スイスで世界初の公認暗号資産取引所を開設する計画が内部不和に揺れている。プラットフォームの仕様をめぐる意見がかみ合わず、開発責任者のマルティン・ハルプラウプ氏が着任からわずか8カ月で辞任することになった。
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所を運営するSIXグループ外部リンクは、SIXデジタル取引所(SDX)外部リンクの開発計画に同氏の辞任による支障はないと説明する。だが、新種の電子資産を取引できる世界初の公式証券取引所になるという野望に打撃を与えかねないとみられている。
SIXの社内向け連絡文書によると、責任者だったマルティン・ハルプラウプ氏は「私はSDX構想やビジネスモデルに完全に同意しており、ぜひ将来のSDXを率いていきたいと思っていた。だが戦略に関するアイデアの相違がある以上、長期的にSDXのトップではいられないと苦渋の決断をした」とコメントした。
最大の相違は、ハルプラウプ氏がSDXを独立した企業としての立ち上げを目指していたことだ。これに対して、SIXの取締役会ではあくまでSIX傘下で運営しようとしていた。
13日付の社内連絡文書によると、9月1日からトーマス・キンドラー氏が暫定的にハルプラウプ氏の後任に就く。ハルプラウプ氏は今年初めに着任したばかりだった。
キンドラー氏はSIXグループ証券・取引部でトーマス・ジープ部長に次ぐ地位にいる。ジープ氏は社内メモで、恒久的な後任を見つけるため「幹部募集」をかけているとし、キンドラー氏も候補に含まれると明らかにした。ハルプラウプ氏はSDXに上級顧問として留まる意向を示しているという。
SDX構想は昨年7月に発表され、当初は今年半ばの運用開始を目指していた。だが計画は後ずれしており、SIXに加盟する銀行との内部的な試験運行を年後半に行ったあと、来年前半の本格運行を予定している。
続きを読む
おすすめの記事
スイス・EUが株式市場の相互乗り入れを禁止 影響は?
このコンテンツが公開されたのは、
欧州連合(EU)は1日から、スイスをEU株式市場から締め出した。報復措置としてスイスはEU株式市場でのスイス株取り扱いを禁止。二国間条約交渉をめぐる緊迫は混迷を深めてきた。
もっと読む スイス・EUが株式市場の相互乗り入れを禁止 影響は?
おすすめの記事
仮想通貨の「振興」と「規制」を両立するスイス クリプトバレーは成功するか
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ツーク州にはフィンテック関連企業が多く進出し、「クリプトバレー(暗号の谷)」と呼ばれている。各国当局が暗号(仮想)通貨ビジネスの振興と規制の間で揺れるなか、両者のバランスを取りながらクリプトバレーの成功に賭けるスイスの姿勢は注目に値する。
もっと読む 仮想通貨の「振興」と「規制」を両立するスイス クリプトバレーは成功するか
おすすめの記事
スイス行政裁、SIXグループに7.6億円支払い命令
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦行政裁判所は22日、スイス証券取引所を運営するSIXグループが支配的市場地位を乱用したとして700万フラン(約7億6千万円)の課徴金支払いを命じた。
もっと読む スイス行政裁、SIXグループに7.6億円支払い命令
おすすめの記事
スイス証券取引所、デジタル資産の取引所を新設へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所を運営するSIXグループは2019年、仮想資産を取引する「SIXデジタル取引所」を開設する。新しい取引所で何ができるようになるのか、スイスの仮想通貨業界への影響は?ポイントをまとめた。
もっと読む スイス証券取引所、デジタル資産の取引所を新設へ
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。