The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

ウェルスマネジメント、英米が王者スイスを追い上げ

財布から10フラン札を取り出す
デロイトによると、スイスのウェルスマネジメントは新しい資産の取り込みに苦戦している Keystone

富裕層の資産を管理・運用するウェルスマネジメントビジネスにおいて、スイスは世界の中心にあり各国からマネーが集まる。だが最新の調査によると、他国の金融センターの追い上げは激しく、トップの地位はぐらつき始めている。

 デロイト・ウェルス・マネジメント・センター・ランキング外部リンクによると、スイスで管理されている国内外の資産は2017年末時点で総額1兆8400億ドル(約202兆円)だった。10年に比べ7%少ない。

 英国(1兆7900億ドル)と米国(1兆4800億ドル)がすぐ後を追う。 過去7年間の増加率は英国が9%、米国が48%と、ともに大幅に増加した。

おすすめの記事
銀行の金庫室に立つ男性

おすすめの記事

人口動態

スイスの銀行秘密、依然として世界一

このコンテンツが公開されたのは、 英国の非政府組織(NGO)「タックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)」は30日、スイスが世界で最も秘密の守られる金融センターであるとの報告書を発表した。

もっと読む スイスの銀行秘密、依然として世界一

 3カ国の管理総額は国際市場全体の約6割を占める。だが香港(10年比122%増)やシンガポール(同12%増)などアジアの金融センターも、国際的なウェルスマネジメント市場における存在感は格段に大きくなっている。

安定

 デロイトによると、「競争力」と「パフォーマンス」はスイスがトップの座を守る。政治的・経済的な安定がその背景にあるという。シンガポールも同様の長所を持つが、「サービス品質」や「デジタル成熟度」ではスイスが圧倒的優位にある。

 スイスが競争力を保っている背景には、労働者のデジタルスキルが高く、長年培ったノウハウで国業務や顧客指向のサービスが充実していることがあるという。

 デロイトのプライベートバンキング&ウェルスマネジメント部門のスイス責任者、ダニエル・コブラー氏は、「昨今の富裕層は資産を投資する場所を選ぶ際、デジタルツールや経験豊かな一流のアドバイザリーを求める。税制や規制環境も重要だが、金融ハブが備えるべき条件としては標準以上が必要だ」と話す。

 「一流の顧客サービスを受けられるスイスは、今後もウェルスマネジメントのハブであり続けると確信している。スイスの銀行はこの数年、直面した課題をうまく乗り越えた。高い手数料を抑え、費用対収益率と収益性を向上させた」

 コブラー氏は、スイスのウェルスマネジメント企業が新規資産の獲得や旧態依然としたビジネスモデルの変革に苦慮しており、技術革新への投資や顧客サービスの向上を進めていることも指摘した。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

正装のロジャー・フェデラー

おすすめの記事

テニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラーさんが億万長者の仲間入り 米誌フォーブス推計

このコンテンツが公開されたのは、 米誌フォーブスによると、スイスの元テニス選手ロジャー・フェデラーさんが資産10億ドルを超える富豪の仲間入りを果たした。

もっと読む テニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラーさんが億万長者の仲間入り 米誌フォーブス推計
戦闘機

おすすめの記事

スイス、軍事プロジェクトの品質管理を外注へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの17件の主要軍事プロジェクトが、2026年初めから外部コンサルタントによる監査対象となる。これにはF-35戦闘機の調達も含まれる。

もっと読む スイス、軍事プロジェクトの品質管理を外注へ
煙の立ち上る原子力発電所

おすすめの記事

スイスの政治

スイス・ゲスゲン原発、再稼働はさらに半年延期

このコンテンツが公開されたのは、 スイス北西部のゲスゲン原子力発電所の運転再開がさらに6カ月間遅れることになった。定期検査が行われた5月下旬以降、発電を停止している。

もっと読む スイス・ゲスゲン原発、再稼働はさらに半年延期
会見に応じるスイスのカシス外相とイタリアの外相

おすすめの記事

スイス、ロシア・ウクライナ首脳会談の「準備は万全」

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府のイグナツィオ・カシス外相は19日、ウクライナ情勢を巡る和平交渉について、スイスはロシアとウクライナの首脳会談を開催する「準備は万全」と述べた。

もっと読む スイス、ロシア・ウクライナ首脳会談の「準備は万全」
ドナルド・トランプ大統領

おすすめの記事

世界貿易

トランプ氏、スイス大統領に金銭支払いを要求 関税発表前日の電話会談の詳細が明らかに

このコンテンツが公開されたのは、 スイスに対し39%の関税を発表する前日の7月31日、ドナルド・トランプ大統領がカリン・ケラー・ズッター大統領との電話会談で、米国への「投資」ではなく直接的な金銭支払いを要求していたことが分かった。大衆紙ブリック日曜版が報じた。

もっと読む トランプ氏、スイス大統領に金銭支払いを要求 関税発表前日の電話会談の詳細が明らかに
大西卓哉飛行士

おすすめの記事

宇宙研究

国際宇宙ステーションでロボットが「宝探し」に成功 スイスも貢献

このコンテンツが公開されたのは、 日本製とドイツ製のロボットが、国際宇宙ステーション(ISS)で「宝探し」をして遊んだ。スイス・ルツェルン応用科学芸術大学(HSLU)もこの実験に貢献した。

もっと読む 国際宇宙ステーションでロボットが「宝探し」に成功 スイスも貢献

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部