スイス中銀 金利を据え置き
スイス国立銀行(スイス中銀/SNB)は6月16日、スイスフラン高が続くにもかかわらず、政策金利を過去最低レベルに据え置くと発表した。
3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は目標レンジ0.0~0.75%、誘導目標0.25%に据え置かれた。
この低金利金融政策によって、スイスフラン高から輸出産業を守ることが目的。
高インフレの恐れも
売上や受注はここ数カ月間で上向きとなった。しかし、スイスフランが対ユーロで1.20フラン、またドルに対しても0.84フランに達したことから、輸出マージンが縮小。スイス中銀は、ギリシャなど多くの国で負債問題が収束せず、スイスフラン高はこの先も続くと警告する。
スイスフランが強まると外国でスイス製品の価格がつり上がるため、製造業者は低価格での取り引きを強いられる。また、金利を引き上げれば、スイスフランの需要がさらに高まる可能性がある。
このような姿勢は経済を刺激し過ぎ、高インフレを招く恐れがある。しかし経済専門家は、スイスフラン高が自然のブレーキとして作用するという見方で一致している。スイス中銀の今年の予想インフレ率は0.9%、2012年は1%、2013年は1.7%。
不動産バブル
一方、金利を引き下げると住宅費がさらに高騰する恐れがあり、このリスクの方がより大きいとスイス中銀はみる。チューリヒやジュネーブなどの人気エリアでは、バブル期に等しい高騰ぶりだ。
「一方にはスイスフラン高が輸出産業に与える影響があり、他方には不動産分野がオーバーヒートする危険性がある。主なリスクは依然残ったままだ」
と、スイス中銀は微妙なバランスを取る必要性を説く。2011年の国内総生産(GDP)伸び率の予測は2%。
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