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スイスの銀行、イスラエルを狙う

発展するイスラエル経済の恩恵を被ろうと、スイスの銀行は力を入れている Reuters

金融市場でイスラエルのテルアビブの重要度が高まっており、スイスの銀行もイスラエル金融市場での営業に力を入れている。

このコンテンツは 2010/03/20 15:25

スイスの銀行最大手UBSや第2大手クレディ・スイスを先頭にスイスの主要銀行は、数億フラン ( 数百億円 ) の資金をテルアビブで動かし始めている。その理由はどこにあるのだろうか。

経済危機の影響なし

社会学者でエコノミストのジャック・ベンデゥラック氏は、イスラエル社会の成長や変遷に詳しく、『イスラエルの新しい社会』の著者としても名高い。

ベンデゥラック氏は
「イスラエルは、世界的経済危機をかすり傷さえ受けず乗り越えた潜在的成長力の高い国で、今世界の投資家を引き付けている。特にハイテク、再生可能エネルギー、化学・医薬品産業での成長は目覚ましく、こうした分野への投資は魅力的だ」
と話す。特にハイテクはイスラエル経済の要で、またダイヤモンド産業でも世界一を誇る国の一つであることを指摘した。

スイスの銀行のイスラエルでの成功を
「非常に個人化された資産運用、プライベートを尊重するやり方が好評だ。さらに外国と取引を行う企業、インフラ整備や下請を行う企業などへの積極的な融資も高く評価されている」
と話す。

強いシェケル

「イスラエルの通貨シェケルは、この国の経済が健康である証しになる」とベンデゥラック氏が語るように、ユーロ、米ドル、スイスフランに対しシェケルは今年に入ってさらに強くなった。

しかしベンデゥラック氏は、発展から取り残された小都市の貧困層にも言及し、社会的不均衡が存在すると指摘する。母子家庭、大家族、失業者、超正統派ユダヤ教徒、少数派アラブ人などは消費社会の外に追いやられ、こうした繁栄の恩恵を被っていないという。

「だが、イスラエルの経済は今世界で最も信用できるものの一つだ」と付け加え、さらに
「この国の経済への、政治的軍事的影響は問題視しなくてもよいようになっている。例えば、ガザへの攻撃も輸出量を減らす結果にはならなかった。外部から見ると、こうした政治的軍事的要因が国の経済を左右するイメージを持ちがちだが、それは間違いだ。こうした要因があっても経済は確実に伸び続けている」
と話す。

「クレディ・アグリコル・スイス ( Crédit Agricole Suisse ) 」は、スイスの諸銀行の中では一番遅く、2年前にテルアビブに支店を開設した。同銀行の支店長、ニコラ・ラング氏もベンデゥラック氏とほぼ同じ意見で
「世界的経済危機にもかかわらず、イスラエルの2009年の国内総生産 ( GDP ) は僅かだが成長し、イスラエルの中央銀行や財務省は、2010年の経済成長率を3.5 %から4%と予測している」
と話す。

また、ラング氏は失業率も2009年末に7.7% を記録し、確かに数字上は高いが、経済協力開発機構 ( OECD ) の平均失業率8.2%よりは低いと指摘する。さらに「イスラエルへの国外からの投資は、2009年の第4四半期に最高に達した」と述べ、2009年の11月だけで、テルアビブの株式市場はイスラエルに居住していない投資家から5億8000 万ドル( 約525億円)の投資額を記録したという。

相補う関係

さらに経済的に新しい展望をもたらすできごとが起きた。
「イスラエル人自身が信じられないことだと言っているが、実は昨年大量の天然ガスが国の北部で発見された」
とラング氏は話す。将来国のエネルギーをかなり賄い、少なくとも諸外国からのエネルギー輸入を減らすことができるだけの量のガスだという。

しかし、イスラエル経済を発展させる要はなんといっても、ハイテク産業だとラング氏は分析する。新しいテクノロジーの先駆的企業が、ほぼ全社イスラエルに拠点を置いている。その背景にあるのは高い教育を受けた優れた従業員たちが揃っていることだ。ただ一つ残念なことは、初期にコンピューターのスタートアップ企業を大型の国際企業に売却してしまい、こうしたローカルな企業がマイクロソフトやアップルに成長できなかったことだという。

ところで、ラング氏によるとイスラエルの投資家は、不動産のほか、産業界や金融界などに同時に資産を持っている場合が多い。こうしたさまざまな資産を持つイスラエルの企業家の多様な要求に応えるために、スイスの銀行は企業家との理解を深め、彼らと相補うような関係を形成していく必要があるという。

セルジュ・ロナン 、テルアビブにて、swissinfo.ch
( 仏語からの翻訳、里信邦子 )

スイスの銀行、ヘブライ語でサービス開始

イスラエルの顧客を引き付け、イスラエルの現地の金融市場により良く進出するためにテルアビブに支店を置くのは、「クレディ・アグリコル・スイス ( Crédit Agricole Suisse ) 」だけではない。
ジュネーブからイスラエルの顧客にヘブライ語で直接サービスを行う、プロのグループも諸銀行内でリクルートされている。
クレディ・アグリコル・スイスは、スイスに現地法人を持つが、フランスのプライベートバンク・グループ「クレディ・アグリコル ( Crédit Agricole ) 」の傘下にある主要銀行の一つ。

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