快適散策日記 エメンタールでぬくもりに出会う
首都ベルンの東エメンタールから南スイスまでを結ぶ一風変わった自転車道「ハートルート(ぬくもりの道)」がオープンした。全長約55キロのコースのほとんどが緑豊かな丘陵や田舎町をたどる。
正直なところ、気が進まなかった。坂道をペダルで必至に漕いで、汗ダラダラ——。そんな見苦しい姿を想像し、憂鬱な気持ちでベルン州のレツェルフリュー駅に向かった。
電気バイクが助っ人
駅を降りると、地元の観光局のアルフレト・バウアーさんが待っていた。バウアーさんからバイクテック社のクルト・シェールさんを紹介される。電気バイク「フライヤー号」を生産している会社だ。
「ボタンを押すだけで前に進みますから。エメンタールのどんな急な坂も登るので、心配いりませんよ。汗などかきませんから」。そう言ってシェールさんはニッコリ笑う。なんだかこちらの不安が見透かされたようだ。
「フライヤー号」には、ちゃんとバッテリーとモーターが積まれている。途中で電気がなくなったときのことも考えて、予備のバッテリーも用意してくれた。レンタル料金は1日35フラン(約3,000円)。この他に、レストランや宿の情報が満載の自転車道「ハートルート」の地図も無料でいただいた。
新しくできたコースはレツェルフリューからルツェルン州ヴィリサウまで。電気バイクの貸出しは、レツェルフリュー、ブルクドルフ、ヴィリサウの各鉄道駅構内で行っている他、ティチーノ州のロカルノやアスコーナでも利用できる。
二人にお礼を言って、「フライヤー号」にまたがる。スピードは遅いが、快適だ。
のどかな風景がゆっくりと通り過ぎる。牛やトラクターともすれ違う。スイスの穴あきチーズを作る町として知られるアフォルテルンはコース沿いの見どころの一つだ。
疲れてはいないが、バッテリーを充電させるために30キロほど進んだ所で電気バイクを止めた。マディスヴィルという町の、宿を兼ねたレストランに入って自分も一緒に充電する。弁当箱を一つ買った。食べやすいように切ったパンやチーズと共に、サラダやソーセージが入っている。ワインと水も付く。
「電気バイクのお客さんのために考案したのよ」と店の女将エリアン・インゴルトさんが話す。「自転車と違って、ペダルを一生懸命漕ぐ必要ないでしょ。だからお弁当も楽しめるようにしなくっちゃね」と言ってウインクしてみせた。
スイス国際放送 デイル・ベヒテル 安達聡子(あだちさとこ)意訳
自動車道「ハートルート」は、ベルン州レツェルフリューからルツェルン州ヴィリサウまでの55キロ余りのコース。
電気バイクのレンタル料は1日35フラン(約3,000円)。地図は無料。
貸出し場所はレツェルフリュー、ブルクドルフ、ヴィリサウ、ロカルノ、アスコーナ。
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