くゴムのマットなどの原料にする工場がこのほど、チューリヒ郊外に建設された。建ったばかりながらスイス国外からも専門家が見学に来るほど、すでに注目されている。

 輸出が禁止となる来年から、古タイヤはどこへ行けばいいのだろう。セメント工場の需要は限られている。一般焼却炉での処理は環境保全の面から、禁止されているのだ。自動車産業に携わってきたスイス人、ヴェルナー・アイゲンマン氏は、考えた。「古タイヤは貴重な資源である」

資源としての価値

 アイゲンマン氏が資本金2000万フラン(約18億円)でチューリヒ州東部に建てたリサイクル工場ノイマティコ・リサイクリング(neumatico recycling AG)は、9月初旬からテスト運営が始まったばかり。国内で処理されなければならなくなる古タイヤの最高6割、年間およそ3万トンを処理することができる。

 敷地3000平方�bの工場の中に入ると、大きな緑色の機械が並び、上下左右に交差するチューブが見える。古タイヤは乗用車用だったものとトラック用だったものに分離されてこの工場に運ばれる。乗用車用とトラック用ではその構造やゴムの質が違うため、工場での処理方法が多少異なるためだ。古タイヤはまず、10〜15�a�bに切断され、その後チューブを通って切断され砕粉される行程が3度繰り返され、最終的に4�_�bの粒に砕かれてゆく。顧客の注文によっては粉のように細かくすることも可能だ。「粒になったゴムの純度は99.9%」と胸を張る工場長のフリッツ・フラックスマン氏。

 タイヤはゴムだけでできているわけではない。その3割が鉄鋼で1割が繊維だ。鉄鋼は磁気で引き付け、軽い繊維は渦巻状に空気を送り浮上させて分離する。ゴムは運動場や子どもの遊び場に敷かれるマットなどの原料となる。鉄鋼はそのまま再利用し、繊維はパッキン用に作り直して利用されることになる。工場から排出されるごみはタイヤ1�dにつき6から8�`�c。これは焼却されるが「有害ガスは出ません」とフラックスマン氏。環境関連企業として、生産行程の最後まで環境保護を考えたシステムで運営されている。

必要なリサイクリングファンド

 タイヤのリサイクル工場としては、スイスにはノイマティコの1社しかない。同じような設備を持った工場が以前あったが、処理施設の不備などから倒産してしまったという。

 ノイマティコはタイヤ処理代として、古タイヤの回収業者から1�dにつき120フラン(約1万円)の手数料を徴収する。商品となったゴムの粒は1�dで200フラン(約1万7000円)、粉状にしたものだと700フラン(約6万1000円)で販売する。現在、試運転中だが、今年末までに1万6000�dのタイヤを処理する予定でいる。

 スイスでは廃棄処理代として、タイヤ1本につき2.50〜7.50フラン(約200〜605円)を別途、購入時に消費者が支払うことになっている。ノイマティコは、消費者がリサイクル費を負担する方式を採用し、つまりタイヤの価格に処分代を組み込み、処理コストをカバーできるような、リサイクルファンドのようなものを作る必要があると国に訴えている。こうした制度はすでに家電には導入されている。

 従業員は現在のところ10人。2交代制で常時必要な人員は4人で十分という古タイヤ処理工場。古タイヤが違法に焼却されないためにも、今後のノイマティコの発展に注目したい。

swissinfo、 佐藤夕美(さとうゆうみ) デリコン(チューリヒ州)にて


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