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物価高で低賃金、消費者に酷いスイス

スイスの物価はドイツの2倍 Keystone

スイスは物価高で有名だ。が、給与も高いということで国民は納得していた。ところが、最新の調査の結果、物価高は真実だが高給は伝説であったことがわかった。

チューリッヒ大学がスイスとドイツの小売価格を比較した調査によると、スイスの家電製品や生活家庭用品の小売価格はドイツにくらべて30%から50%高いことが明らかになった。例えばソニーのデジタルカメラは、ドイツでは1、770ユーロだったのに対し、スイスでは2、350ユーロだった。調査を実施したフェリックス・プルマー研究員によると、スイスでは全ての商品にドイツよりも高い小売価格がついており、物によっては2倍から3倍も高値がついていたという。

チューリッヒ大学の報告について、スイス消費者保護財団のジャクリーン・バッハマン氏は、財団独自の調査の結果からもスイスの物価高は証明できるが、価格差の大きさに衝撃を受けたという。スイスの物価高は昔から有名だった。が、賃金も高いので有名だった。しかし、バッハマンさんによると、実はドイツの方がスイスよりも高賃金だと次のように述べた。「ドイツの方がスイスよりも平均時給が高い上、ドイツの方がスイスよりも週の労働時間、年間の労働週も短い。さらに社会保障はドイツの方が良い。ザンクト=ガレン大学の調査によると、賃金だけを基準にして価格を設定するなら、スイスはドイツよりも10%低くなければならないということが明らかになった。」。

では、なぜスイスの物価はこんなに高いのだろうか。プルマー氏、バッハマン氏ともに、多国籍メーカーと輸入総代理業者による再販売価格の拘束を原因に上げた。プルマー氏はスイスでの輸入品の流通の構図を次のように説明した。「多国籍メーカーはスイスでの流通を独占している。多国籍メーカーと輸入総代理業者はスイス市場向けに特別の高値をつけ、スイスの小売業者が安い供給者を見つけられないよう、あらゆる手をつくして並行輸入を阻止する。」。もしもスイスが欧州連合(EU)加盟国だったら、こんな手段は通用しない。EUでは、独占禁止や公正でない取引に対する厳しい規制を設け、欧州委員会が目を光らせているからだ。「欧州委員会は並行輸入を奨励している。が、EUの規制は非加盟国スイスには適用されないため、スイスの消費者を守ることはできない。」とプルマー氏。

ユーロの流通開始後、スイス国民は自国の異常な物価高を再認識した。「スイス人は、特に国境付近の住民は、物価の安い隣国まで国境を超えて買い物に行く。ユーロ流通開始後、ドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、どの方向へ国境を越えて行っても価格は全部ユーロ表示なので比較が容易になり、いかにスイスが高い国なのか否応なく認識させられるようになった。」とバッハマン氏。

スイスの物価問題を解決する一歩としてスイス競争委員会は、並行輸入を通じて取引の公正化を進め小売価格を下げようと、独占禁止法を制定する意向を表明した。同委員会は、消費者だけでなく他国の輸入総代理店に供給をたよっているスイスの国内メーカーも再販売価格の拘束の被害者だという。たとえば車販売会社は、部品を購入する際に総輸入代理業者から拘束された価格で購入しなければならない。委員会は、国内産業を守るためにも、不公正な取引に甘んじる立場を打破しなければならないという。

消費者保護財団のバッハマン氏は、スイスも他国同様に独占禁止法違反に対する課徴金制度を導入するべきだと主張する。新独占禁止法は、今年連邦議会で討議される。が、輸入や流通ビジネスに関わる企業経営者でもある多数の議員からの強い抵抗が予想される。

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