スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
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この判事は2022年9月、チューリヒ市街地で道路を封鎖し罪に問われた気候保護団体「エクスティンクション・レベリオン(XR)外部リンク」の活動家に対して無罪判決を下した。判決の冒頭で、被告に対して畏縮しないよう語りかけたという。「これからも続けて」と励まし、被告の子どもにも「母を誇りに思っていい」と伝えた。
こうしたやり取りを受け、この判事を気候活動家に対する裁判に関わらせないよう、チューリヒ検察庁が高等裁判所に申し立てていた。高等裁は申し立てを認めたが、無罪となった活動家が仲間の活動家もこの判事に裁いてもらえるよう、連邦裁に上訴した。
連邦裁は26日の判決で、判事が気変動活動家らとの団結を示したと結論づけた。このために判事が、意識しているか無意識かに拠らず、意見形成の自由を奪われているとの印象を与えたと指摘した。今後似たような事件に置いてもそうなる可能性があると警告した。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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