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リオ+20閉幕、残ったのは落胆

Keystone

6月22日、ブラジルのリオデジャネイロで開かれていた「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が終幕した。しかし、これといった成果はみられなかった。スイス各紙の反応は冷めたものだが、スイス政府は正しい方向へ一歩進んだと評価している。

20年前に同じ土地で開催された「国連環境開発会議」のフォローアップ会議と位置付けられ、188カ国の代表が一堂に会した同会議は、風穴を開けることもなく、最低限の共通基盤に関する合意を得たのみに終わった。

 「我々が望む未来」と題された53ページにわたる成果文書には、環境保護や開発に関する対策、環境にやさしい経済(グリーン・エコノミー)の支持、環境や持続性に関係する国際連合(UN)機関の強化を図る根本計画が載せられている。開催前にすでに交渉が始まっていたこの成果文書について、3日間の会議で激しい攻防が繰り広げられた。

 

 その結果に対し、スイス政府としても完全に満足しているわけではない。しかし、ドリス・ロイタルト環境相はスイス通信(SDA/ATS)に対し、「このような会議には意義があると信じている。問題解決に向けて必要な圧力を生み出すものだ」と語っている。

 「リオデジャネイロでは数々のポジティブな刺激が生まれた。これらの刺激は社会に強いインパクトを与えるに違いない。それに、このような会議に代わるものもない」と肯定的な姿勢を示した。

 しかし、成果文書に関してはトーンダウンする。特に持続性に関する目標には批判的だ。「スイスとしては、目標を何に適用するのか、今の時点で決定しておきたかったところだ」と語った。

各紙の反応

 ドイツ語圏ベルン州の日刊紙デア・ブント(Der Bund)、チューリヒ州の日刊紙ターゲス・アンツァイガー(Tages Anzeiger)はこの成果文書を「国連加盟国193カ国の意思表示」以上のものではないとコメントした。また、南北間の亀裂つまり工業国と新興国の間の亀裂も問題視する。

 「工業国は地球に対する共同責任を拡大し、中国、インド、ブラジルといった新興国にも環境問題に関する義務を負ってもらい、これらの国々が急成長しながらも資源を守り、社会的費用を明白にするようにしたかった。しかし、彼らはまず裕福な国家がどのような進歩を見せるかを確認したがった。新興国の目には、環境汚染、資源の枯渇、貧困などの責任は工業国だけにあると映っている」

 ドイツ語圏の日曜新聞ゾンタークス・ツァイトゥング(Sontags  Zeitunng)は、この会議を各国が自国の勝手で無意味な争いで生じた「気候の温暖化に対する十字軍」とさえ呼んだ。

 チューリヒ州のもう一つの日刊紙ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング(NZZ)も「国連が20年前の成果を上積みし、さらに前進するよう決意することを大勢が期待していた。その人々は大きく落胆させられた」と書く。

 「リオ+20は後退こそせずに終わったが、今まさに踏み入れなければならない持続的な道へと世界を押し込むには至らなかった。飢饉と貧困を減らし、温室効果ガスを削減し、生物多様性の損失を抑えるための義務が新しく導入されることはなかった」

 それでもなお、成果文書の中にポジティブな変化も認める。「それを芽吹かせなければならない。特に大事なのは、世界規模での持続性に関する目標だ。それを具体化し、実行するためには、各国が今回の会議で見せたものよりずっと大きな努力が必要だ」

1972年:国連人間環境会議、ストックホルム

1992年:国連環境開発会議、リオデジャネイロ

1997年:フォローアップ会議「リオ+5」、ニューヨーク

2002年:フォローアップ会議「リオ+10」、ヨハネスブルク

2012年:フォローアップ会議「リオ+20」、リオデジャネイロ

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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