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いまだ保守的な面が残るスイスでは、子育てに関して母親任せなことが多い。しかし、育児をしながら仕事する女性は増えている。

子供が生まれたら

スイスの法定産休期間は出産から14週間。この間、賃金は8割が支給される。さらに充実した条件を自主的に取り入れている雇用主も多い。一方、「父親の育児休業」や両親の両方が取ることのできる育児休業に関しては、一部企業が自発的に導入しているだけで連邦レベルの法律はない。 

スイスでは少人数世帯が多く、女性1人あたりの合計特殊出生率は1.55だ。2015年の連邦統計局他のサイトへの調査では、スイス在住の外国籍女性の合計特殊出生率は1.86で、スイス人女性の1.54を上回った。 

スイスの病院は母乳育児を推奨している。入院中に母乳育児を始める母親の割合は95%で、出産から4カ月後も8割が継続中だ。雇用主には搾乳や授乳の時間とスペースの確保が義務付けられている。

スイス各州の保健当局は、赤ちゃんを迎えた父母のために育児相談室(独:Mütterberatung、仏:Consultations en puériculture)を開いている。少額の初回登録料がかかるところもあるが、一般的には無料。乳幼児を連れて予約なしで立ち寄ると、専門の看護師が赤ちゃんの体重測定をしてくれるほか、授乳や発達のアドバイスをもらうことができる。

仕事のやりくり

スイスでは、小さな子を持つワーキングマザーの大半がパートタイムで働く。そのため家庭外保育を選ぶ場合、母親の勤務時間に合ったものがほとんど。一方、父親がパートタイム勤務を選ぶケースも増えている。家庭外保育に頼る割合を極力減らすためで、スイスは文化的に多くの人がそれを望む。パートタイムで働く父親の割合はおよそ15%。

仕事中子供を祖父母に預けるスイス人も多いが、スイスに移住してきた外国人にとっては難しい。 

家庭外保育 

共働きの両親にとって保育所探しは頭痛の種だ。スイスの保育所は保育料が高額で受け皿が少なく、保護者からは不満が漏れる。 

スイスの保育施設 世界一保育料の高いスイス

スイスでは、子どもをフルタイムで保育施設に預けると、保育料は平均して親の所得の3分の2に相当する。児童手当や税金控除などにより家庭の最終的な負担額は減るが、保育分野で国の補助が少なく、乳幼児を持つ夫婦の共働きが少ない原因にもなっている。

スイスの家庭外保育のタイプは次のようなものがある。この中から何種類かを組み合わせて利用する家庭が多い。 

保育所(独:KrippeまたはKiTa、仏:crèche)

スイス国内には2千を超える保育所がある。そのうちおよそ9割が私立で、政府に認可されているとはいえ親からの保育料が運営費の大半を占める。ただ低所得世帯は州から所得に応じて補助金が出る。 

保育所は半日を利用の1単位とし、週3単位を利用の下限とするところがほとんど。チューリヒ市やベルン市では、私立保育所の保育料は1日あたり60〜150フラン(約6800〜1万7000円)。低所得世帯は助成金援助のおかげで約10フランまで大幅に減額される。ほとんどの施設がきょうだい割引を認めている。

保育ママ(独:Tagesmutter、仏:maman du jour)

自宅で子供を預かる「保育ママ」を活用する方法もある。保育ママ自身、預かる子より年上の子供を持つ母親が多く、子供の世話は日常の一部。料金は子供1人につき1時間で5〜12フラン(食費別途)と、かなり手頃だ。保育ママは地域の団体に登録しており、団体が保護者からの申し込みの受付や規定作りを行っている。一部では請求書の発行も受け持つ。州によっては保育ママ料金にも所得割引がある。詳しくはスイスチャイルドケア協会他のサイトへのホームページ(独仏2カ国語)へ。

オペア(au pair)

欧州連合(EU)加盟国の国民は、労働許可証取得前でもスイスで就職することができる。住み込みで家事・育児を手伝いながら現地の文化や言語を学ぶ「オペア(au pair)」の場合、雇用期間が3カ月未満であれば労働許可証は不要。EU加盟国国民の就労条件は変更が予定されている。詳細はこちらへ。

自宅で使用人を雇う場合には、社会保険料を払い、被雇用者が健康・傷害保険でカバーされていることを確認しなければならない。これらを怠ると法律違反に問われる。EU非加盟国出身のオペアを雇う場合は、連邦経済省経済管轄局(SECO)認可の仲介業者を通じて手続きを行う。業者のリストはこのサイト他のサイトへを参照のこと。独仏伊いずれかの言語を選び、独語の場合は「Betrieb suchen」を、仏語の場合は「Rechercher l’enterprise」、伊語は「cercare l’azienda」 をクリックして検索する。

オペアに支払う賃金は、家族の人数とオペアの年齢で決まる。月額およそ700〜800フランが目安だ。

スイスの法律では、オペアの労働時間は1日最高5〜6時間で週の上限が30時間と定められている。

ナニー

子どもの世話をプロに任せたい場合はナニー(乳母)を雇う手もある。ナニーの給料は資格の種類や経験によって異なり、フルタイム雇用の場合は月およそ3800〜5千フラン。条件は保護者とナニーの間で直接交渉する。

ベビーシッター

スイス赤十字社他のサイトへでは、各州に置かれた支部を通じ、全国各地で13歳以上のティーンエイジャーを対象にベビーシッター講座を開いている。 

若いベビーシッターを探すならここをチェックしてみよう。講座を修了したティーンエイジャーのシッター料は1時間あたり7〜10フラン。シッターの年齢と預ける時間帯によって異なる。大人のベビーシッターの場合はもっと高額だ。Babysitting 24他のサイトへというサイトでシッター料を計算できる。 

学童保育

子供は住民登録をした自治体の校区内の学校に通う。スイスでは、小学校の時間割が共働き家庭にとってしばしば問題となる。 

それは、スイスの小学校に2時間の昼休みがあるためだ。その間校舎には鍵がかけられ、教師も生徒もいったん家に帰って昼食をとる。 

しかし、昨今の家庭を取り巻く環境の変化を受け、全日制学校(独語でTagesschule)の導入が一部で始まった。全日制学校では、子供たちは昼休みも学校に残り、校内で温かい給食をとることができる。 

全日制を採用していない学校では、学校の近くにある民間学童保育施設と提携することが多い。これらの施設では、始業前や昼休み、放課後に学童保育サービスを提供している。親は事前申し込みが必要で、料金は所得に応じて異なる。

時代の変化をよそに、授業時間外の学童保育体制を整えている学校は少ない。そのため働いている親たちは、ほかの親と交代で子供の昼食の面倒を見るなどしてやりくりする。保育ママを活用する人もいる。

学童保育を利用する前に押さえておかなければならないのは、スイスの小学校では週に1回、午前か午後、あるいは丸1日休みになる日があるということ。休みのパターンが学年によって違うので注意が必要。

swissinfo.ch

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