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美しいデザインや斬新なアイデアで生き残る スイス製玩具 

日本でも人気が高いスイス、ネフ社の積み木をクリスマスにいかが?(ネフ社写真提供)

クリスマス前の数カ月で一年間の半分以上の売り上げを記録する玩具業界。それでもスイス玩具業界によると、スイス製の玩具はスイス市場の1%も占めてない。大企業の作る安い中国製の玩具との競争にどうやって生き残っていくのだろうか。

もともと、玩具の発祥の地はドイツでスイスでは玩具作りが盛んだったわけではない。それでも、木製のものを中心にこじんまりした家族経営の会社が美しい製品を作り続けている。デザインが美しいネフ社(Naef)やコンセプトが面白いキュボロ社(Cuboro)などは日本では「マニア」がいるほどだという。

 高いスイスの人件費で玩具を作るのは難しい。「レゴ社が幼児用レゴを造っていたルツエルン近くのヴィリサウ(Willisau)の工場をこの年末に閉めてしまうために、それまでは7%を占めたスイス製玩具が1%になりました」と説明するのはスイス玩具協会のルネ・オビ氏。工場は東欧諸国に移されるらしい。

 オビ氏によると、殆どのスイス玩具は木製で、これらを生産する零細企業は政府が補助している身体障害や精神障害を持つ人々が雇われている施設の工場と提携してなんとか経費を浮かせているという。

 それでも「1%でもこれらのスイス企業は安定している」とオビ氏。それは「特徴のあるものを造っているからそれなりの市場があるのでしょう」と分析する。

スイス玩具の特徴

 「スイスの玩具はデザインがシャープで格調が高い」と絶賛するのは欧州の玩具を日本に輸入販売するアトリエ・ニキティキ社の代表、西川敏子氏だ。「例えば、同じ積み木でもネフ社のものは真似できない何かがある」と断言する。

 このネフが造る幾何学的な積み木は確かにスイス人の精密さが必要かもしれない。デザインが斬新で美しいため、日本ではアーチストや建築家に人気が高く、社会現象といえるほどファンが多いという。ネフ社の商品は全てデザイナーの名前が記されており、ドイツの造形学校バウハウスで作られた積み木を復元したものなど、芸術性が高い。値段が高いにもかかわらず、愛好家が多いのもうなずける。

ネフ社はデザインで勝負

 実際に、ネフは世界中に70種類の製品を年間6万点ほど輸出しているが、その50%以上が日本だという。ネフのパトリック・ラティスハウザー氏によると、日本で一番人気があるのは50年前に創業者のクルト・ネフ氏によって、造られたリボン型の積み木「ネフスピール」だ。「日本人は質の高いものを要求するので、ネフの厳しいコントロールを通過した製品が受けるのでは」とみる。前出の西川氏は「日本人にはきちんと作ったものに対する尊敬があるからでは」という。 

大人も夢中なキュボロ社の玉の搭

 もう一つ、独特な玩具を作っているのがキュボロだ。身体障害者を教育するソーシャル・ワーカーだったマティアス・エッター氏が子供たちに刺激を与えるパズルにゲーム性を加えようとして考案したのが始まりだ。溝や穴の開いた積み木を組み合わせ、ビー玉の通る3次元コースを自ら作り遊ぶゲームが「キュボロ」だ。

 昨年から、日本の市場に進出したキュボロは日本には出荷が追いつかないほどの人気を博しているという。キュボロのカリン・グロスマン氏によると、数式を基につくられた遊び「キュボロ」は「世界で唯一の3次元のビー玉遊びで3歳以上の子供からお爺さんまで遊べるのが特徴」という。

 「一昨年、韓国や米国でキュボロ社の玩具のコピーが出回って問題になったのですが、細密な製作を要するため、ビー玉が上手く転がらなかったらしく、失敗したのです」とグロスマン氏。素晴らしいアイデアがあっても守って行くのは大変だ。キュボロも4人の従業員と20年来提携しているニーフェラー社が製作を請け負っている。ニーフェラーの高度な機械技術もキュボロの高品質を支えている。

 グロスマン氏は「プラスチックの玩具も、もちろんあっていいのですが、子供が自然な素材で遊び続けることができる選択肢があるというのは大切なことです」と語る。

 ローザンヌの玩具山門店「ヴィヴィショップ」の店長、クリスチャン・グラヴォル氏によると、店内のスイス製の玩具は5%ぐらい。大手の玩具チェーン店などに比べると多い方だという。「日本人のお客さんの基準はデザインが美しいかどうかです。スイス人は実用性の方ばかりを重視します。スイス人の消費者の鑑識眼はまだまだですね。スイス製の玩具も時代と共に発展しているものは息が長いようですよ」と語る。


swissinfo、 屋山明乃(ややまあけの)


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