イタリアへの捜査協力にGOサイン

ミラノ検察局は、シルヴィオ・ベルルスコーニ氏の「メディアセット ( Medeaset ) 」グループに対する捜査で、スイスから引き続き銀行資料を受け取ることができることになった。
スイスでは2005年以来、預金総計およそ1億5000万フラン ( 約148億円 ) に上るメディアセットの銀行口座が凍結されている。連邦最高裁判所はこの処置を当分の間継続することにした。
スイスの連邦検察局 ( BA/MPC ) は11月23日、メディアセット問題でイタリア司法当局の国際捜査共助の申請を2002年以降二十数回にわたって断ってきたと発表。一方、スイスの連邦最高裁判所はこのたび、スイス検察が行っているミラノへの協力をやめさせるようにとの訴え2件を退けた。
凍結は暫定処置
連邦検察局は2005年、イタリア当局の要請でティチーノ州マンノ ( Manno ) のUBS銀行に預金されていた1億5000万フランを凍結。2006年にはこの件に関する銀行資料の引き渡しも認可した。企業4社と個人1人がこれに反対する訴えを起こしたが、連邦最高裁判所までは届かなかった。
連邦最高裁は、この先いつまでもこの口座を凍結し続けることはできないため、差し押さえ処置があまり長引かないよう連邦検察局が監視すべきという見解だ。
ミラノ検察局は、数年前からメディアセットグループに属する企業や関係者に対する捜査を進めている。ベルルスコーニ前イタリア首相にも脱税と粉飾決算の嫌疑がかかっているほか、メディアセット社長のフェデーレ・コンファロニエーリ氏など数人にも捜査の手が及んでいる。ベルルスコーニ氏はこれらの容疑を否定しており、これまで有罪判決を言い渡されたことはない。
不正金を流す
メディアセットには、テレビや映画に関する権利の架空売買を行ったという疑いがかけられている。ベルルスコーニ氏のメディアグループはオフショア企業の完璧なネットワークを作り上げて業務行為をカムフラージュし、1億7000万ドル ( 約184億円 ) 近い不正金をスイスなどの外国に流したと推測されている。
連邦検察局によると、メディアセットに関する連邦最高裁の訴訟手続きで検察側が下した最終処分に対し数十件の抗告が申し立てられているという。これまでベルルスコーニ氏側の弁護団は、次々と異議申し立てを行ってスイスの捜査協力を阻もうとしたが、これらの申し立ては連邦最高裁で常に却下されている。
スイスの銀行は守秘義務を課せられているが、一方でマネーロンダリング ( 資金洗浄 ) 防止にも力を入れている。
swissinfo、外電
- 「メディアセット」はイタリア最大かつ世界屈指の民営メディアグループ
- メディアセットは、ベルルスコーニ一族が統括する「フィニンヴェスト ( Fininvest ) ・ホールディング」に属する。
- ミラノ司法当局はメディアセット問題で13人を捜査。前伊首相のシルヴィオ・ベルルスコーニ氏もその中に含まれている。
- これらの容疑者は、架空の映画権をオフショア企業に販売した疑い。
- 容疑は粉飾決算と脱税。
- 犯罪に絡む金額は総額2億6500万フラン ( 約261億円 ) 前後。
- 連邦最高裁判所の判決により、スイスは容疑のかかっている3つの会社に関する資料をミラノに送付することができる。

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