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愛知万博 スイス館に天皇皇后両陛下が訪問

天皇皇后両陛下が11日、スイス館を訪問した。特にテラスでは、アルプスの花の名前、咲く季節などのを尋ねた(プレゼンス・スイス提供) PRS

3月25日から開催されている愛知万博「愛・地球博」が中盤を迎えた11日、スイス館に天皇皇后両陛下が訪問した。

スイス館は万博開幕以来人気が高く、人出が多い日には入館のために1時間以上も待たされることもあるという。7月第1週で万博を訪問した人は1000万人となり、目標の1500万人は閉幕まで十分に達成できるとの見込みだ。スイス館も1日の訪問客は6000人。目標の80万人はクリアしそうだ。

 スイス館では中古の軍隊の懐中電灯に組み込まれたオーディガイドで、展示物を照らしながら説明を聴くアイディアが受けているという。その際に懐中電灯の使い方をスタッフから説明を受けることで訪問者とスタッフとの交流もほかの国のパビリオンにはないスイス館の特徴だ。

 スイス館の責任者マヌエル・サルクリ氏によると「日本の一部のメディアには、『イケ面スタッフが揃っている』などと取り上げられた」と人気のもう一つの理由を明かした。

スタッフとの交流

 100点以上ある展示物で訪問者の目を引くのは、やはり人工的につくられた山を見渡せる展望テラス。多くの見学者がここで写真を撮っていくという。「典型的なスイスを思わせる展示物が好まれるのです」とサルクリ氏。そのほか、興味を持たれるのは、カプセルの中に展示されているアルプスの救助犬バリーの複製、アルプス山脈を通るトンネルを掘る機械、アインシュタインのスイスのパスポートなどという。

 こうした常時展示物のほか、5月にはグリンデルワルトからボートで大西洋を横断した中島正晃氏のトークショー、スイス人と日本人の音楽家で構成された「オーケストリオ・チューリッヒ」による「組曲アルペン・ファンタジー」の演奏なども人気を博した。8月1日の建国記念日にはさらに多くのイベントが用意されている。

 スイス館と同じグローバルコモン4にあるほかのパビリオンも人気があり、訪問客数ではスイス館と引けを取らない。しかし「展示内容が濃い上に、たとえ70分待っても見たいと、本当にスイス館を見てくれる訪問客が集まっているということだ」とサルクリ氏は胸を張る。スタッフの一人、メラニー・コーリさんは訪問客から「スイスに行きたくなりました」という感想をよく聞くと語った。

レストラン・アルペンローズ

 スイスの郷土料理が味わえるレストラン・アルペンローズでも毎日350食が出るという。喫茶のみの客を合わせると、多い日は600人がレストランに立ち寄るという。特に人気があるのはフランス語圏を代表する料理のラクレット。チーズを溶かしてジャガイモの上にのせて食べる。そのほか、ソーセージと、細切れのジャガイモをキツネ色に焼き上げたレーシュティやチョコレートケーキも売れるという。

 新しくメニューに取り入れられたアルペンマカロニ(4900円)は、午後のみ出される。マカロニにジャガイモとハムを混ぜて生クリームやワインを絡めたもの。また、ミネラルウォーターの「ハイジラント」も新顔だが、ハイジの名前がついていることから、珍しがられているという。

 開幕前に利益はあまり期待していないと語ったレストランの責任者、マルクス・ブーリ氏は開業中盤に入り「この値段の設定は正しかったと判断している。この分だと、十分な利益も出せそうだ」と満足そうに語った。

天皇皇后両陛下のご訪問

 11日から3日間の予定で天皇皇后両陛下が愛知万博を訪問した。1日目はドイツ、エジプト、スイス館を訪れた。

 両陛下を案内したのは、日本語が達者な副館長のフィリップ・ニーゼル氏。皇后さまがスイスの子どもの本「アルプスの少女ハイジ」のことを語っているテレビ番組を映すモニター、救助犬、連邦工科大学で開発された、半身不随者のリハビリの手助けをするロボットなどを中心に説明がなされた。

 サルクリ氏によると、天皇陛下はスイスの冒険家ベルトラン・ピカール氏が太陽エネルギーだけで地球一周を計画していると知らされ、特に興味をもたれたという。皇后さまは、なだれ救助のロボットが救助犬バリーの名前にちなみ「バリー・フォックス」と付けられていることを、面白いですねと語ったという。

 愛知万博は6つのグローバルコモンに分かれている。天皇皇后両陛下は、各コモンごとに1つのパビリオンを訪問されたが、スイス館が6つの中から選ばれた。サルクリ氏は、スイス館の人気と日本とスイスの良い関係が選ばれた理由ではないかと見ている。また、「3年前皇后さまがひとりでバーゼルを訪問されたことで親しみが深いのかもしれない」という。

swissinfo 佐藤夕美(さとうゆうみ)

<スイス館>
長久手会場/グローバルコモン4
キッコロ・ゴンドラの南駅下車
平均入場者数 一日でおよそ6000人
最高待ち時間 70分
見学所要時間 15分

-「山」をテーマに1.スイスの神話 2.ビジョン 3.危険と注意 4.科学の頂点 5.モンテローザの5つの切り口で紹介する。
- 音声ガイドを使って見学する所要時間はおよそ15分。
- 人気は展望テラスのほか、救助犬バリー、アインシュタインのスイスのパスポート、アルプス山脈のトンネルを掘る機械など

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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