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ワイン生産者CO2ゼロに挑戦

swissinfo.ch

ジュネーブ州のワイン生産者が「二酸化炭素排出ゼロ」に取り組んでいる。

このコンテンツは 2009/09/25 15:31

スイスは二酸化炭素 ( CO2 ) 排出量を2020年までに1990年比で20 %削減を目指しており、2008年には炭素税を導入した。そのため多くの企業がCO2排出削減を義務付けられているが、農家がCO2 排出ゼロを自主的に実践するのはスイスでも初めてのケースだ。

温暖化を肌身に感じ

「40年前、父と南フランスのモン・ペリエのワイン祭に行ったとき、当地では ( ブドウにうどん粉病を起こす ) オイディウム菌の話で持ちきりだった。ところが以前はなかったこの菌が北上し、今ジュネーブで問題になっている。温暖化のせいだ」
とジュネーブ州シューイ( Choully )でワインを生産するルネ・デバイエ氏 は言う。

また、40年前ブドウの収穫祭は10月1日以降で、9月中旬に行うことは考えられなかった。花の開花も収穫も年々早まっている。気温が35度以上になると、ブドウの葉は焼けてしまうが、猛暑の2003年にはその現象もあった。
「今はまだ完璧だ。昔は考えられなかった南仏産の品種が昨年は賞を貰うほどによく育っている。しかし、今の温度が限界だ。これ以上暑くなったら大変なことになる」
と危機感を肌身に感じたのが、CO2 排出ゼロを考えた直接のきっかけだったという。

49トンのCO2

デバイエ氏が相談したのは、エコロジーを目指す企業コンサルティング会社「ソフィエス( SOFIES ) 」だった。連邦工科大学ローザンヌ校 ( ETHL ) の卒業生を中心に8人の若者が2年前創設したソフィエスは、エネルギーと資源を最大限に節約する方法をアドバイスする会社だ。

ソフィエスの計算によると、デバイエ氏は年間10万本のワインを生産し、49トンのCO2を排出。1本のワインに付き、490グラムのCO2を排出している計算だ。この490グラム のCO2は、車で2.7キロメートルの走行、ないしは60ワットの電球を80時間つけっぱなしにする量だ。

49トンのうち、23トンはワインの瓶の生産過程そのもので排出されるCO2量 ( 瓶はほとんどがドイツで生産されているが、ここでの排出量のカウントされる ) で、18トンはトラクター使用などブドウの生産過程から、残りの8トンが醸造過程で排出するCO2だ。

解決策としてソフィエスのコンサルタント、ダビッド・ロッシャ氏が提示したのは、レストランに出すワインはすぐ消費するものなので紙パックにし、長期保存用は瓶詰めにする。トラクターなどはディーゼルを使わずバイオディーゼルに替える。醸造過程の保温などには、バイオガスかほかの再生可能エネルギーにする、などだ。

デバイエ氏はさっそくソーラーパネルの取り付けをジュネーブ州に申請した。また、トラクターも欧州連合 ( EU ) 基準のものに買い替えた。瓶も一部紙パック使用を構想中だ。

農業分野の第1号

しかし、デバイエ氏はこれらが全て整う間、外国でCO2排出削減を実践する会社から、CO2ガスクレジットを買うことにした。購入先を斡旋するのはチューリヒの「ファースト・クライメート ( First Climate ) 」社だ。デバイエ氏は自分と同じように食料生産にかかわるインドの砂糖製造業者を選んだ。砂糖製造過程で排出される温暖化ガスの削減プロジェクトを行っている会社だ。
「8月に購入を終え、49トンのCO2を100 %クリアーしたという証明書とロゴを、ファースト・クライメートからもらった。自分で言うのはおかしいが、非常に誇りに思っている。スイスの農業分野での第1号だ」
と胸を張る。

長年、有機農法に近い自然な生産と地域の農業の活性化を考えきたデバイエ氏は、ビジネス面での発展も考慮している。
「『クライメート・ニュートラル( Climate Neutral ) 』と書かれたロゴが付いたワインが店頭に出るようになると人々が注目し、自分だけではなく、ジュネーブのワイン全体の購買力が高まる」
と将来多くの仲間が、CO2 排出ゼロに参加することを期待する。

「これまで20社近いさまざまな会社のエネルギーとCO2 排出削減のプロジェクトをやってきたが、農家が相談にきたのは初めてだった。農家のCO2 排出量は工場や大きな企業のそれに比べれば僅かなもので、デバイエ氏の行為は今はまだ象徴的なものに過ぎないが、これが2人になり10人になりと増えて行くと大きな力になる」
とソフィエスのロッシャ氏は話す。

里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 、swissinfo.ch

ルネ・デバイエ氏のCO2 排出ゼロへの挑戦

1974 年父親から受け継ぎ、ワイン生産をジュネーブ州シューイ( Choully ) で始める。ワイン畑名は「ドメンヌ・デ・アベイユ・ドー ( Domaine des Abeilles d’or ) 」

1990年代、過剰な農薬などの使用で生産に打撃を受け、自然農法に近い方法に転換する。

2000年から2008年、インドネシアへの旅行を契機に、農産物のグローバル化や、遺伝子組み換え農産物に反対するようになる。

仲間と、ジュネーブの地域農産物を地域で消費する目的で、新しいラベル「ジュネーブ地域、「未来の大地 ( GRTA / Genève région terre avenir ) 」を作る。


2008年から2009年、CO2 排出ゼロを目指し、エコロジーを目指す企業コンサルティング会社「ソフィエス( SOFIES ) 」に相談。

2009年8月、CO2 排出ゼロを証明する「クライマット・ニュートラル( Climate Neutral ) 」を「ファースト・クライメート( First Climate AG ) 」
社から受け取る。

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