ナビゲーション

ナビゲーションへ

グローバルメニュー

雪がなくともスキーのジャンプ

アインジーデルンには61年からジャンプ台があり、ジャンプでは有名。今回の建設されたジャンプ台は最新の設備を誇る

(Keystone)

スキーのジャンプは夏にもできる。アインジーデルン(Einsiedeln)には今年、新しく夏冬兼用のジャンプ台が作られ11日から3日間、サマー・グランプリも行われた。

25年ほど前、スイスチームは夏のジャンプで優秀な成績を上げ、欧州におけるブームの先駆者となった。しかし、その後は成績も振るわず、スイスでは人気も下火に。

 スイスは雪国であるにもかかわらず、ウィンタースポーツの成績は、最近振るわない。アルペンスキーは隣国オーストリア勢に完敗し続けている。一方、ノルディックのジャンプは、2002年のソルトレーク冬季オリンピックでノーマルヒル、ラージヒルの2種目でシモン・アンマン選手が金メダルを獲得し、スイス国民は大喜びした。しかし、その後は鳴かず飛ばずの惨敗が続いている。
 こうした中、カトリック教の巡礼地として有名なスイス中央部のアインジーデルンに新設されたジャンプ台は、夏でも練習ができるため、来年の冬季オリンピックを目指すジャンプの選手の期待がかかっている。

選手の経費削減になる

 アインジーデルンに作られた新しいジャンプ台は夏の今、床は緑色の塩化ビニル(PVC)でできた毛の長い芝生のようなマットで覆われている。冬はこの床を取り外し、雪で覆われたジャンプ台となる。全長は117�bと本格的な施設だ。「ジャンプ台が描くカーブなどには最新技術を施し、スイス国内では最高のもの」と責任者のヘルマン・ケーリン氏。

 スキーに塗るワックスが夏は多めとなるが、技術は変わらないため、ここでは雪がなくてもジャンプの練習ができる。

 スイスのジャンプ人口はおよそ250人。ロシアは3500人といわれ、さらにフィンランドは学校の体育授業で教える。ジャンプ競技においては、スイスはまったくの後進国である。オリンピックの金メダリスト、シモン・アンマン選手は、日刊紙ディ・シュードオストシュヴァイツのインタビューにこたえ「アインジーデルンに新しくジャンプ台が作られなかったとしたら、成績不振は今後も続くのではないか。これで選手が雪を求めて世界各地を旅行することもなく、いつでも練習できるので、時間と体力の節約につながる」と期待を寄せている。

赤字経営の懸念の声

 夏に飛べるジャンプ台は、スイスのスキーのメッカ、カンデルシュテークにもあるが、施設は25年前に作られ古く、現在は資金不足で改築もままならない。

 資金問題はいずこも同じのようで、アインジーデルンのジャンプ台の建設費も、当初見積もられていた850万フラン(約7億4000万円)から1220万フラン(約10億円)に膨らんでしまった。現地の州銀行やスイスオリンピック委員会からの援助がなければ、施設建設計画は頓挫していたといわれる。

 しかも、今後の経営に対する不安の声も聞こえてくる。ジャンプの練習1日、1人につき25フラン(約2000円)の使用料だけで年間3万フラン(約260万円)の収益が見込まれるほか、レストランやリフト、ジャンプ大会などからの収入も期待できるとケーリング氏は言うが、欧州で夏用ジャンプ台の経営がが黒字になっているところは2、3カ所ほど(14日付けNZZゾンターク)。スキーのジャンプだけに頼らず、他のエンターテイメントに場所を提供するなどしている。

 オリンピックで再びメダルでも獲得すれば、競技に対する人気も再燃し、ジャンプ台の運営費のことなどは大きな問題ではなくなるのかもしれない。しかし、今回のサマー・グランプリでも1位はスロヴェニア、2位はフィンランドに奪われ、スイス選手で最高点を挙げたのは7位のアンドレアス・ケッテル選手。シモン・アンマン選手は11位と再び振るわなかった。

swissinfo、佐藤夕美(さとうゆうみ)

キーワード

アインジーデルンの夏・冬兼用ジャンプ台
欧州最新の設備。
床は塩化ビニルのマットで覆われている。
建築費約10億円。
使用料1日1人2000円で、誰でも使用が可能。

インフォボックス終わり


リンク

×